女性解放運動の観点から言語をとらえる研究の総称。言語における男性と女性の対立関係、女性の言語的権利の平等、男女間の敬意表現の使用法、もしくは女性の言語行動といった観点から言語体系及び言語使用を解明することがその主な課題である。
歴史的にはアメリカで1960年代に黒人の公民権獲得が盛んになるとともに、60年代後半からは女性解放運動が全米に広がった。その後、大学でも女性学が定着し、言語学の領域では言語使用における女性の不利や、会話で女性が被る不愉快な事柄などに関心がもたれるようになった。ロビン・レイコフの「言語と性」の女ことばの分析をめぐって、「女が女ことばを話している限り、女の従属的地位が向上することは有り得ない」とする説と「言語と社会は連動しているので、無理に言語改革だけしてみても無駄である」という説に分かれ、白熱した議論が取り交わされた。