城市文学ChéngshìWénxué

都市文学

としぶんがく


 広義には、農村生活を描いた「農村文学」に対して、特定の都市の市民生活を描いた文学を都市文学という。北京、上海、天津などの政府直轄市および武漢、南京、広州、大連、重慶、長沙、深圳など主要な産業都市における社会生活等を描いた文学作品を指す。
 例えば、北京を描いた劉心武『鐘鼓楼』、天津を描いた馮驥才、上海を描いた王安憶『長恨歌』、蘇州を描いた陸文夫の「美食家」、武漢を描いた池莉「煩悩人生」、広州を描いた孔捷生、ハルピンを描いた張抗抗の「夏」シリーズなどがある。

 都市文学は、その都市での生活経験のある、或いは長く生活している作家が自分の体験とあわせて、その都市のもつ独特の文化、風俗、人物などへの共感を込めて描いたものが多く、その意味で都会版郷土文学といった様相を呈する作品もある。北京を描いたものは「京味小説」として一ジャンルを形成し、一つの勢力となっている。

   狭義には、1930年代40年代のモダン都市上海を描いた文学を指すこともある。詳しくは海派の項目を参照のこと。