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KoukaiH17

平成17年度大阪大学大学院言語文化研究科公開講座
「教員のための英語リフレッシュ講座」



開催日時・概要

日時:平成17年8月8日(月)、8月9日(火)
会場:大阪大学中之島センター

 近年、オーラルコミュニケーション能力の育成を目指すカリキュラムの推進に伴い、中学・高校の現場においては、具体的な指導内容・方法・技術などの面でさまざまな工夫が模索されている。小学校における英語導入やセンター試験におけるリスニングにどう対処するかという問題もある。本講座では、とかく生徒には役に立たないと敬遠されがちな文法、読解などの意義を、最近の理論的な知見、作品の意味・語用・文体論的分析、そして実際の運用における有用性の認識を踏まえて見直し、教員それぞれが得意とする技量を適切に活かし生徒も納得できる魅力的で効果的な教え方を提案する。さらに、(認知心理学や脳イメージングなど)関連研究領域の最近の理論的な知見を踏まえ、コミュニケーション能力の育成につながる授業展開のあり方を(ネットやCALLの活用を含めて)総合的に考察する。そして、発音の動的な変化の仕組みを分かりやすく解説・訓練するとともに、ネイティヴスピーカーによる体験授業を通じて英語運用力の実質的向上も目指す。全体討論では、大学院言語文化研究科教授陣が、受講の先生方の抱えるいろいろな問題、疑問に専門的知見を踏まえて答える。

講師および演題


8月8日(月)09:00〜09:10 開講式  (大阪大学大学院言語文化研究科長)木村健治

8月8日(月)

 09:10〜12:00 「新時代の英語のカリキュラムと実践技術」
   (大阪大学大学院言語文化研究科教授)   成田一
 13:00〜15:50 「英文法研究の英文法指導への応用」
   (大阪大学大学院言語文化研究科教授)   岡田伸夫
 16:00〜18:00 「オーラルコミュニケーション実践授業」
   (大阪大学大学院言語文化研究科教授)   ジェリー・ヨコタ
   (大阪大学大学院言語文化研究科助教授)  アンドリュー・村上スミス

8月9日(火)

 09:10〜12:00 「アリスのことば学:「読み」への応用と実践」
   (大阪大学大学院言語文化研究科教授)   沖田知子
 13:00〜15:50 「ネット時代における国際英語の統合的実践」
   (大阪大学大学院言語文化研究科助教授)   日野信行

 全体討論             講師全員


8月9日(火)17:40〜18:00 閉講式  (本公開講座修了証授与式)


講師プロフィールならびに講義内容


 新時代の英語のカリキュラムと実践技術

成田一
言語文化教育論講座教授 英日対照構造論、機械翻訳、授業計画専攻

日英語構造のほか機械翻訳の言語処理と評価法を研究。小学校での英語導入と中学・高校・大学における英語教育との連携問題についても新聞雑誌等で主張を展開。著書『名詞』(研究社)、『こうすれば使える機械翻訳』(バベルプレス)、『日本語の名詞修飾表現』(くろしお出版)、『パソコン翻訳の世界』(講談社)、『私のおすすめパソコンソフト』(岩波書店)や大学英語テキストのほか、機械翻訳や英語・日本語についての論考を、論文、新聞、専門誌、雑誌に掲載、取材記事多数。国内外学会のセッション座長のほかセミナーや講演も頻繁に行なっている。

講義内容:中学・高校においては英語カリキュラムが変更される中、その指導にあたって、文法・読解と運用の授業との関係の認識が明確でない嫌いがある。講義では、従来の教育で残すべき部分を見据え、運用能力の育成にも繋がる授業展開のあり方を、個々の先生の力量を活かし生徒の学習意欲を高めるという視点から、実践の指針と技術を含め総合的に検討する。「外国語学習のあり方が母語獲得と違う」ことを脳画像によっても解説する。また、「ダイナミックな発音の仕組みの理解を踏まえた発音・聴解訓練」の指導方法をMRI動画も示して解説するほか、機械翻訳の能力を言語的に説明した上で、作文や読解への翻訳ソフトの利用の可能性についても論じる。

