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キャンパス・ハラスメント追放宣言(2010)

キャンパス・ハラスメント追放宣言(平成22年度版)


 相談員(平成22年度)


【ご注意】
以下のメールアドレスは、キャンパス・ハラスメントに関する相談員の専用アドレスです。こちらで受け付けられる相談は、本研究科にかかわるキャンパス・ハラスメント問題に限定されます。それ以外のご相談は、送信をご遠慮いただきますよう、お願いします。

なお、相談の際は、まずメールでご連絡をいただき、面談の日時・方法等を相談員と打ち合わせてください。

言語文化専攻の相談員 (メールアドレスの@は@に置き換えてください)

早瀬 尚子 (HAYASE Naoko) (言語認知科学講座)
E-mail: soudan03@lang.osaka-u.ac.jp

吉野 真理子 (YOSHINO Mariko) (事務部総務係長)
E-mail: soudan04@lang.osaka-u.ac.jp

沖田 知子 (OKITA Tomoko) (言語コミュニケーション論講座)
E-mail: soudan02@lang.osaka-u.ac.jp

言語社会専攻の相談員 (メールアドレスの@は@に置き換えてください)

藤平 シルヴィ (FUJIHIRA Sylvie) (地域言語社会講座)
E-mail: soudan_s01@lang.osaka-u.ac.jp

加藤 昌彦 (KATO Atsuhiko) (地域言語社会講座)
E-mail: soudan_s02@lang.osaka-u.ac.jp

吉澤 佐代子 (YOSHIZAWA Sayoko) (言語社会専攻事務係)
E-mail: soudan_s03@lang.osaka-u.ac.jp

 改訂にあたって

 本研究科では、セクシュアル・ハラスメントのないキャンパスづくりをめざす全学のガイドラインに先駆けて、平成11年度より部局内に人権問題委員会、セクシュアル・ハラスメント問題小委員会、相談員をおき、この問題に取り組んできました。

 平成14年度からはさらに踏み込んで、従来のセクシュアル・ハラスメント問題小委員会をキャンパス・ハラスメント問題小委員会に改め、セクシュアル・ハラスメント及びこれに類した個人の尊厳に対する侵害、ならびにこれらに起因する問題も対象とし、広く「キャンパス・ハラスメント」を防止する体制に取り組むことになりました。キャンパス・ハラスメントとは、キャンパスにおけるさまざまな個人の尊厳に対する侵害をさします。これも全学に先駆けた試みとなりました。

 平成17年度の大学院整備拡充にともない、大阪大学言語文化部は廃止され、大阪大学大学院言語文化研究科へと一体化されました。さらに平成19年10月より、大阪大学と大阪外国語大学の統合にともない、言語文化研究科は、言語文化専攻(豊中キャンパス)と言語社会専攻(箕面キャンパス)の二つの専攻で構成されています。これを受けて、平成22年1月からは、両専攻の人権問題委員会内にそれぞれキャンパス・ハラスメント問題小委員会を置き、引き続きキャンパス・ハラスメントのない環境を目指して活動しています。

 最近では大阪大学も、これまで言語文化研究科がキャンパス・ハラスメントの一部とみなし、一貫してその解決と防止に努めてきたアカデミック・ハラスメントやパワー・ハラスメントに対して、全学を挙げて積極的に取り組む方針を打ち出しています。

 大阪大学大学院言語文化研究科は、キャンパスのすべての構成員が、キャンパス・ハラスメントが個人の尊厳に対する侵害であるとの認識を深め、互いに人権を尊重しあい、対等にコミュニケーションができる環境を実現することを目的とし、このリーフレットを作成しました。

大阪大学大学院言語文化研究科
キャンパス・ハラスメント問題小委員会
平成22年3月

 1.セクシュアル・ハラスメントとは何か

 キャンパス・ハラスメントの中でいちはやく認知されたのが、セクシュアル・ハラスメントです。セクシュアル・ハラスメントとは、他の者を不快にさ せる性的および性差別的な言動を指します。その認定に関しては、被害者の判断が基準となります。つまり、そのような言動を受けている者が「いやだ」と感じ たら、やっている本人がセクシュアル・ハラスメントだと思っていなくても、それはセクシュアル・ハラスメントとなりうるのです。

