- 開催日時・概要
- スケジュール・講師および演題
- 講師プロフィールならびに講義内容
- 新時代の英語のカリキュラムと実践技術 発音の科学:ダイナミックメカニズムと訓練
- 早期英語教育の私立小学校における実践
- 英文法研究の英文法指導への応用
- オーラルコミュニケーション実践授業(1)&(2)
- ネット時代における国際英語の統合的実践
- 認知的な視点から見た英文法
- 英語の感覚を語法で養う
- アリスのことば学:「読み」への応用と実践
- 申込要領
- 会場
- 交通手段
- 懇親会
- 問い合わせ
- 公開講座アンケート集計
開催日時・概要
日時:平成19年8月6日(月)、8月7日(火)、8月8日(水)、8月9日(木)
会場:大阪大学中之島センター
近年、オーラルコミュニケーション能力の育成を目指すカリキュラムの推進に伴い、中学・高校の現場においては、具体的な指導内容・方法・技術などの面でさまざまな工夫が模索されている。小学校における英語導入やセンター試験におけるリスニングにどう対処するかという問題もある。本講座では、とかく生徒には役に立たないと敬遠されがちな文法、読解などの意義を、最近の理論的な知見、作品の意味・語用・文体論的分析、そして実際の運用における有用性の認識を踏まえて見直し、教員それぞれが得意とする技量を適切に活かし生徒も納得できる魅力的で効果的な教え方を提案する。さらに、(認知心理学や脳イメージングなど)関連研究領域の最近の理論的な知見を踏まえ、コミュニケーション能力の育成につながる授業展開のあり方を(ネットやCALLの活用を含めて)総合的に考察する。そして、発音の動的な変化の仕組みを分かりやすく解説・訓練するとともに、ネイティヴスピーカーによる体験授業を通じて英語運用力の実質的向上も目指す。全体討論では、講師陣が受講の先生方の抱えるいろいろな問題、疑問に専門的知見を踏まえて答えるほか、旬なトピックについて論じる。
スケジュール・講師および演題
8月6日(月)
10:00〜12:30「英語教育の方向と現代技術」 (大阪大学大学院教授) 成田一
13:20〜14:50「発音の科学:ダイナミックメカニズムと訓練」 同上
15:00〜16:30「小学校での英語教育実践」 (立命館小学校アドバイザー) 田縁真弓
8月7日(火)
10:00〜12:30「英文法研究の英文法指導への応用」 (大阪大学大学院教授) 岡田伸夫
13:20〜14:50「オーラルコミュニケーション実践授業(1)」
(大阪大学大学院教授)ジェリー・ヨコタ (大阪大学大学院准教授) アンドリュー・村上スミス
15:00〜16:30「オーラルコミュニケーション実践授業(2)」 同上
8月8日(水)
10:00〜12:30「ネット時代における国際英語の統合的実践」 (大阪大学大学院准教授) 日野信行
13:20〜14:50「認知的な視点から見た英文法」 (大阪外国語大学准教授) 早瀬尚子
15:00〜16:30「英語の感覚を語法で養う」 (関西学院大学大学院教授) 八木克正
8月9日(木)
10:00〜12:30「アリスのことば学:「読み」への応用と実践」 (大阪大学大学院教授) 沖田知子
13:20〜14:50「全体討論(質疑&トピック討論:小学校英語への現実的な対応)」
15:00〜15:20 講座修了証授与式 (大阪大学大学院言語文化研究科長) 金崎春幸
15:30〜17:00 懇親会
講師プロフィールならびに講義内容
新時代の英語のカリキュラムと実践技術
発音の科学:ダイナミックメカニズムと訓練
成田一
言語文化教育論講座教授 英日対照構造論・機械翻訳・言語計画専攻
日英語構造のほか機械翻訳の言語処理と評価法を研究。小学校での英語導入と中高大の連携問題についても新聞雑誌講演等で持論展開。著書『パソコン翻訳の世界』(講談社)、編著『名詞』(研究社)、『こうすれば使える機械翻訳』(バベルプレス)、共著『日本語の名詞修飾表現』(くろしお出版)、『私のおすすめパソコンソフト』(岩波書店)ほか、新聞、雑誌に掲載、取材記事多数。セミナーや講演も頻繁。言語教育談話会代表。英語教育総合研究会代表。