 英文法研究の英文法指導への応用

岡田伸夫
言語文化教育論講座教授 生成英文法、言語獲得、学習英文法専攻

生成文法理論にのっとり、英文法を解明し、英文法獲得を説明することを目指している。あわせて、それらの研究成果を学習英文法の内容とその指導法の改善に生かす方法をさぐっている。最近の著書『言語科学と関連領域』(岩波書店)では言語理論と言語教育の関連について、また、『英語教育と英文法の接点』(美誠社)では英文法研究の成果の英文法指導への応用について論じた。検定教科書や学習参考書の編集・執筆にも従事している。大学英語教育学会(JACET)関西支部長。日本英語学会大会運営委員長。

講義内容:コミュニケーション能力の育成にあたっては文法能力の育成が不可欠である。しかし、現在、学習者の文法能力を育成するために利用されている学習英文法の内容とその指導法には改善を要する点が多々ある。この講義では、語彙意味論と文法獲得の研究成果を学習英文法の内容とその指導法の改善に生かす方法を具体的に示す。

 オーラルコミュニケーション実践授業

ジェリー・ヨコタ
現代超域文化論講座 教授 比較文学、演劇専攻

比較文学・演劇学、特にパフォーマンス理論、ジェンダー理論を中心に研究してきた。この研究でプリンストン大学より文学博士号取得。著書にThe Formation of the Canon of Noh: The Literary Tradition of Divine Authority(大阪大学出版会)。研究科ではジェンダー論を担当し、言説理論の応用及び修正を実践的に行っている。語学教育ではCritical Thinkingを表現するための英語能力を育成することにより、世界の将来を決定するコミュニケーション達人の養成を目指す。

アンドリュー・村上スミス
言語文化教育論講座助教授 日本文学、比較文化、英語教育専攻

大学院時代の研究テーマは「日本文学作品における方言」で、関西弁が用いられる谷崎潤一郎等の作品を取り上げ、プリンストン大学より文学博士号取得。10年以上日本に住む体験から比較文化、異文化コミュニケーションなどにも関心を寄せるほか、5歳になる娘の日英語習得プロセスを見守り、「多文化主義とバイリンガリズム」についても講義。阪大ではオーラル・コミュニケーションやリスニングを100%英語で授業している。

講義内容:受講者がオーラルコミュニケーション能力の向上を図れるように、2クラスに分けて実践訓練を中心とした授業を行なう。講師がそれぞれの専門知識を生かせるテーマないし時事的な話題などについての英文を4、5編選んでいくつかの問題を提起した上で、受講生と対話的に討議する。受講者の教員の方々にとって、リフレッシュ体験にも学校での授業の参考にもなると期待する。成田講師の講義終了後に、受講したい講師の調査を行なう。できるだけ、希望に沿うようにするが受講生の偏りが無いように調整する。このため、どちらの講師になるかは未定だが、テキストの英文を読んでおくことが望ましい。

 アリスのことば学:「読み」への応用と実践

沖田知子
言語文化教育論講座教授 ことば学(意味論・語用論・文体論)専攻

専攻は英語学で、特に意味論・語用論・文体論などを含めた広範な観点から、ことばの選択や使用、ときには遊びも対象にいれた「ことば学」の研究を行っている。共著『アリスの英語―不思議の国のことば学』(研究社出版)、『アリスの英語2―鏡の国のことば学』(研究社出版)ではアリスのことばの世界の質的分析を行ったが、近共著『コンピュータの向こうのアリスの国』(英宝社)では、新たにコンピュータを利用して量的な裏づけを試みている。

講義内容:コミュニケーション能力の育成にも、実は「読み」の力が不可欠ではないだろうか。この場合の「読み」とは、言語使用者のことばの選択や文脈なども含めて、なぜこのような言い方をし、どのようなことを言おうとしているのかなどを意識して、立体的に心を読み解く力のことである。講義では、おもにアリスからの用例を利用して、コミュニケーションと認知の原理から読み解く方法のリフレッシュをねらいたい。また、指導の際に役立つような教材作成やサポート法などの紹介も行って、ことばに対する気づきの感性を磨く指導の一助になればと考えている。

