!変異言語学 言語変異に関する諸問題を記述し,解明する言語学の一分野。社会言語学の問題設定によって展開された分野であり,自然言語に見いだすことのできる体系的な非均質性を出発点としてそれを分析する。 ある体系を備えた言語変種は,一般的に以下のように分類される。 a)空間による差異。方言。 b)階層に特有の言語表現。社会集団語。 c)状況に特徴づけられる表現。状況語(改まった状況とくつろいだ状況における 言語表現)。 d)言語習得の段階による違い。 e)言語接触によって生じる言語。ピジン,クレオールなど。 f)言語の標準化の段階。あらゆる場合において,それぞれの変種の音韻論上,統語論上,語彙論上,実用論上の形態が,言語外的な要素と結びついてさまざまに変化する。 これらの変化の特徴をとらえるための方法論として,以下の個別的な研究があげられる。ワインライヒ(U. Weinreich)の立方体系。ラボフ(W. Labov)による可変規則。デキャンプ(DeCamp)の含意的分析法。クライン(W.Klein)の変種文法。