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KoukaiH18

平成18年度大阪大学大学院言語文化研究科公開講座
「教員のための英語リフレッシュ講座」



開催日時・概要

日時:平成18年8月6日(日)、8月7日(月)、8月8日(火)
会場:大阪大学中之島センター

 近年、オーラルコミュニケーション能力の育成を目指すカリキュラムの推進に伴い、中学・高校の現場においては、具体的な指導内容・方法・技術などの面でさまざまな工夫が模索されている。小学校における英語導入やセンター試験におけるリスニングにどう対処するかという問題もある。本講座では、とかく生徒には役に立たないと敬遠されがちな文法、読解などの意義を、最近の理論的な知見、作品の意味・語用・文体論的分析、そして実際の運用における有用性の認識を踏まえて見直し、教員それぞれが得意とする技量を適切に活かし生徒も納得できる魅力的で効果的な教え方を提案する。さらに、(認知心理学や脳イメージングなど)関連研究領域の最近の理論的な知見を踏まえ、コミュニケーション能力の育成につながる授業展開のあり方を(ネットやCALLの活用を含めて)総合的に考察する。そして、発音の動的な変化の仕組みを分かりやすく解説・訓練するとともに、ネイティヴスピーカーによる体験授業を通じて英語運用力の実質的向上も目指す。全体討論では、講師陣が受講の先生方の抱えるいろいろな問題、疑問に専門的知見を踏まえて答えるほか、旬なトピックについて論じる。

スケジュール・講師および演題


 8月6日(日)

09:15〜09:25  開講式   (大阪大学大学院言語文化研究科長) 金崎春幸



09:30〜12:10「英文法研究の英文法指導への応用」
          (大阪大学大学院言語文化研究科教授)  岡田伸夫
13:00〜15:40「新時代の英語のカリキュラムと現代技術」
          (大阪大学大学院言語文化研究科教授)  成田 一
15:50〜17:00「発音の科学:ダイナミックメカニズムと訓練」  同上

 8月7日(月)

09:30〜12:10「アリスのことば学:「読み」への応用と実践」
           (大阪大学大学院言語文化研究科教授)   沖田知子
13:00〜15:40「ネット時代における国際英語の統合的実践」
          (大阪大学大学院言語文化研究科助教授)   日野信行
15:50〜17:00「バイリンガリズムと外国語教育」
(関西学院大学大学院言語コミュニケーション文化研究科教授)  山本雅代

 8月8日(火)

09:30〜12:10「オーラルコミュニケーション実践授業(1)」
(大阪大学大学院言語文化研究科教授)ジェリー・ヨコタ (同助教授) アンドリュー・村上スミス
13:00〜15:00「オーラルコミュニケーション実践授業(2)」      同上
15:10〜16:30「全体討論(質疑&トピック討論:小学校英語の問題と連携)」 講師全員
    ★評価アンケート記入


16:45〜17:00  閉講式(本講座修了証(総長名)授与式)
               (大阪大学大学院言語文化研究科長) 金崎春幸
17:15〜18:30  懇親会

講師プロフィールならびに講義内容


 英文法研究の英文法指導への応用

岡田伸夫
言語文化教育論講座教授 生成英文法・言語獲得・学習英文法専攻

生成文法理論の枠組みで英文法を解明し英文法獲得の説明を目指すとともに、それらの研究成果を学習英文法の内容とその指導法の改善に生かす方法を探っている。著書『言語科学と関連領域』(岩波書店)では言語理論と言語教育の関連について、また、『英語教育と英文法の接点』(美誠社)では英文法研究の成果の英文法指導への応用について論じた。検定教科書や学習参考書の編集・執筆にも従事。大学英語教育学会(JACET)副会長。

講義内容:コミュニケーション能力の育成には文法能力の育成が不可欠である。しかし、現在、学習者の文法能力を育成するために利用されている学習英文法の内容とその指導法には改善を要する点が多々ある。この講義では、生成文法の研究成果を学習英文法の内容とその指導法の改善に生かす方法を具体的に示す。

 新時代の英語のカリキュラムと実践技術 
発音の科学:ダイナミックメカニズムと訓練

成田一
言語文化教育論講座教授 英日対照構造論・機械翻訳・授業改善専攻

日英語構造のほか機械翻訳の言語処理と評価法を研究。小学校での英語導入と中高大の連携問題についても新聞雑誌等で持論展開。著書『名詞』(研究社)、『こうすれば使える機械翻訳』(バベルプレス)、『日本語の名詞修飾表現』(くろしお出版)、『パソコン翻訳の世界』(講談社)、『私のおすすめパソコンソフト』(岩波書店)ほか、新聞、雑誌に掲載、取材記事多数。セミナーや講演も頻繁。(JACET)英語教育総合研究会代表。

