ドイツ語講座(初級文法編)第2回

 


 

1 発音の三原則と母音の発音

1) 発音の三原則

(^_^) 先生、今日もよろしくお願いします。

はい、それじゃあ今日はドイツ語の発音の話をするね。ドイツ語の発音は英語に比べるとずいぶん簡単なんだ。その理由として、母音の数が少ないことと、綴り字と発音が割と規則的に対応していることが挙げられるんだよ。それで、まずドイツ語の発音には三つの大原則があるんだ。これを発音の三原則といってるんだよ。まず

@ だいたいローマ字通りに読む

英語だとなかなかローマ字通りに読めないから、単語の発音は一つずつ覚えないといけないけど、ドイツ語だとだいたいローマ字通りに読めばいいんだ。次に

A アクセントは原則として第1音節にある

これも英語だとアクセントの位置はまちまちだよね。フランス語だと最後の音節にアクセントをおくので、歌うような軽やかな発音になるんだけど、ドイツ語だと最初を強く読むから、ちょっと勇ましい感じになっちゃうんだね。最後の原則は母音の長短の問題なんだ。

B アクセントのある母音で、後に子音が1個だけのときは長く、子音が2個以上のときは短い。アクセントのない母音は短い。

(^_^) えーと、ローマ字読みで、単語の最初を強く読むんだね。でも3番目の原則がよくわからないんだけど。

じゃあ、例を出してみよう。次の単語を読んでごらん。 1) Name  2) kalt  3) leben  4) helfen

(^o^) はーい。ローマ字通りに読めばいいんだよね。えーと、1は「ナメ」、2は「カルト」、3は「レベン」、4は「ヘルフェン」かな?

残念ながら、半分だけ正解だね。まず1番だけど、アクセントは最初の Na- にあるよね。その後の子音は -m- 1個だけだよね。だから、最初の Na- の音はアクセントがあって後の子音が一個だけだから、「ナー」と長くのばすんだ。最後の -e の音はアクセントがないから短いんだよ。そうすると答えは「ナーメ」だね。

('o') あっ、そうか。でもよく見たら、英語の name と同じ綴りだね。最初が大文字になってるけど。

そうだね。英語の name と同じなんだよ。ただ、ドイツ語では名詞は普通名詞でも頭文字を大文字で書く規則になってるんだ。これはまた後で話すね。じゃあ次、2番の kalt だけど、これは ka- の後に子音が -lt と二つ続いているので短く読んで、「カルト」で正解だよ。

(^o^) わかった。それじゃあ3番の leben は最初の le- にアクセントがあって、後ろの子音が -b- 1個だから、のばして「レー」となるんだ。後ろの -ben はアクセントがないから短く「ベン」でいいんだね。そうすると、えーと、「レーベン」かな?

そのとおり。4番は最初の he- の後は -lf- と子音が二つ続いているので、短く「へ」だね。というわけで、「ヘルフェン」で正解だよ。意味は英語の help と同じだね。綴りもよく似てるでしょ。じゃあ、ちょっと練習してみようか。次の単語を発音の三原則に従って読んでごらん。

1) haben  2) alt  3) heben  4) Nelke  5) Bibel  6) Film  7) loben  8) toll  9) Hut  10) dumm

(^O^) はーい、やってみます。えーと、1) ハーベン 2) アルト 3) ヘーベン 4) ネルケ 5) ビーベル 6) フィルム 7) ローベン 8) トル 9) フート 10) ドゥム。

うん、それでいいよ。じゃあついでに、ウムラウトもやってみよう。

1) Pläne  2) Kälte  3) Öl  4) Hölle  5) üben  6) Hütte

(^_^) えーと、1) プレーネ、2) ケルテ、3) エール、4) ヘレ、5) ユーベン、6) ヒュッテ。

よくできました。最後のヒュッテというのは登山用語としてよく使うよね。さて、次は母音の発音規則について話そう。

 

2) 重母音と複母音

('o') えっ、発音の三原則で終わりじゃないの?