 言語文化研究科では、勉学・研究・就労上の関係を利用してなされる次の行為は、すべてセクシュアル・ハラスメントとみなします。

一 相手方の望まない性的および性差別的な性質の言動を行うことによって、相手方に屈辱感や不快感あるいは不安感を与え、相手方の人格や尊厳を傷つけること。

二 性的な要求に服従したことに対して、就学・就労の上で利益を与えること、または、それを拒否したことに対して、不利益を与えること。

三 就学・就労の上で利益を提供すること、または不利益を与えることを示唆して、性的な誘いかけを行ったり、性的に好意的な態度を要求すること。

四 性的な言動・掲示などによって、就学・就労環境を悪化させること。

五 性別による役割分担意識に基づく言動・掲示などによって、就学・就労環境を悪化させること。

     (「大阪大学大学院言語文化研究科におけるキャンパス・ハラスメントの防止等に関する規程」第2条より)

 セクシュアル・ハラスメントにはさまざまな状況が考えられます。上司と部下、教員と院生・学生という関係だけでなく、同僚間や、学生同士の関係であっても、セクシュアル・ハラスメントは起こりえます。異性間だけでなく、同性間においても行われる場合があります。また、キャンパス外や終業後に行われたとしても、それはセクシュアル・ハラスメントです。そして、当事者間においては特に問題とならなくても、それにより周囲の者に不快感・不安感を与えたら、それもセクシュアル・ハラスメントとなります。性別による役割分担意識に基づく言動なども、セクシュアル・ハラスメントになることを忘れてはなりません。

 2.キャンパス・ハラスメントの追放をめざして


 セクシュアル・ハラスメントとは、単なる「性的嫌がらせ」ではなく、深刻な人権問題であり、教育問題であり、労働問題なのです。大学のキャンパスはそこで学び、研究し、働く者にとって、その場を離れることのできない場所です。その場を離れることは、すなわち教育の機会を失い、職を失うことになります。このような環境のもとではとりわけ、構成員は等しく人権を尊重し、またその人権が尊重されなければなりません。

 さらに、セクシュアル・ハラスメントにみられる性的要素を含まなくとも、キャンパスのあらゆる場での差別的扱いや就学上・就業上の利益・ 不利益を与えうる関係を利用した嫌がらせは、個人の尊厳を侵害するハラスメント行為、すなわちキャンパス・ハラスメントになります。このようなハラスメントは一般にアカデミック・ハラスメントやパワー・ハラスメントとも呼ばれますが、ここではそれらも含めて広くキャンパス・ハラスメントと見なします。たとえば以下のような例がキャンパス・ハラスメントになることもありますので、十分注意しましょう。

  • 断りにくい立場にある特定の人を、飲み会にしきりに誘う。あるいは飲酒を無理強いしたりする。

  • 研究や指導を名目に、学外や酒席、または深夜に呼び出す。

  • 適切な指導やアドバイスを行おうとしない。研究指導を放棄する。

  • そこに居合わせない個人を中傷する。ここには、ホームページ上などで個人が特定されるような記述を行うことなども含まれます。

  • 職務上知りえた個人のプライベートな情報を周囲にもらす。

  • 特定の個人の容姿を誉めたり、けなしたりなど、身体的特徴を話題にする。

  • 本人の意志に沿わないような研究テーマや進路を無理矢理押し付ける。

  • 指導教員が学生の必要書類を作成しない、または必要書類に印鑑を押さない。

  • 指導教員の個人的な仕事を押し付ける。

  • 時間外の仕事を強要したり、休暇の取得を妨害したりする。

  • 空謝金、研究データの改ざん、ソフトウェアの不正使用などの不法行為を強要する。

  • 研究成果やアイディアを奪う。

 このような意味において、相手の人権を脅かす言動であれば、それは、すべてキャンパス・ハラスメントになるという意識を、キャンパスのすべての構成員が共有していかねばなりません。

