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研修旅行2005

研修旅行レポート

報告者 岩根 久

 5月14日(土)

当日は好天に恵まれ、幸先のいいスタート。

出発

12時45分言語文化研究科前に集合しました。

セミナーハウスに到着

思ったより早く午後1時半過ぎに神戸セミナーハウスに到着。ハルゼミの合唱に迎えられました。それにしてもハルゼミはゲーゲーと悪い鳴き声です。晩春から初夏にかけて出てきて松の木を好む蝉だとのこと。

   春蝉や二谷かけて峯かけて(虚子)

実はそのとき蝉の声だと言っても、木村研究科長になかなか信用してもらえなかったのですが、ご自身5月21日に天王山に登ったときに(木村先生のホームページ参照)同じ鳴き声を耳にされたそうです。信用挽回。

研修

参加した新入生の自己紹介の後、高岡幸一先生の講演です。

演題は「芭蕉とレトリック」。芭蕉の発句をヨーロッパのレトリックの枠組みで整理してのお話でした。俳句(芭蕉の場合は俳諧の発句ですが)というのはなかなか恐ろしく奥の深いテーマですが、興味深く聞かせていただきました。お話は「ラシーヌと芭蕉は同世代なので興味をもった」という目から鱗の切り口で始まりましたが、力こぶを入れた講演でなく、何かフッと抜いたところがあるような、それでいて心に訴えるような、名人芸を思わせる講演でした。

特に、前々から気になっていた「命なりわずかの笠の下涼み」(芭蕉が佐夜の中山で詠んだ句とされている。実は『野ざらし紀行』の句だと思い込んでいたのですが、それよりも8年前の延宝4年、伊賀上野帰郷の折りの句でした)についてのご説明が高岡先生らしく、感銘を受けました。この句は西行法師(*註)の面影を頭に浮かべないと「命なり」が大げさ過ぎてつまらない句になってしまうのですが、私の頭の中では講演中の高岡先生が西行法師に重なって二重に面白かったです。西洋の文化や日本の文化についてのそれなりの知識が前提になっている講演だったので、留学生の新入生にはちょっとわかりづらかったのではないかと思います。

  • 註 年たけてまた越ゆべしとおもいきや命なりけり佐夜の中山(西行 新古今集)

 西行(1118―1192)晩年69歳の時に陸奥の国へ向かう途上の歌といわれています。芭蕉はこの「命なりけり」の句の意味を微妙にずらして用いているという訳です。

受講者の皆さんは熱心に講演を聴いています。

講演のあとは、博士後期課程の先輩のお話です。トップバッターは石川弓子さん。修士論文を作成する上でのスケジュールの立て方など、ご本人の経験を交えてのお話でした。お話のままだと「こんなにしんどいのか」と肝を冷やした新入生もいることでしょうが、実は適当に息抜きをしているとのことで、それを聞けばちょっと安心かも。

次に、上田恭寿さんのお話。良い論文のための3つの条件。「良いテーマ、良い先生、良い友人」と、木村研究科長のお言葉だったそうですが、当の木村先生はそんなことを言ったとはすっかり忘れていたそうです。会社におられた時の採用面接試験の話など面白いお話が盛りだくさんでした。要は「よく考えること」。当たり前のようですが、それが基本ですので、上田さんのお話の中にもあった下記の教訓、皆さん忘れないように。

學而不思則罔  学びて思わざればすなわちくらし
思而不學則殆  思ひて学ばざればすなちあやうし
(論語 為政)

五十にして惑い続けている報告者の自戒もこめて。

夕食

研修を終え、入浴後、食堂で楽しい晩御飯のひとときです。

晩御飯のあとは場所を変えて懇親会。高岡先生のイニシアティブで宴会は盛り上がります。出しものは「英語A,B,C動物記憶術」「プク先生」「こんぴらふねふね」「ことわざ当て」など。

 5月15日(日)

この日も午前中は好天で、午後少し天気はぐずれましたが、なんとか天気は持ちました。

朝食

朝食。昨日の夜更かしの疲れがほのかに感じられます。昨晩3時半くらいまで歓談していて、朝はテニスをして元気なグループもあったようです。教員は老人なのでほとんどみんなヘロヘロ。

立杭 陶の里 陶芸鑑賞

兵庫県今田(こんだ)町の陶の里(すえのさと)を見学。里山の緑が色濃く、心が和みます。丹波といえば丹波黒という黒豆で有名で、その枝豆はビールのお供に抜群です。黒豆を利用したコーヒー(美味しいかも)や黒豆シャーベットもあります。

ビール工場見学

キリンビール神戸工場のレストランで昼食。さすが、ビールが美味しい。

工場見学。案内のお姉さんの引率でビール製造の工程を勉強しました。ビールという西洋のアルコール文化がいかにして日本の風土に定着してきたかを言語文化的に考察することがこの見学の趣旨です(ちょっとウソっぽいが)。

工場前で記念撮影。見学中に少し雨が降ったようでした。このあとバスで言語文化研究科に無事戻り、午後3時半ごろに解散しました。企画いただいた大学院教務委員長の高岡幸一先生、研修に伴う種々の作業を担当していただいた大学院係の三枡さん、中橋さん、参加いただいた教員・院生の皆さんに感謝。楽しく有意義な研修でした。