残念ながら、もうちょっと規則があるんだよ。まずは簡単なところからだけど、同じ母音が2つ重なれば当然長くのばす音になる。次の単語を読んでごらん。

1) Aal  2) Tee  3) Boot

(^O^) これは簡単だね。1) アール、2) テー、3) ボート、だよね。

そのとおり。3番なんか、英語みたいに「ボウト」と読んじゃダメだよ。「ボート」だね。じゃあ、次はちょっと本格的な規則だ。

母音の後の h はのばすしるしで、発音しない。たとえば、gehen という単語の真ん中の h は母音 e の後に来てるのでのばすしるしなんだ。だから前の ge- はのばして「ゲー」と発音して、h 自体は発音しないんだ。だから、「ゲーエン」なんだね。くれぐれも「ゲーヘン」と読まないように。じゃあ、次の単語を読んでごらん。

1) Bahn  2) Ehe  3) ihm  4) ohne  5) Ruhe

(~_~) ♪のばーすしるしはフェルマータ♪って歌があったなあ。えーと、母音の後の h を読まないで、その前の母音を長くのばすんだね。1) バーン、2) エーエ、3) イーム、4) オーネ、5) ルーエ、かな?

うん、それでいいよ。じゃあ、次は複母音だ。これはちょっとローマ字読みの例外になるから、注意してよく覚えておいてね。

@ ei は「アイ」と発音する。

A ie は「イー」と発音する。

B eu, äu は「オイ」と発音する。

それじゃあ、次の単語を発音してごらん。

1) ein  2) Liebe  3) heute  4) Bräu

(^_^) はーい、やってみます。えーと、1番は、エイン、じゃなかった、アイン、だね。2番は、リーベ。これ知ってるよ。「水兵リーベ、ぼくの船」って化学で出てきたな。 3番は、えーと、ヘウテ、じゃなかった、ホイテ、だね。4番もおなじくオイと発音するから、ブロイ、だね。

はい、正解。1) アイン、2) リーベ、3) ホイテ、4) ブロイ、でいいよ。母音についてはそのくらいだね。

 

 


 

2 子音の発音

1) 難しい子音の発音

('_') 子音も例外的な発音があるの?

うん、そうなんだ。母音に比べると、ちょっと難しいけど、でも英語やフランス語よりは数が少ないと思うよ。まずは、日本語にも英語にもなかった発音があるから、それから始めようか。それは ch の音なんだけど、2種類あるんだ。ひとつは、

@ ch は a, o, u, au の後では、喉の奥をかすらせる音「ハ、ホ、フ」になる。

これはちょっと難しいんだけど、日本語の「ク」にちょっと近いんだ。「クッ、クッ、クッ」と言ってごらん。そうすると、喉の奥がいったんくっついて離れるときに破裂するような音になるけど、喉の奥をくっつけずにかすらせて「フッ、フッ、フッ」って言ってごらん。その音なんだよ。じゃあ、次の単語を発音してごらん。

1) Bach  2) doch  3) Buch  4) auch

(~o~) ちょっと難しいね。1番は、バッハ、かな。作曲家にバッハっていたけど、そのバッハのこと? 2番は、ドッホ。3番はブッフ、かな?4番はアウフ、でいい?

これはちょっと注意が必要だね。まず1番はバッハでいいよ。作曲家のバッハもこれだね。でも意味は「小川」という意味なんだ。だから、バッハは日本で言えば小川さんだよ。3番なんだけど、実は Buch の場合は長くのばして「ブーフ」と読むんだ。ch の前の母音の長短はわりと不規則なので、単語ごとに調べて覚えた方がいいね。4番なんだけど、au は「アウ」というより「アオ」に近いんだ。だから auch はアウフというより「アオホ」と発音した方がいい。だから正解は、1) バッハ、2) ドッホ、3) ブーフ、4) アオホ、だね。じゃあ次、

