*** 論文等一覧 (杉本孝司) *** 2012年8月微更新

すべてを網羅している訳ではありませんが、ある程度詳しく掲載してあります。英文の論文にはタイトルの和訳をカッコに入れて末尾につけてあります。論文等の詳細をご覧になりたければ、[索引]内の該当項目をクリックして下さい。論文等一覧は以下の [A] から [E] の五つのセクションに分かれています。


[索引]


    [A] 研究論文・著書・翻訳
  1. 「大阪弁におけるピッチアクセントの一面」 (1969年4月)『外語論叢』vol.1, No.1. 大阪外大文連協
  2. "What can Logic offer?" (1973年1月11日) 大阪外国語大学修士論文, pp150. (『論理学は何を寄与し得るか?』)
  3. "What do you think about how we think? --- A case study of some rhetorical expressions" (1973年12月1日) Nebulae Vol.1, pp71-92. Osaka Gaidai Linguistic Circle. (「我々の思考方法をどう考えるか - ある種のレトリック表現の研究」)
  4. "A grammatical nonfiction" (1974年3月)『英米研究 (8)』pp39-57. 大阪外国語大学英語研究室. (「文法におけるノンフィクション」)
  5. 「II 統語論」(翻訳) (1975年) R. A. Miller(編)・林栄一(監訳)『ブロック日本語論考』pp25-90. 研究社.
  6. "Notes on a Kalam relative clause construction and some related problems" (1975年9月-12月) Working Papers in Linguistics 7.5, pp35-62, University of Hawaii. (「カラム語における関係節構造および関連諸問題に関する覚書」)
  7. "Three senses of abstractness in phonology" (1976年11月) Nebulae Vol.2, pp62-84. Osaka Gaidai Linguistic Circle. (「音韻論における抽象性の三つの意味」)
  8. "Word order and movement process." (1977年3月)『英米研究 (10)』pp113-124. 大阪外国語大学英語研究室. (「語順と移動のプロセス」)
  9. "Notes on RCC" (1977年10月) Nebulae Vol.3, pp131-186. Osaka Gaidai Linguistic Circle. (「RCCに関する考察」)
  10. "On process model phonology" (1978年3月)『学報 42』(言語篇) pp157-168. 大阪外国語大学. (「プロセス・モデル音韻論について」)
  11. "Conjoined NPs in PTQ" (1979年3月)『英米研究 (11)』pp37-49. 大阪外国語大学英語研究室. (「PTQにおける等位接続NP」)
  12. 「"Both"について」 (1979年10月)『英語と日本語と - 林栄一教授還暦記念論文集』pp141-152. くろしお出版.
  13. "Toward providing an input to Relational Grammar from Montague Grammar: a preliminary sketch" (1980年3月)『英米研究 (12)』pp125-138. 大阪外国語大学.
  14. "Compositionality and expletives" (1980年3月1日)『学報 48』(言語篇) pp87-102. 大阪外国語大学. (「構成性の原理と虚辞」)
  15. Transformational Montague Grammatical Studies of Japanese (1982年5月) Ph.D. Dissertation, University of Hawaii. Pp524+xiii. (Available from UMI)(『変形モンテギュー文法による日本語研究』)
  16. "Forward reflexivization in Japanese reconsidered." (1983年3月24日)『学報 62』(言語篇) pp55-62. 大阪外国語大学. (「日本語における順向再帰代名詞化」)
  17. 「義務規則と規則の個別化」 (1983年3月30日)『英米研究 (13)』pp65-72. 大阪外国語大学英語研究室.
  18. 「モンテギュー文法の話」 (1983年4月10日)『日本語学』1983年4月号, vol. 2, pp78-88. 明治書院.
