オンライン現代中国作家辞典

Lù Wénfū
陸文夫
りくぶんふ
(1928-200?)


陸文夫自伝:

 男、1928年3月23日、江蘇省泰興県の辺鄙な農村に生まれる。祖父は農民、父は商人であった。商人(の父)が金を稼ぎ、農民(の祖父)が田圃を買って小地主になっていた。
 子供のときから、人には賢い子供だと見なされてきたが、本当に賢いかどうか、いまだに疑問である。ただ、誰にでも賢いと言われると、自分でもその気になって、考えることが好きになり、物事の真情を探求するのを好むようになった。その結果、機敏に見えるときもあるし、愚鈊にみえるときもある、つまり賢いばか者に育った。
 第二次世界大戦終了後、蘇州に引っ越した。それからは蘇州が第二の故郷になった。この街で学校に通い、働いて40数年になる。20歳のとき新聞記者に、28歳で専業作家になった。主に中・短篇小説を書いている。内容が蘇州の街の市民の生活であったので、理論家によって市民文学と称せられた。自分ではリアリズム文学だと考えていて、(それ以外の?)どんな部類にも入れて欲しくない。


創作談――希望

 創作は、一種の芸術的発露であり、魂の叫び、喜び、嘆きである。理性の追求、迷い、発見である。あらゆる人がもっと幸福に暮らせるように望むことである。たとえ作家の書いたものが、どれも上幸な物語であったとしても。

(『当代中国作家百人傳』求実出版社1989)


作品集・単行本

『有人敲門』中篇小説 人民文学出版社 1980.10
『陸文夫代表作』中・短篇小説集 中国現当代著吊作家文庫 黄河文藝出版社 1987.5/3.30元
『陸文夫』中・短篇小説集 =中国当代作家選集叢書 人民文学出版社 1991.6
『壷中日月』布老虎叢書散文巻 春風文藝出版社 1995.3/16.80元
『人之窩』長篇小説 小説界文庫・長篇小説系列 上海文藝出版社 1995.9/17.70元

    

参考書・研究書・注釈書

『陸文夫的藝術世界』徐采石・金燕玉著 四川文藝出版社 1988.6
『清高』大河内康憲/編注 朝日出版社 1996.4.1 \1600(本体\1553)

 

邦訳

『美食家』陳謙臣訳 松籟社 1987.9
『陸文夫・美食家ほか』松井博光訳 徳間書店 1990.9
『消えた万元戸』釜屋修/訳 日本アジア文学協会・めこん 1992.12.25/\2000+税\60

  


作成:青野繁治