A ch はそれ以外の場合(i, e, eu, äu, ウムラウト、子音の後)、舌と上顎の間をかすらせる音「ヒ」になる。

もうちょっと簡単に言えば、「シ」に近い「ヒ」と考えていいよ。「シーッ」って言ってごらん。そうすると舌と上顎の間をかする音になるよね。それよりもうちょっとだけ舌と上顎の間を広く開けてごらん。そうすると、「ヒーッ」という音になるよね。その音なんだ。だから「ヒ」と「シ」の中間音と考えてもいい。じゃあ、次の単語を発音してごらん。

1) ich  2) echt  3) euch  4) Bräuche  5) Milch

(^_^) はーい、1) イッヒ、2) エヒト、3) オイヒ、4) ブロイヒェ、5) ミルヒ、です。

そうだね。つまり、口の形が「ア、オ、ウ」という丸い口の形になった後の ch は「ハ、ホ、フ」で、それ以外の場合は「ヒ」の発音になるということなんだ。だから、たとえば eu とか äu は「オイ」という音だから、ch は「ヒ」という音になるんだよ。じゃあ、次いくね。次は r の発音だ。

B r は、のどひこを震わせる音、もしくは舌先を震わせる音。

さあ、それじゃあ次の単語の発音をやってごらん。

1) rot  2) bringen  3) treu

(@o@) えーっ、そんなの難しいよ。どうやって発音するの?

確かにちょっと難しいかもしれないね。のどひこを震わせるのは、うがいをして水がなくなったときのような感じかな。舌先は ♪タラッタラッタラッタ、ウサギのダンス♪ じゃないけど、タラッタラッタラッタラッと言ってるとできるようになることもあるよ。江戸っ子が、べるるるるるるらんめえ、って見事な巻き舌で言ったりするけど、あの巻き舌の音だね。これも難しければ、英語と同じような感じで、舌先をかるく上顎にかするような感じで「ル」といっても構わないよ。要は舌先を上顎にくっつける L の音と区別することが大事なんだ。それによって単語の意味が変わることもあるからね。昔、ドイツに留学した日本人が病気のとき、Brei を食べると言ったら、下宿のおばさんが驚いたんだって。Brei は「お粥」だけど、下宿のおばさんには Blei と聞こえたんだね。 Blei は「鉛」という意味なんだ。だからLとRの音が区別できなかったら、まずいことになるんだよ。

(^。^) なるほど、RとLの発音を区別することが大事なんだね。じゃあ、やってみます。1) ロート、2) ブリンゲン、3) トロイ、です。

うん、そんな感じでいいよ。3番の eu を「オイ」と発音するのはよく覚えていたね。 あとはとくに難しい発音はないけど、ローマ字読みの例外がいくつかあるんだ。それについて説明していくね。まずは、位置によって発音の変わるものがあるんだ。

 

2) 位置によって発音の変わるもの

('o') 位置によって発音が変わるって、どういうこと?

じゃあ、具体的に見てみようか。まず、

@ 語末(音節末)の b, d, g はにごらない。

b, d, g は普通はローマ字通り「ブ、ドゥ、グ」と読めばいいんだけど、語末や音節末にあったらにごらずに「プ、トゥ、ク」と読むんだよ。つまり、p, t, k の音になるんだ。じゃあ、次の単語を読んでごらん。

1) halb  2) Land  3) Tag

(^o^) 語末だとにごらないんだね。じゃあ、1) ハルプ、2) ラント、3) ターク、です。

うん、それでいいよ。それから音節末の場合もにごらないんだ。これはたとえば合成語なんかで、Augapfel 「眼球」というのがあるんだけど、これは Aug- (Auge) 「目」とApfel 「リンゴ;玉」がくっついてできた単語だから、Aug- と -apfel で音節が変わるよね。だから Aug- はにごらずに「アウク」と読んで、「アウクアプフェル」となるんだよ。さらに補足すれば、後ろに s, t などの子音が来るときもにごらないんだ。たとえば、Herbst 「秋」の -b- は後ろに-st という子音があるからにごらなくて、「ヘルプスト」と読む。liegt 「横たわっている」なんかも -g- はにごらずに「ク」となるから、「リーグト」じゃなくて「リークト」と読むんだよ。だからもうちょっと正確に言えば、b, d, g, は語末(音節末)や s, t などの子音の前ではにごらない、というふうに覚えてもいいよ。じゃあ、次ね。