講義内容:最近の英語教育では文法・読解と運用の授業との関係の認識が明確でない。講義では、従来の教育で残すべき部分を見据え、運用能力の育成にも繋がる授業展開のあり方を、個々の先生の力量を活かし生徒の学習意欲を高めるという視点から、実践の指針と技術を含め総合的に検討する。「外国語学習のあり方が母語獲得と違う」ことを脳画像によっても解説。作文や読解への翻訳ソフトの利用の可能性についても論じる。
講義内容:「ダイナミックな発音の仕組みの理解を踏まえた発音・聴解訓練」の解説と訓練を行うとともに、発声の生理的仕組みをMRI動画やMRIを基に成型した声道模型、音読時の脳活動画像などを示して解説する

 アリスのことば学:「読み」への応用と実践

沖田知子
言語文化教育論講座教授 ことば学(意味論・語用論・文体論)専攻

意味論・語用論・文体論などの観点から、ことばの選択や使用、遊びも対象に「ことば学」を研究。共著『アリスの英語_不思議の国のことば学』(研究社出版)、『アリスの英語2_鏡の国のことば学』(研究社出版)ではアリスのことばの世界を質的に分析。『コンピュータの向こうのアリスの国』(英宝社)ではコンピュータによる量的裏づけを試みる。

講義内容:コミュニケーション能力の育成にも実は「読み」の力が不可欠だが、この「読み」とは、ことばの選択や文脈なども含めて、「なぜこのような言い方をしどのようなことを言おうとしているのか」を意識して、立体的に心を読み解く力のことである。講義では、主にアリスの用例を用い、コミュニケーションと認知の原理から読み解く方法を探り、教材作成やサポート法などの紹介も行って、ことばの感性を磨く指導の一助にしたい。

 ネット時代における国際英語の統合的実践

日野信行
言語文化教育論講座助教授 言語教育学・英語教育専攻

ラジオ講座『百万人の英語』講師として独自の教育法を実践した。自己の英語学習体験を分析した『トーフルで650点:私の英語修業』(南雲堂)、Cross-Cultural Literacy (共著、Regents/Prentice Hall)その他の単行本に加え、World Englishes (英国)、Georgetown University Round Table on Languages and Linguistics (米国)、Asian Englishes(日本)など国際学術誌に論文を掲載。「大阪大学共通教育賞」2回受賞。

講義内容:講師は、母語話者の言語的・文化的枠組を超えた「国際英語」の理念を中心に、「グローバル教育」「メディアリテラシー教育」「実践共同体への正統的周辺参加」など、さまざまな教育的概念を統合する形での英語授業を実践。衛星放送とインターネットを併用したリアルタイムでの時事英語教育など、本講師の取り組みを紹介しながら、英語教育理論の実際的な具現化について考えてみたい。

 バイリンガリズムと外国語教育

山本雅代
関西学院大学大学院言語コミュニケーション文化研究科教授 バイリンガリズム専攻

日本における「第1言語としてのバイリンガリズム」研究の第一人者。教育学博士。『バイリンガル』(大修館書店)、『バイリンガルはどのようにして言語を習得するのか』(明石書店)、Language Use in Interlingual Families: A Japanese-English Sociolinguistic Study (Multilingual Matters)など著書・論文多数。異文化間教育学会理事。

講義内容:否定的なバイリンガリズム観の時代には、複数の言語習得は年齢の低い子どもには知的な過重負担であり、その知的発達に好ましくない影響を及ぼすとの指摘がなされたが、肯定的な潮流になると、バイリンガルの認知機能は特有の発達様式を持ち、2言語の習得は概念形成、抽象的思考、思考の柔軟性などに有利に働くとされた。講義ではこうした研究の知見が、外国語としての言語教育に何か語るところがないかを考えたい。

 オーラルコミュニケーション実践授業(1)&(2)

ジェリー・ヨコタ
現代超域文化論講座教授 比較文学・演劇学専攻

比較文学・演劇学、特にパフォーマンス理論、ジェンダー理論を中心に研究。プリンストン大学より文学博士号取得。著書にThe Formation of the Canon of Noh: The Literary Tradition of Divine Authority(大阪大学出版会)。研究科の現代超域文化論講座ではジェンダー論を担当し、言説理論の応用及び修正を実践的に行う。