 ネット時代における国際英語の統合的実践

日野信行
言語文化教育論講座助教授 言語教育学・英語教育専攻

かつて、ラジオ講座『百万人の英語』講師として、全国の英語学習者を対象に独自の教育法を実践した。自己の英語学習体験を分析した『トーフルで650点:私の英語修業』(南雲堂)などの著書でも知られる。学術面では、Cross-Cultural Literacy (共著、Regents/Prentice Hall)その他の単行本に加え、World Englishes (英国)、Georgetown University Round Table on Languages and Linguistics (米国)、Asian Englishes(日本)などの国際学術誌に論文を発表している。

講義内容:講師は、母語話者の言語的・文化的枠組を超えた「国際英語」の理念を中心に、「グローバル教育」「メディアリテラシー教育」「実践共同体への正統的周辺参加」など、さまざまな教育的概念を統合する形での英語授業を大学において実践している。衛星放送とインターネットを併用したリアルタイムでの時事英語教育など、本講師の取り組みを紹介しながら、英語教育理論の実際的な具現化について考えてみたい。本講師はこの授業実践により、平成14年度及び16年度の2回にわたって、「大阪大学共通教育賞」を受賞した。

申込要領

 定  員

 定員50名(先着順)

 本講座は、社会と大学を直接的に結び、大学の基礎研究を学校その他の現場で生かしていただくことを目指しており、中学、高校もしくは小学校などで英語教育に携わっている方はもちろんのこと、広く第二言語習得に関心を持っている一般の方も対象にしています。

 受 講 料

 全講義で7200円(テキスト代含む)

 参加申込み

 受付期間 7月1日(金)〜8月1日(月)(期限厳守)

1.指定振込銀行口座へ受講者の氏名で振り込み願います。(振込手数料は、本人負担でお願いします。)
        口座種類等: UFJ銀行茨木支店 普通預金 1300851
        口座名義 : 大阪大学 言語文化研究科

2.お振り込み後、お手数ですが、下記の例のような申込書(氏名(フリガナ)、年齢、住所、電話番号、メールアドレス、職業、勤務先名、懇親会参加の有無を記載したもの)を作成いただき、下記の宛先まで郵送またはファックスで送付願います。また、下記申込書に必要事項を書き込んで、e-mailでお申し込みいただいても結構です。

宛先:〒560-0043 豊中市待兼山町1−8 大阪大学言語文化研究科総務係
         FAX:06−6850−5865
         E-mail:genbunsoumu@ns.jim.osaka-u.ac.jp


(例)
平成17年度大阪大学大学院言語文化研究科公開講座
「教員のための英語リフレッシュ講座」受講申込書

氏名(フリガナ)                      年齢   才
住所 〒                 
            TEL:  (   )    E-mail:
職業       学校名             TEL:  (   )    
懇親会参加: する  しない


*パンフレットも用意しております(申込書も付属しています)。ご入り用の場合は下記までお問い合わせください。


問い合わせ     同研究科総務係 TEL:06−6850−5855 
          E-mail:genbunsoumu@ns.jim.osaka-u.ac.jp


会場案内

会  場 大阪大学中之島センター(http://www.onc.osaka-u.ac.jp 地図掲載)

交通手段 電車によるアクセス
阪神本線 福島駅より徒歩約9分   JR東西線 新福島駅より徒歩約9分
JR環状線 福島駅より徒歩約12分 地下鉄四つ橋線 肥後橋駅より徒歩約10分
     バスによるアクセス
大阪市バス 53系統・75系統 大阪駅前バスターミナル → 田蓑橋下車 徒歩1分
大阪市バス 107系統 天満橋 → 淀屋橋 → 肥後橋 → 土佐堀一丁目下車 徒歩6分 

お知らせ・お願い

懇親会 閉講式後、講師全員が参加し受講生の方と親しく意見交換のできる場を設けます。
参加は自由です。(会費2000円:振込みはせずに、当日会場でお支払い下さい。)

  • 8月8日(月)は9:00から開講式がありますので時間に余裕をもってお越し下さい。
  • 受付させていただきました受講料は、欠席された場合でも、返金できませんのでご了承下さい。
  • 本公開講座修了証は全講義に出席の受講生の方に授与されます。一部欠席の方には受講証明書を後日送付します。
  • 申し込みの際に必要な受講生の情報は、連絡先の把握及び今後の公開講座運営上の統計資料作成以外には使用しません。


主催:大阪大学大学院言語文化研究科
後援:大阪府教育委員会・兵庫県教育委員会