A 語末(音節末)の -ig は「イヒ」と発音する。

-ig が語末や音節末にあるときは -g は前に出てきた -ch と同じ「ヒ」の音になるんだ。次の単語を読んでごらん。

1) traurig  2) König  3) Könige

('。') はーい、語末の -ig は「イヒ」だから、1番は、トラウリヒ。2番は、ケーニヒ、だね。あれ、3番は -ig のあとに -e がついてるから、ローマ字通り「ケーニゲ」でいいの?

そうだよ。1) トラウリヒ、2) ケーニヒ、3) ケーニゲ、だね。König は「王様」という意味なんだけど、Könige はその複数形なんだ。だから発音もちょっと変わるんだよ。じゃあ、次は語頭で発音が変わるものだよ。

B 語頭(音節頭)の sp, st は「シュプ」、「シュト」と発音する。

sp や st が語頭や音節頭にきたら、「スプ」、「スト」じゃなくて「シュプ」、「シュト」という発音になるんだ。じゃあ、次の単語を発音してごらん。

1) springen  2) steigen  3) Sport  4) Stand  5) Knospe

(~_~) うーん、ちょっとずつ難しくなってきたなあ。1番は sp- が語頭にあるから、シュプリンゲン、だね。2番は st- が最初にあるから、シュテイゲン、いや、ei は「アイ」と読むんだったから、シュタイゲン、だね。3番はスポート、じゃなかった、Sp- が最初だから、シュポルトだ。4番も同じように、シュタンド、おっと、語末の -d はにごらなかったね、シュタントだね。5番は sp は語頭じゃないから、すなおにローマ字読みで、クノスペ、でいいのかな。

はい、その通り。1) シュプリンゲン、2) シュタイゲン、3) シュポルト、4) シュタント、5) クノスペ、で正解だよ。じゃあ、次行こう。

C 母音の前の s はにごる。

つまり、s は母音の前では「ザ、ジ、ズ、ゼ、ゾ」の音になるんだ。これも練習やってみよう。

1) Sonne  2) sehen  3) singen

(^o^) これはやさしいね。1番は、ゾンネ。2番は母音の前の h があるから、ゼーエンだね。3番は、ズィンゲン、だね。

はい、正解。ドイツ語ではにごるかにごらないかというのが、ときどきローマ字読みと違う場合があるんだよ。

 

3) にごるもの、にごらないもの

('o') えっ、どんなのがあるの?

いくつかあるんだけど、順番にみていくね。まず

@ w はにごって「ヴ」、v はにごらずに「フ」。

w は「ヴ」の音、v は「フ」の音になるんだ。たとえばドイツの有名な車に Volkswagen というのがあるけど、これは「フォルクスヴァーゲン」と読むんだよ。じゃあ、次の単語を読んでみて。

1) wir  2) Wolke  3) viel  4) voll  5)  Wandervogel

(^o^) じゃあ、やってみます。1) ヴィール、2) ヴォルケ、3) フィール、4) フォル、5) ヴァンデルフォーゲル。これでいい?

そうだね。ただ、1番の wir とか、5番の Wander- みたいに、語末や音節末の r は軽く「ア」と読む場合が多いんだ。だから、1番は「ヴィーァ」、5番は「ヴァンダーフォーゲル」と読んだ方がいい。 じゃあ次だよ。

A z はにごらず「ツ」

z は「ズ」ではなくて「ツ」と読むんだよ。じゃあ、次の単語を読んでごらん。

1) Zeit  2) Zug  3) Zimmer  4) Benz

(^O^) はーい、じゃあ1番、ツェイト、じゃなくって、ツァイト。2番はツーグ、じゃなかった、語末の -g はにごらないから、ツーク、だね。3番はツィマー、4番はベンツだよね。これって、あの自動車のベンツ?