講義内容:最近の英語教育では文法・読解と運用の授業との関係の認識が明確でない。講義では、従来の教育で残すべき部分を見据え、運用能力の育成にも繋がる授業展開のあり方を、個々の先生の力量を活かし生徒の学習意欲を高めるという視点から、実践の指針と技術を含め総合的に検討する。小学校の英語教育の理論的な根拠と効果的な実践法と中学との連携についても論じる。翻訳ソフトの実力と作文や読解への利用の可能性にも言及する。
講義内容:「ダイナミックな発音の仕組みの理解を踏まえた発音・聴解訓練」の解説と訓練を行うとともに、発声の生理的仕組みをMRI動画やMRIを基に成型した声道模型、音読時の脳活動画像などを示して解説する
早期英語教育の私立小学校における実践
田縁眞弓
立命館小学校英語科アドバイザー 早期英語教育専攻
小学生対象の英語教材開発など早期英語教育の実践に長く関わるほか、都道府県教育委員会の小学校英語活動の指導研修の講師を務める。共著『英語の「授業力」を高めるために』(三省堂)のほか、『Boost!』『Hip!Hip!Hooray!』(ロングマン出版)を編集。松香フォニックス研究所講師トレーナー、ロングマンピアソンアカデミックコンサルタント、小学校英語指導者認定協議会英語指導育成トレーナー、元京都小学校英語教育研究会(KEE)顧問。
講義内容:現在多くの公立小学校の「英語活動」においては、誰が何を指導するか、生徒が習得したものをどう評価するか、について混沌とした状態にある。そんな中、10年以上の英語教育の歴史を持つ私立小学校などでは、英語が教科としてどう指導、評価されているか、「話し聴く」指導のみではなく、文字と音の認識に始まりそれを統合する「読み書く」指導の実際を検証するとともに、教室での実践の映像を交えて効果的指導法を紹介する。
英文法研究の英文法指導への応用
岡田伸夫
言語文化教育論講座教授 生成英文法・言語獲得・学習英文法専攻
生成文法理論の枠組みで英文法を解明し英文法獲得の説明を目指すとともに、それらの研究成果を学習英文法の内容とその指導法の改善に生かす方法を探っている。著書『言語科学と関連領域』(岩波書店)では言語理論と言語教育の関連について、また、『英語教育と英文法の接点』(美誠社)では英文法研究の成果の英文法指導への応用について論じた。検定教科書や学習参考書の編集・執筆にも従事。大学英語教育学会(JACET)副会長。
講義内容:コミュニケーション能力の育成には文法能力の育成が不可欠である。しかし、現在、学習者の文法能力を育成するために利用されている学習英文法の内容とその指導法には改善を要する点が多々ある。この講義では、語彙意味論と文法獲得の研究成果を学習英文法の内容とその指導法の改善に生かす方法を具体的に示す。
オーラルコミュニケーション実践授業(1)&(2)
ジェリー・ヨコタ
現代超域文化論講座教授 比較文学・演劇学専攻
比較文学・演劇学、特にパフォーマンス理論、ジェンダー理論を中心に研究。プリンストン大学より文学博士号取得。著書にThe Formation of the Canon of Noh: The Literary Tradition of Divine Authority(大阪大学出版会)。研究科の現代超域文化論講座ではジェンダー論を担当し、言説理論の応用及び修正を実践的に行う。
アンドリュー・村上スミス
言語文化教育論講座准教授 日本文学・比較文学専攻
大学院時代の研究テーマは「日本文学作品における方言」で、関西弁が用いられる谷崎潤一郎等の作品を取り上げ、プリンストン大学より文学博士号取得。比較文化、異文化コミュニケーションなどにも関心を寄せ「多文化主義とバイリンガリズム」についても講義。