 3.キャンパス・ハラスメントをしないために


 力関係を後ろ盾にしたキャンパス・ハラスメントは、いわば「弱者いじめ」にあたります。強い立場にある者は、たとえそれが軽い「冗談」のつもりであっても弱い立場の者を傷つけかねないことを自覚しましょう。自分や自分の大切な人(家族や恋人など)がされたら嫌だと思うことは、絶対にしないでください。常に相手の立場に立って考える思いやりや想像力が求められるのです。

  • たとえ行為者本人が意識していない場合でも、相手によっては、それがキャンパス・ハラスメントだと受け止められることがあります。さらに社会的・文化的・宗教的な差異などがあるときには、一層の配慮が必要です。

  • 相手が何も言わないからといって、「嫌がっていない」などと解釈するのは、大きな誤りです。自分ではどうしようもない事情のために、抵抗したくても、また抗議したくてもできないのです。

  • 相手が拒否し、また嫌がっていることがわかった場合には、同じ言動を決して繰り返してはいけません。

 さまざまなキャンパス・ハラスメントのなかで特に顕著なのは、男性から女性へのセクシュアル・ハラスメントです。セクシュアル・ハラスメントには、身体的接触や交際を見返りに要求する「対価型」と周囲の環境を破壊する「環境型」があります。たとえば、性的なことがらを話題にしたり、 「・・・の女の子」と呼んだり、パソコンの壁紙に性的な画像を用いたりといった行為も「環境型」にあたります。


  • 男女はみな対等な立場にあることを認識し、常に相手の人格を尊重するとともに、相手の立場に立って考え行動することが人間関係にとって必要です。 相手の人格を考えずに性的な対象とのみ捉え、力関係で支配し、心理的に圧迫したり、身体的に傷つけるようなことは、絶対してはなりません。

  • 相手がそれを望まない、あるいは不快に感じるなら、それがセクシュアル・ハラスメントになるのです。ここに、セクシュアル・ハラスメントの特徴があることに注意しましょう。

  • 教員や上司など指導的な立場にある者と、その指導を受ける立場にある者との間で行われる個人的な関係には、特別な危険性が生じます。たとえ「合意の関係」であっても、それによって他の人も被害や不利益を受けうることを認識し、職業人としての自覚を持って、個人に接しなければなりません。

  • 講義などの公の場で、「女の子はどうせお嫁に行くのだから」などと決め付けをするのは、個人の自己決定権を侵害し、誤った性差別意識を助長するものです。

 さらに、性的な要素を必ずしも含まない行為も、キャンパス・ハラスメントになることがあるので十分に注意しなくてはなりません。

  • キャンパスでの人間関係の延長上(たとえば卒業生も含む)にあれば、それが起こった場所・時間帯を問わず、問題になります。キャンパス外や私的な酒席の場であっても、相手の意識の中ではキャンパスの人間関係が継続しているからです。

  • 常にオープンで安心できる環境を作っておく配慮が大切です。たとえば、個人指導の場合には、研究室のドアを開けておくというのも一策です。また、相手に不安感を抱かせるような時間帯や場所での指導は避けましょう。

  • アカデミック・コミュニティにおいては、就学上・就業上平等な環境が保障されなくてはなりません。たとえば正当な理由なく研究指導を怠る、学会や 論文などで研究成果を発表することを妨害する、研究や作業チームから除外するなど不当な仲間はずれをする、ある特定の個人に対して必要な情報を与えないなどの行為は、個人の尊厳を著しく傷つけるものです。


 キャンパス・ハラスメント、なかでもとりわけセクシュアル・ハラスメントには、いわゆる二次被害と呼ばれるものがあります。被害者は、 事情を聞かれることでも苦痛を覚えます。たとえ、終わったことであったとしても、もうそのことには触れられたくないという気持ちが働くものです。不必要に被害者に状況を尋ねることは、たとえ正義感から、あるいは職場等の環境維持という名目の下であっても、被害者にとっては二次被害になりますので、慎みましょう。無責任な噂話などもってのほかです。