そうだよ、自動車のベンツだよ。全部正解だね。1) ツァイト、2) ツーク、3) ツィマー、4) ベンツ、でいいよ。じゃあ次ね。

B x はにごらず「クス」

x は英語だと「グズ」とにごって発音する場合があったけど、ドイツ語ではにごらずに常に「クス」となるんだ。じゃあ次の単語を読んでみて。

1) Text  2) Examen

(^_^) 1番はやさしいね。テクストでしょ。2番はエクサメンかな?

1番はテクストでいいね。2番はじつはアクセントが2番目の音節にあって、「エクサーメン」と発音するんだ。意味は「試験」だね。じゃあ、そのほかの注意すべき発音をまとめていくね。

 

4) その他の注意すべき発音

('O') えーっ、まだあるの?

あと少しだから、がんばってね。じゃあまずはこれだ。

@ j は「ユ」と発音する

j は「ジュ」じゃなくて「ユ」なんだ。y の音だね。あるいは発音記号と同じ音だよ。じゃあ次の単語を読んでごらん。

1) Japan  2) ja  3) jung

(~_~) なんとかがんばります。1番は、ヤーパン、かな。2番は、ヤー、でしょ。三番は、ユングでいいの?

そのとおり。じゃあ次ね。

A qu は「クヴ」と発音する。

ちょっと難しいけどね。じゃあ、次の単語を発音してみて。

1) Quelle  2) Qual

(>_<) そろそろ頭がパンクしそうだよ〜。えーと、1番は、クヴェレ、でいいのかな。2番は、クヴァールだね。

はい、正解。残りはあまりたいしたことないから、がんばっていこう。

B pf は一気に「プフ」と発音する。

これは「プ、フ」と二つに分けて読むんじゃなくて、一つの音として一気に「プフ」と発音するんだ。さあ、じゃあ次の単語で練習してみて。

1) Pfad  2) Kopf  3) Apfel

(^_^) えーと、1番は、プファート、こんな感じかな。2番、コプフ。3番、アプフェル。

よくできました。じゃあ次。

C sch は「シュ」、tsch は「チュ」と発音する。

じゃあ、さっそく次の単語を読んでみて。

1) Schinken  2) Englisch  3) Deutsch

 (^o^) はーい、1番はシンケンだね。2番はエングリッシュ。これ英語とちょっと綴りが違うね。3番はドイチュだね。

うん、それでいいよ。Englisch は英語の English と違って -c- が入ってるんだね。じゃあ次。

D th は t と同じ発音「ト」

th は英語だと「ス」か「ズ」という舌を歯の間に挟むような音になったけど、ドイツ語では t とおんなじ音だよ。だから簡単でしょ。じゃあ次の単語を読んでみて。

1) Thema  2) Thomas

(^o^) これはわかりやすいね。1番はテーマ。2番はトーマスでしょ。

そうだよ。英語よりずっとわかりやすいでしょ。じゃあ次ね。

E chs は「クス」と発音する。

これも h を発音しないんだね。だから x と同じ発音で「クス」だよ。次の単語を読んでみて。

1) Fuchs  2) Lachs  3) wachsen

(^O^) はーい、1番はフクスかな。英語のフォックスに似てるね。2番はラクス。3番は、えーと、w は「ヴ」だから、ヴァクセン、かな?