講義内容:オーラルコミュニケーション能力の向上を図れるように、2クラスに分けて実践訓練を中心とした授業を行なう。講師がその専門知識を生かせるテーマや時事的な話題などについての英文を4、5編選んで問題を提起した上で、受講生と対話的に討議するが、ネイティブの立場での英語の授業についての講義と質疑も予定。受講者にとって、リフレッシュ体験にも学校での授業やALTとの連携の参考にもなると期待する。
ネット時代における国際英語の統合的実践
日野信行
言語文化教育論講座助教授 言語教育学・英語教育専攻
ラジオ「百万人の英語」講師として全国の英語学習者を相手に独自の教育法を実践した。自己の英語学習体験を分析した著書『トーフルで650点:私の英語修業』(南雲堂)でも知られる。学術面では、Cross-Cultural Literacy (共著、Regents/Prentice Hall)等の単行本に加え、World Englishes (英国)、Georgetown University Round Table on Languages and Linguistics (米国)、Asian Englishes(日本)などの国際学術誌に論文を発表。「大阪大学共通教育賞」3回受賞。
講義内容:本講師は、母語話者の言語的・文化的枠組を超えた「国際英語」の理念を中心に、「グローバル教育」や「メディアリテラシー教育」など、さまざまな教育的概念を統合する英語授業を実践。リアルタイムの英語ニュースを通して現実の英語ユーザーの世界に参加する授業をはじめとする本講師の取り組みを紹介しながら、これからの英語教育のあり方について考える。
認知的な視点から見た英文法
早瀬尚子
大阪外国語大学外国語学部准教授 認知言語学・意味論・構文文法専攻
認知言語学の分野で、主に英語の表現形式と意味との対応関係を研究。共著に『認知言語学の基礎』、著書に『認知文法の新展開:カテゴリー化と用法基盤モデル』、訳書に『構文文法論』(以上研究社)。『英語構文のカテゴリー形成:認知言語学の視点から』(勁草書房)では、所有格表現、have構文、分詞構文を研究。最近は言語に表れる主観性の問題に取り組む。
講義内容:英語の前置詞は用法や意味が様々に変化し捉えがたい。講義ではいくつかの前置詞の事例を取り上げて、それらの意味が互いに有機的につながっている有様を、経験に即した自然な形で理解する方法と英語教育への応用について考えるほか、「これも前置詞?」という例を取り上げ、日本語との比較も交えつつ、前置詞の役割について概観する。
英語の感覚を語法で養う
八木克正
関西学院大学大学院言語コミュニケーション文化研究科教授 英語辞書学・語法専攻
専門は英語学、特に英語の辞書学、語法、音声学、現代英語の実証的研究。著書『新しい語法研究』(山口書店)、『ネイティブの直観にせまる語法研究』(研究社)、『英語の文法と語法−意味からのアプローチ』(研究社)、『英和辞典の研究―英語認識の改善のために』(開拓社)。編著書『新英語学概論』(英宝社)など。『ランダムハウス英和大辞典 第二版』(小学館)ほか多数の辞書に関わり、『ユースプログレッシブ英和辞典』(小学館)では編集主幹。『英語教育』QB回答者。英語語法文法学会会長。日本英語音声学会副会長。
講義内容:英語教員にとって、新しい教授技術、言語習得理論、文法理論の研究などは重要なことだが、それらの技術・理論を教室で応用するために根本的に必要なものは「教員の英語力」である。それはTOEFL, TOEIC、英検で測定できるようなものではない、もっと根本的な英語の総合力である。この講義は、生徒の英語力を養成する立場から離れて、教員としての自らの英語力と英語教育力を省みる場としたい。
アリスのことば学:「読み」への応用と実践
沖田知子
言語文化教育論講座教授 ことば学(意味論・語用論・文体論)専攻