 自分が直接の加害者でなくても、あるいは善意からであっても、結果的に被害を与えることがあるので、注意しましょう。

 4.キャンパス・ハラスメントを受けたら


 一人で悩まないでください。信頼できる人や相談員に相談することもできるのです。特にセクシュアル・ハラスメントを受けた場合には、「自分にも隙があったのではないか」などと自分を責めがちですが、そんな必要はまったくありません。あなたは決して悪くはありません。悪いのは、あなたの弱い立場につけこんで、あなたを傷つけ人権を侵した加害者です。

  • 一人で悩まないで、できれば日頃から信頼している友人や先輩、上司や教員に相談しましょう。

  • あなたがされたことについて、具体的な記録(いつ、どこで、誰が、何をしたか)をつけ、証拠を残しておきましょう。また、相談した人にも、記録を残しておいてもらいましょう。手紙、電子メール、ファックスや留守番電話なども証拠となります。

  • 目撃者がいれば、証人になってもらいましょう。

  • 相談員に話を聞いてもらうこともできます。(「6.相談から解決までのプロセス」をご覧ください)。

 5.キャンパス・ハラスメントに気づいたら


 キャンパス・ハラスメントを受けている人は、孤独でとても大きな精神的苦痛を感じているものです。こんな時、周りの人が支えてあげることが大切です。

 被害を打ち明けられたら、その人を支えましょう。「それはあなたにも隙があったんじゃないの」「それはあなたの気のせいじゃないの」「そんな話、信じられない」などと、軽率なことは決して言わないでください。まず、相手の話を最後まで聞いた後、「あなたが悪いのではない」と被害者を安心させ、勇気づけてください。そして、相談窓口に同行したり、また必要な時には証人になりましょう。

 しかし、被害者の同意を得ないで先走ることは、逆に被害者を傷つけることになります。あなたに打ち明けたことは、あなたを信頼してのことですので、その信頼を裏切って、安易に第三者に話をしたりしないよう、プライバシーの保護には特に留意しましょう。

 もし、相談されて対応に困った場合には、被害者の同意を得て、相談員に助言を求めることもできます。

 キャンパス・ハラスメントをなくすには、私たちが十分な理解を持ち、キャンパス・ハラスメントを許さないという意識を持たなければなりません。キャンパス・ハラスメントは、決して当事者間の個人的な問題ではありません。周囲の人の意識と態度が、キャンパス・ハラスメントを止めさせたり、防止するための、重要な要素であることを自覚しましょう。

 問題がおこった場合、あなたが注意できる立場にあるなら、その場で指摘するようにしましょう。冗談めかしたり、笑ってごまかしたり、見て見ぬふりをしたりすることは、その行為に加担することになります。自分がどう対応していいか迷った場合には、相談員に相談することもできます。

 当然の事ながら、積極的に問題提起した人を和を乱す者として、逆に責めるようなことをしてはなりません。

 6.相談から解決までのプロセス

 キャンパス・ハラスメントの被害を受けたり、それを目撃したとき、あるいはハラスメントの可能性があるときなど、一人で悩まないで、誰かに相談しましょう。また、キャンパス・ハラスメントをめぐるその他の問題で困っている人も相談してください。

 キャンパス・ハラスメントの解決には、全学的な相談窓口である大阪大学ハラスメント相談室によるもの(6−1.)と、言語文化研究科の部局相談員によるもの(6−2.)の、二通りのプロセスがあります。相談者は、自分の意志でいずれかを選ぶことができますが、部局の相談員は必要に応じて全学のハラスメント相談室と連携をとります。