アンドリュー・村上スミス
言語文化教育論講座助教授 日本文学・比較文学専攻

大学院時代の研究テーマは「日本文学作品における方言」で、関西弁が用いられる谷崎潤一郎等の作品を取り上げ、プリンストン大学より文学博士号取得。比較文化、異文化コミュニケーションなどにも関心を寄せ「多文化主義とバイリンガリズム」についても講義。

講義内容:受講者がオーラルコミュニケーション能力の向上を図れるように、2クラスに分けて実践訓練を中心とした授業を行なう。講師がそれぞれの専門知識を生かせるテーマないし時事的な話題などについての英文を4、5編選んでいくつかの問題を提起した上で、受講生と対話的に討議する。受講者の教員の方々にとって、リフレッシュ体験にも学校での授業の参考にもなると期待する。テキストの英文を読んでおくことが望ましい。

申込要領

 定  員

 定員50名(先着順)

 本講座は、社会と大学を直接的に結び、大学の基礎研究を学校その他の現場で生かしていただくことを目指しており、中学、高校もしくは小学校などで英語教育に携わっている方はもちろんのこと、広く第二言語習得に関心を持っている一般の方も対象にしています。

 教材作成・連絡費

 6000円

 参加申込み・問い合わせ

 受付期間 7月1日(土)〜7月25日(火)(期限厳守)

1.お振り込み後、下記申込用紙を送付願います。
  指定郵便振替口座へ受講者の氏名で振り込み(手数料は本人負担で)願います。

    口座:00960‐0−168100
    口座名義 : 大阪大学 言語文化研究科


2.氏名(フリガナ)、年齢、住所、電話番号、メールアドレス、職業、勤務先名を書いた受付用紙を郵送またはファックスで送付願います。

 宛先:〒560−0043 豊中市待兼山町1−8 大阪大学言語文化研究科総務係
  TEL:06−6850−5855     FAX:06−6850−5865
  E-mail:genbunsoumu@ns.jim.osaka-u.ac.jp



(例)
平成18年度大阪大学大学院言語文化研究科公開講座
「教員のための英語リフレッシュ講座」受講申込書

氏名(フリガナ)                      年齢   才
住所 〒                 
            TEL:  (   )    E-mail:
職業       学校名             TEL:  (   )    
懇親会参加: する  しない


*パンフレットも用意しております(申込書も付属しています)。ご入り用の場合は下記までお問い合わせください。


問い合わせ    大阪大学言語文化研究科総務係
         TEL:06−6850−5855 
         E-mail:genbunsoumu@ns.jim.osaka-u.ac.jp


会場

大阪大学中之島センター(http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.html 地図掲載)

交通手段

 電車によるアクセス

阪神本線 福島駅より徒歩約9分   JR東西線 新福島駅より徒歩約9分
JR環状線 福島駅より徒歩約12分 地下鉄四つ橋線 肥後橋駅より徒歩約10分

 バスによるアクセス

大阪市バス 53系統・75系統 大阪駅前バスターミナル → 田蓑橋下車 徒歩1分
大阪市バス 107系統 天満橋 → 淀屋橋 → 肥後橋 → 土佐堀一丁目下車 徒歩6分 

懇親会

閉講式後、講師全員が参加し受講生の方と親しく意見交換のできる場を設けます。
参加は自由です。(会費2500円:振込みはせずに、当日会場でお支払い下さい。)

お知らせ・お願い

  • 8月6日(日)は9:15から開講式がありますので時間に余裕をもってお越し下さい。
  • 受付させていただきました教材作成・連絡費は、欠席された場合でも、返金できませんのでご了承下さい。
  • 本公開講座修了証は基準出席率以上の受講生の方に授与されます。一部欠席の方には受講証明書を後日送付します。
  • 申し込みの際に必要な受講生の情報は、連絡先の把握及び今後の公開講座運営上の統計資料作成以外には使用しません。

平成18年度公開講座「教員のための英語リフレッシュ講座」については、定員に達しましたので、受講申し込みについては、全て終了いたしました。どうもありがとうございました。

平成19年度についても予定しており、実施内容が決まり次第本ホームページにて公開する予定にしておりますので、ご応募してくださいますようよろしくお願い申し上げます。



主催:大阪大学大学院言語文化研究科
後援:大阪府教育委員会・兵庫県教育委員会