そうだね。Fuchs は英語の fox に当たる単語で、「狐」だね。じゃあ次。

F tz, ts, ds は「ツ」と発音する。

これは z と同じ音になるんだ。じゃあ次の単語で練習してみて。

1) Netz  2) nachts  3) abends

(~o~) そろそろ疲れてきたよ。えーと、1番はネッツ、2番はナハツ、3番はアーベンツだね。

うん、いいよ。その調子。もう少しでおしまいだから、がんばってね。じゃあ次。

G ph は「フ」と発音する。

これは英語と同じだから、問題ないね。じゃあ次の単語を読んでみよう。

1) Phase  2) physisch

(^o^) はーい。1番は、ファーゼでいいよね。2番は、あれっ、この y はどう読むの?

あ、ごめんごめん。あまり使わないから説明してなかったね。y は ü と同じで、「ユー」という音になるんだよ。だから、フュージッシュだね。1番はファーゼで正解だよ。じゃあ、とりあえず最後だ。

H ss, ß は「ス」という音になる。

 ss と ß は同じ音で、にごらない s の音だよ。違いはどこにあるかというと、ss は前が短い母音のときだけ使うんだ。それ以外、つまり前が長母音や複母音のときは ß を使うんだよ。図式で表すと、

短母音+ss、 長母音(または複母音)+ ß

となるんだ。じゃあ、長短に気を付けて次の単語を読んでごらん。

1) lassen  2) blass  3) bloß  4) Straße

(^O^) なるほど、ss の前は短母音で、 ß の前の母音は長母音か複母音なんだね。じゃあ1番と2番は短く、ラッセンとブラスだね。3番と4番は長くて、ブロースとストラーセ、いや違った、語頭の st だから、シュトラーセだね。

そのとおり。1) ラッセン、2) ブラス、3) ブロース、4) シュトラーセ、だね。よくできました。その他にも外来語なんかで特殊な読み方をするのがあるんだ。たとえば、-tion は英語だと「ション」と読むけど、ドイツ語だと「ツィオーン」と読んで、しかも「オー」にアクセントがあるんだよ。だからたとえば、Nation は「ナツィオーン」と読むんだ。ほかにもあるんだけど、あとは出てきたときに説明するね。とりあえず上で挙げたのだけ覚えとけば十分だよ。

(T_T) 先生、でもこんなにたくさん、とても一度には覚えられないよ〜。

大丈夫。覚えるにこしたことはないんだけど、最初のうちは単語を一つ一つ辞書でひいて、発音を調べるのがいいよ。そうするうちに自然と覚えるものだよ。それに例外もたくさんあるんだ。だから、くどいようだけど、当分の間は単語の発音は一つ一つ辞書で調べることを怠らないように。 じゃあ、最後に練習問題をやってみよう。

 

 


 

4 練習問題

次のドイツ語の詩を読んでみよう。これはハイネの『歌の本』に収録されている詩で、シューマンの連歌集『詩人の恋』の最初の曲の歌詞にもなってるんだよ。弱・強・弱・強・・・のリズムで読んでごらん。

Im wunderschönen Monat Mai,  (すばらしく美しい五月に)

Als alle Knospen sprangen,  (すべてのつぼみが開いたときに)

Da ist in meinem Herzen  (僕の心の中に)

Die Liebe aufgegangen.  (恋が芽生えた)

 

Im wunderschönen Monat Mai, (すばらしく美しい五月に)

Als alle Vögel sangen,  (すべての鳥たちが歌ったときに)

Da hab' ich ihr gestanden  (僕は彼女に打ち明けた)

Mein Sehnen und Verlangen. (恋焦がれるこの気持ちを)

 

(^O^) はーい、単語の発音は辞書で調べました。CDで音楽も聴きました。じゃあ、読んでみるね。(強く読むところは赤で書きます)

イム・ヴンダーシェーネン・モーナト・マイ

アルス・ッレ・クスペン・シュプランゲン

ダー・スト・イン・マイネム・ヘルツェン

ディー・リーベ・アウフガンゲン

イム・ンダーシェーネン・モーナト・マイ

アルス・ッレ・フェーゲル・ザンゲン

ダー・ハープ・イッヒ・イーア・ゲシュタンデン

マイン・ゼーネン・ント・フェアランゲン

 

たいへんよくできました。

 


 

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