6−1.大阪大学ハラスメント相談室の取り組み

 大阪大学では、平成22年度より全学のセクシュアル・ハラスメント相談室が拡充され、新たに「大阪大学ハラスメント相談室」として設置されます。従来の「セクシュアル・ハラスメント相談室」に加え、アカデミック・ハラスメントやパワー・ハラスメントの相談に対応する「アカデミック・パワー等ハラスメント相談室」が新たに設置されました。

 相談室やハラスメント防止等に関する規程などについては、大阪大学のホームページに最新の情報が掲載されています(http://www.osaka-u.ac.jp)。

 相談には複数の相談員があたります。なお、相談者が相談員の対応に納得がいかないときは、別の相談員に相談することもできます。

6−2.言語文化研究科の取り組み

 言語文化研究科では、言語文化専攻(豊中キャンパス)と言語社会専攻(箕面キャンパス)の両専攻でそれぞれ部局相談員を置き、キャンパス・ハラスメントの相談に応じています。問題解決に向けた措置等が求められる場合、相談員とともに、両専攻それぞれの人権問題委員会内に置かれたキャンパス・ハラスメント問題小委員会が対応します。

 実際の相談にはさまざまな事態が考えられますが、言語文化研究科では、(1)相談、(2)交渉〔【1】申し入れ、【2】話し合い(調停)、【3】苦情申し立て(対処要請)〕、(3)解決のための措置、に分けて対応を想定しています。ただし、相談内容によっては、相談者の同意を得た上で、全学のハラスメント相談室(6−1.をご覧ください。)と連携して対応することもあります。なお、以下の図で、「相談員」、「キャンパス・ハラスメント問題小委員会」「人権問題委員会」とある場合、原則的にそれぞれの専攻内に置かれたものを指しています。

(1)相談

 相談員は、あくまで相談者の立場に立って、キャンパス・ハラスメントに関する相談に応じ、被害者の精神的ケアに努めます。さらに、相談者および被害者の意思を尊重して、解決策を協議します。必要に応じて、学内外の専門家に助言を求めることもあります。

 なお、相談員は、相談者および被害者の了解のうえで、その概要をキャンパス・ハラスメント問題小委員会委員長に報告します。その際には、関係者のプライバシーを厳守し、名前が特定できるような具体的内容の報告は控え、相談者に報告内容を確認してもらいます。


(2)交渉 〔【1】申し入れ、【2】話し合い(調停)、【3】苦情申し立て(対処要請)〕

 具体的な解決法としては、【1】加害者とされる人への申し入れ、【2】当事者間での話し合いによるもの、【3】キャンパス・ハラスメント問題小委員会への苦情申し立て(公的な措置をとるものも含む)の3つがあります。最終的にどのような方法をとるかは、被害を受けている本人が自分の意志で決定します。ただし、これらの解決策をとる場合には、関係者等から事情を聞く必要が生じます。事情聴取には、言語文化研究科では、相談を受けた相談員以外の相談員が原則としてあたります。以下に述べる手続きは、当事者双方が言語文化研究科の同専攻に属している場合を想定したものです。

 なお、相談者は、問題解決の進捗状況について、相談員から適宜報告を受けることができます。

【1】 申し入れ

 相談員が、加害者とされる人および関係者に対して事情聴取を行います。事実関係を確認の上、問題とされる行為を止めるよう、加害者に申し入れます。


【2】 話し合い

 当事者間の話し合いの場合には、相談員が立ち会いますが、どのような内容で合意するかは当事者が決めることです。また当事者はいつでも話し合いを打ち切ることができます。

 なお、話し合いが進展しないと相談員が判断した場合には、打ち切りを提案することができます。


 話し合いが不成立または打ち切り等に終わった場合、被害者は、キャンパス・ハラスメント問題小委員会に改めて苦情申し立てをすることができます。

【3】 苦情申し立て

 苦情申し立てが行われた場合、キャンパス・ハラスメント問題小委員会は、迅速な調査を行い(原則として2ヶ月以内)、解決策を講じます。必要な場合には、調査委員会等を設置することもあります。調査委員会には、部局外の有識者、研究科長、専攻長等が加わる場合もあります。公的措置による解決が求められる場合には、専攻内人権問題委員会の議を経て、研究科長に結果を報告し、解決策を勧告します。

