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レジスター

ある個別言語の変種の内、話し手の社会的属性によって区別される方言や社会集団語等に対して、その使用法によって区別される変種を総称する。

レジスターの理論は英国の言語学、特にファース学派によって展開された。彼らの間で は、レジスターが社会的な拘束力を持ち、マクロ言語学上の規範として見なされるという共通した見解が持たれている。しかし、その理論的な位置づけやこの用語の概念規定については、多くの研究者によって大きな相違点が見いだせる。但し、レジスター概念の定義の多くに共通しているのは、言語表現が使用される社会的、状況的枠組みにおいて、話し手がその役割を変化させながら用いる言語変種、という考え方である。

ハリディ(M. Halliday)はレジスターを規定する3つの異なる次元を区別している。すなわち、

コミュニケーションの目的と主題に関わる「フィールド」(Field of discourse)、

コミュニケーションを行うための手段に関わる「モード」(Mode of discourse)、そして

コミュニケーションパートナー同士の関係に関わる「テナー」(Tenor of discourse)である。

例えば、手紙の書き出しである"拝啓"と、"こんにちは"の場合、フィールドとモードは同じだが、テナーが異なるためにこの差が生じるのである。このモデルによればレジスターの違いは3次元だが、ハイムズは、少なくとも13以上の異なる変項が話し手の選ぶ言語項目を決定するという見解を示している。しかし、このモデルによってレジスターの複雑性をすべて表しきれるかどうかは疑わしい。レジスター研究のむずかしさは、一方では「方言」や「社会集団語」との接点、他方では文体論との関係をどのように設定するかという点にある。