意味論・語用論・文体論などの観点から、ことばの選択や使用、遊びも対象に「ことば学」を研究。共著『アリスの英語_不思議の国のことば学』(研究社出版)、『アリスの英語2_鏡の国のことば学』(研究社出版)ではアリスのことばの世界を質的に分析。『コンピュータの向こうのアリスの国』(英宝社)ではコンピュータによる量的裏づけを試みる。
講義内容:コミュニケーション能力の育成にも実は「読み」の力が不可欠だが、この「読み」とは、ことばの選択や文脈なども含めて、「なぜこのような言い方をしどのようなことを言おうとしているのか」を意識して、立体的に心を読み解く力のことである。講義では、主にアリスの用例を用い、コミュニケーションと認知の原理から読み解く方法を探り、教材作成やサポート法などの紹介も行って、ことばの感性を磨く指導の一助にしたい。
申込要領
定 員
定員50名程度(先着順)
本講座は、社会と大学を直接的に結び、大学の基礎・応用研究などを学校その他の現場で生かしていただくことを主眼としており、中学、高校もしくは小学校などで英語教育に携わっている方ならびに携わることを目指している方を対象にしています。なお(規定以上の)講義を受講した方には大阪大学総長名の講座修了証書を授与しています。
教材作成・連絡費
7000円
参加申込み・問い合わせ
定員に達しましたので、申し込みは締め切りました。あしからずご了承下さい。
受付期間 7月2日(月)〜7月25日(水)(期限厳守)
1.お振り込み後、下記申込用紙を送付願います。
指定郵便振替口座へ受講者の氏名で振り込み(手数料は本人負担で)願います。
口座:00960‐0−168100
口座名義 : 大阪大学 言語文化研究科
※ 既に配布されているパンフレットでは振込先が「銀行口座」と印刷されていますが、正しくは上記のように「郵便振替口座」です。
2.氏名(フリガナ)、年齢、住所、電話番号、メールアドレス、職業、勤務先名を書いた受付用紙を下記まで郵送またはファックスで送付願います。
宛先:〒560−0043 豊中市待兼山町1−8 大阪大学言語文化研究科総務係
TEL:06−6850−5855 FAX:06−6850−5865
E-mail:genbunsoumu@ns.jim.osaka-u.ac.jp
「教員のための英語リフレッシュ講座」受講申込書
平成19年度大阪大学大学院言語文化研究科公開講座
「教員のための英語リフレッシュ講座」受講申込書
氏名(フリガナ) 年齢 才
住所 〒
TEL: ( ) 、E-mail:
職業 学校名 TEL: ( )
会場
大阪大学中之島センター(http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.html 地図掲載)
交通手段
電車によるアクセス
阪神本線 福島駅より徒歩約9分 JR東西線 新福島駅より徒歩約9分
JR環状線 福島駅より徒歩約12分 地下鉄四つ橋線 肥後橋駅より徒歩約10分
バスによるアクセス
大阪市バス 53系統・75系統 大阪駅前バスターミナル → 田蓑橋下車 徒歩1分
大阪市バス 107系統 天満橋 → 淀屋橋 → 肥後橋 → 土佐堀一丁目下車 徒歩6分
懇親会
閉講式後、受講生の方が講師と親しく意見交換のできる場を設けます
参加は自由です。(参加費1000円:振り込みはせず、当日会場でお支払いください。)
- 受付させていただきました教材作成・連絡費は、欠席された場合でも、返金できませんのでご了承ください。
- 本公開講座修了証書は全講義の60%以上に出席の受講生の方に授与されます。それ未満の方には受講証明書を後日送付します。
- 申し込みの際に必要な受講生の情報は、連絡先の把握及び今後の公開講座運営上の統計資料作成以外には使用しません。
問い合わせ
大阪大学大学院言語文化研究科 総務係
(TEL:06-6850-5855, E-mail:genbunsoumu@ns.jim.osaka-u.ac.jp)
公開講座アンケート集計
- アンケート.pdf(0)
主催:大阪大学大学院言語文化研究科
後援:大阪府教育委員会・兵庫県教育委員会