 結果は当事者に報告され、それに対し当事者は異議申し立てをキャンパス・ハラスメント問題小委員会にすることができます。異議申し立てを受けた場合は、キャンパス・ハラスメント問題小委員会は再調査の必要性を含め検討し、対応にあたります。なお、加害者とされる人には、十分な弁明の機会が与えられます。


 いずれの解決法においても、当事者のプライバシーは厳守されます。また問題解決に関わった者は、役目柄知り得た情報について、任期中退任後を問わず、守秘義務を負います。

 なお、キャンパス・ハラスメントの相談・事情聴取・苦情申し立て・事実関係調査に際して、虚偽の申し立てや証言をしてはなりません。また、手続きに関わった人すべてに対し、そのことにより不利益を与えてはなりません。

(3)解決のための措置

 キャンパス・ハラスメントの被害者に対しては、可能な限り最善の救済が与えられるように努力します。キャンパス・ハラスメントの加害者に対しては、必要に応じて対処します。また、再発防止のために、必要な措置をとることがあります。たとえば、「授業停止」「指導教員の交替」「単位の代替措置」「ゼミ・サークルの活動停止」「職場等の環境改善の措置」「加害者への研修」などです。

 また、交渉中であっても、キャンパス・ハラスメント問題小委員会は、必要があれば、被害者の緊急避難的措置や防止・対策の手段を勧告します。

 なお、相談者は、措置等の進捗状況について、相談員から適宜報告を受けることができます。相談者は、措置等が十分実行されていないとの疑義が生じた場合は、直接または相談員を介してキャンパス・ハラスメント問題小委員会に改善申し立てをすることができます。同委員会は、必要に応じ、研究科長に改善を勧告します。

 以上の手続きは、当事者双方が言語文化研究科の同専攻に属している場合を想定したものです。

(附)大阪大学大学院言語文化研究科におけるキャンパス・ハラスメントの防止等に関する規程


(目 的)
第1条 大阪大学大学院言語文化研究科は、キャンパス・ハラスメントの防止等に関して、キャンパスのすべての構成員が互いに人権を尊重しあい、対等にコミュニケーションができる環境を実現するために、セクシュアル・ハラスメントおよびこれに類した個人の尊厳に対する侵害を広くキャンパス・ハラスメントとしてとらえ、これらを防止し、これらに起因する問題が生じた場合に必要な対策を講じることとする。

(定 義)
第2条 この規程において、「キャンパス・ハラスメント」とは、「セクシュアル・ハラスメント」および「これに類した個人の尊厳に対する侵害」をいう。「セクシュアル・ハラスメント」とは、次の各号に掲げる行為をいう。また、「これに類した個人の尊厳に対する侵害」とは、就学や就労の場で生じうる、性的および性差別的な要素を含まない嫌がらせ行為をいう。いずれの場合も、当事者のみならず周囲の場を不快にさせる行為も含むものとする。

 一 相手方の望まない性的および性差別的な性質の言動を行うことによって、相手方に屈辱感や不快感あるいは不安感を与え、相手方の人格や尊厳を傷つけること。
 二 性的な要求に服従したことに対して、就学・就労の上で利益を与えること、または、それを拒否したことに対して、不利益を与えること。
 三 就学・就労の上で利益を提供すること、または不利益を与えることを示唆して、性的な誘いかけを行ったり、性的に好意的な態度を要求すること。
 四 性的な言動・掲示などによって、就学・就労環境を悪化させること。
 五 性別による役割分担意識に基づく言動・掲示などによって、就学・就労環境を悪化させること。

(組 織)
第3条 言語文化研究科言語文化専攻および言語社会専攻の人権問題委員会にそれぞれキャンパス・ハラスメント問題小委員会(以下、「小委員会」という。)を設置する。
2 各小委員会の委員は、各専攻の人権問題委員会の全構成員とする。
3 各小委員会の委員の任期は1年とし、再任を妨げない。
4 各小委員会にそれぞれ委員長を置き、各小委員会の委員の互選により選任する。
5 各委員長は、必要な場合には、委員以外の者の出席を求めることができる。
6 各委員長は、必要な場合には、調査委員会等を設置することができる。

(任 務)
第4条 小委員会は次の各号に掲げる事項を行う。

 一 キャンパス・ハラスメントの防止に関する研修・啓発・意識調査を行う。
 二 キャンパス・ハラスメントに関する相談について、第5条に定める相談員の報告を受け、迅速な調査を行い、解決策を講じる。
 三 全学のセクシュアル・ハラスメント相談室から苦情相談への対処要請を受けた場合には、同相談室の協力を得て事実関係調査を行い、解決策を講じる。
 四 公的措置による解決が求められる場合には、各専攻の人権問題委員会の議を経て、研究科長に結果を報告し、解決策を勧告する。
 五 異議申し立てを受けた場合には、再調査の必要性を含め検討し、対応にあたる。
 六 措置不履行の改善申し立てを受けた場合には、必要に応じ、研究科長に改善を勧告する。 

(相談員)
第5条 各小委員会は、各専攻に学生および教職員のキャンパス・ハラスメントに関する相談員を置く。
2 各専攻の相談員は、各小委員会の推薦により、それぞれの専攻会議が承認することとし、言語文化専攻の相談員は教員2名、豊中キャンパス事務部の常勤職員1名、言語社会専攻の相談員は教員2名、言語社会専攻事務部の常勤事務職員1名とする。ただし、小委員会の委員が兼任することはできない。なお、構成は性別が偏らないように配慮し、必要と認められる場合は、学内外の専門家に委託することができる。
3 相談員の任期は2年とし、再任を妨げない。
4 相談員の任務は、キャンパス・ハラスメントに関する相談に応じ、被害者および相談者の意志を尊重して解決策を協議し、その精神的なケアに努めることとする。また、関係者のプライバシーを厳守し、必要に応じて小委員会と連携をとりつつ、迅速に対応しなければならない。
5 相談員は、被害者および相談者の了解のうえ、関係者のプライバシーを厳守して小委員会に報告する。ただし、被害者もしくは相談者の希望により、具体的内容の報告を差し控えることができる。
6 相談員の任務に関する詳細については、別途これを定める。

(守秘義務)
第6条 キャンパス・ハラスメント問題解決に関わった者はすべて、任期中および退任後においても、任務遂行上知り得た内容に関して守秘義務を負う。
 
附 則
1 この規程は、平成22年1月28日から施行する。
2 大学院言語文化研究科キャンパス・ハラスメント問題小委員会に関する規程は廃止する。

(Appendix) A CAMPUS FREE OF HARASSMENT: OUR GOAL−YOUR RIGHT


The original version of this leaflet was produced by the Faculty of Language and Culture and Graduate School of Language and Culture in 1999 to promote the realization of a campus environment free of sexual harassment. In April 2000, Osaka University published its sexual harassment guideline, and a system of faculty counselors was established. It was recognized that sexual harassment is a violation of human rights, and that awareness of the individual right to receive an education, conduct research, and work in an environment free of sexual harassment is essential for truly mutual respect and free communication among all members of the campus community. In April 2002, the University also established counseling offices on both Toyonaka and Suita campuses staffed by professional counselors.

All of the actions described below are defined as sexual harassment when committed in a power relationship where they adversely affect an individual's right to receive an education, conduct research, or perform their work.

(1) Any unwanted sexual or sexist speech or act which causes an individual to feel insulted, unpleasant, unsafe or insecure, or which damages their reputation or dignity.

(2) The awarding of favorable treatment of a student or employee in return for submission to sexual demands, or unfavorable treatment in response to their refusal to submit to sexual demands.

(3) Sexual advances or demands made with the suggestion that the individual's submission or refusal will be used as a basis for favorable or unfavorable treatment.

(4) Any speech, act, or visual display of a sexual nature that has the purpose or effect of creating an intimidating, hostile, or offensive educational or working environment.

(5) Any speech, act, or visual display based on a sexist view of gender roles that has the purpose or effect of creating an intimidating, hostile, or offensive educational or working environment.

In April 2002, the Faculty of Language and Culture and Graduate School of Language and Culture decided to expand the range of jurisdiction to include a wider range of human rights violations. The Sexual Harassment Subcommittee was accordingly renamed the Campus Harassment Subcommittee, and now deals with all kinds of violations of individual rights. Academic harassment, for example, may not always include a sexual element. Examples of academic harassment include the following.

(1) A professor asking a student to perform tasks of a personal nature.

(2) A supervisor requiring a subordinate to work late hours or on weekends or holidays, or preventing them from taking their rightful leave.

(3) Plagiarism of ideas or published work.

In April 2005, the Faculty of Language and Culture was integrated with the Graduate School, and the Human Rights Committee has since been reorganized so that all committee members also serve on the Campus Harassment Subcommittee.

According to the official guideline of the Graduate School of Language and Culture, the standard grievance process for any form of campus harassment, including sexual harassment, comprises (1) consultation; (2) investigation (including (a) verification, (b) negotiation, and (c) official lodging of grievance); and (3) resolution. Note that this procedure applies only when all parties involved are affiliated with the Graduate School of Language and Culture. In all other cases, the official Osaka University guideline will apply.

For further details and a list of counselors, please refer to the following site.
http://www.osaka-u.ac.jp/en/

 7.相談窓口


(1)学外

 大阪近辺では、次のような相談窓口があります(受付時間、予約などに注意してください)。

大阪法務局人権擁護部 常設人権相談所
  Tel: 06-6942-9496
  月〜金(祝日を除く): 8:30−17:15

キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク
  http://www.jca.apc.org/shoc/index.html

大阪弁護士会 女性に対する暴力電話相談
  Tel: 06-6364-6251
  第二木曜日 11:30-13:30

ドーンセンター(大阪府立男女共同参画・青少年センター)
  サポート・カウンセリングルーム 女性の悩み電話相談 Tel:06-6937-7800
  火〜金: 17:00−20:00
  土・日: 10:00−16:00
  http://www.dawncenter.or.jp/

ウーマンライン(大阪府警)
  Tel: 06-6941-0110
  月〜金: 9:00−17:00
  (土・日・祝日および上記以外の時間帯は留守番電話で対応)

とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ相談室
  Tel: 06-6844-9739
  月〜金: 9:00−20:00
  土: 9:00−17:00
  (水・日・祝日・年末年始・第5週は休み)

NPOアカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク(NAAH)
  Tel: 06-6353-3364
  月〜金: 9:00−18:00
  土: 9:00−13:00
  http://www.naah.jp/

(2)学内

 大阪大学では、ハラスメント相談室を設置し、専門相談員(カウンセラー)と全学相談員が相談にあたっています。詳しくは、大阪大学ホームページ(http://www.osaka-u.ac.jp/)でご確認ください。

 言語文化研究科では、相談員がキャンパス・ハラスメントについての相談に応じています。相談に関しては、プライバシーを厳守し、相談者の意思を尊重して解決策をともに考えます。信頼できる人に代理で相談してもらうこともできます。電話や電子メールなどでも受け付けます。


一人で悩まないで、信頼できる人や相談員に相談しましょう。

平成22年3月31日発行

発行者:大阪大学大学院言語文化研究科
(〒560-0043 豊中市待兼山町1-8)

編集者:人権問題委員会キャンパス・ハラスメント問題小委員会(平成21年度)

言語文化専攻: 大森文子・岡田伸夫・北村卓・斉藤渉・里内克巳・
           山下仁・由本陽子・ヨコタ ジェリー
言語社会専攻: 青野繁治・高階早苗・長谷川信弥・山元孝郎