  19. "Remarks on being nonconfigurational" (1983年7月16日) Papers from the Kyoto Workshop on Japanese Syntax and Semantics, pp39-47. The Kyoto Circle for Japanese Linguistics. (「ノン・コンフィギュレイショナルであることについて」)
  20. "Remarks on bare common nouns in Japanese" (1984年3月20日)『学報 64』pp251-281. 大阪外国語大学 創立60周年記念. (「日本語はだか名詞について」)
  21. "Remarks on negation" (1985年3月30日)『英米研究 (14)』pp107-124. 大阪外国語大学英語研究室. (「否定について」)
  22. "Just a dream?" (1987年2月28日)『英米研究 (15)』pp133-138. 大阪外国語大学英語研究室. (「単なる夢?」)
  23. 「アスペクツ・モデル - 形式意味論からの回顧と展望」 (1987年3月25日)『外国語研究と言語情報処理』pp33-58. 昭和61年度特定研究研究成果論文集.
  24. 「直接写像仮説と派生行間対応制約」 (1987年3月30日)『言語学の視界』pp17-29. 小泉保教授還暦記念論文集. 大学書林.
  25. 「言語の機械処理の前提となる理論言語学の研究」 (1987年3月)『言語情報処理のための基礎的研究』pp45-48. 昭和61年度科学研究費補助金特定研究(1).
  26. 『英語学I 統語論・音韻論』 (共著)(1987年4月25日) pp364+xvi. 大阪教育図書.
  27. "A program for formal semantics and metaphors" (1988年2月29日)『英米研究 (16)』pp167-190. 大阪外国語大学英語研究室. (「形式意味論と隠喩表現のためのプログラム」)
  28. 「モンタギュー文法」 (1988年4月25日)『言語学の潮流』(林栄一・小泉保(編)) pp222-241. 勁草書房.
  29. 「タイプ、メタファー、ポインター」 (1992年3月31日)『英米研究 (18)』pp71-83. 大阪外国語大学英語研究室.
  30. 「英語の受動文」 (1992年3月31日)『英語圏世界の総合的研究』pp1-12. 平成4年度特定研究(1). 大阪外国語大学.
  31. 「複文(?)と他動性の接点 - R-系列表現から -」 (1995年5月26日)『複文の研究(上)』(仁田義雄(編)) pp55-62. くろしお出版.
  32. 「意味論」 (1997年2月20日)『日英語対照による英語学概論』(西光義弘 編) pp375+x. くろしお出版、pp185-242.
  33. 『意味論1 - 形式意味論 -』 (1998年3月25日) pp216+x. (西光義弘(編集)日英語対照による英語学演習シリーズ 5)くろしお出版.
  34. 『意味論2 - 認知意味論 -』 (1998年11月1日) pp192+vi. (西光義弘(編集)日英語対照による英語学演習シリーズ 5)くろしお出版
  35. 「コトバからヒトへ」 (1999年4月1日) EX ORIENTE, pp3-23. 大阪外国語大学言語社会学会誌.
  36. 「不変性仮説」(翻訳)"The Invariance Hypothesis" by George Lakoff. (2000年8月10日) 坂原茂(編)『認知言語学の発展』pp1-59. ひつじ書房.
  37. 「なぞなぞの舞台裏 - その理解と認知能力」 (2002年10月10日) 大堀壽夫(編)『認知言語学II:カテゴリー化』pp59-78. (シリーズ言語科学3巻). 東京大学出版会.
  38. 「認知言語学から見た動詞」 (2002年11月1日)『月刊 言語』Vol. 31, No.12, pp47-55. 大修館書店.
  39. 「類似性と共通スペース:メタファ理論とスペース融合モデルの観点から」(研究ノート) (2004年3月31日)『英米研究』第28号, pp195-202. 大阪外国語大学英米学会.
  40. 「メトニミとメタファ:写像と類似性の観点から」(研究ノート) (2006年3月31日刊)『英米研究』第30号, pp99-105. 大阪外国語大学英米学会.
  41. 「不変性仮説と類似性」 (2006年4月30日)『言外と言内の交流分野:小泉保博士傘寿記念論文集』pp305-310. 大学書林.
  42. 「メタファと意味理解」 (2006年9月10日)『日本認知言語学会論文集 第6巻』pp508-518. 日本認知言語学会.
  43. 「メタファとカテゴリー化」(研究ノート) (2007年3月31日)『英米研究』第31号, pp61-68. 大阪外国語大学英米学会.
  44. 「形式意味論に関する幾つかの疑問 ―認知意味論の観点から―」 (2011年5月31日)『言語文化共同研究プロジェクト2010 言語における時空をめぐって IX』 pp21-30. 大阪大学大学院言語文化研究科.
  45. 「不変性仮説とカテゴリー化」 (2012年5月31日)『言語文化共同研究プロジェクト2011 時空と認知の言語学 I』 pp21-28. 大阪大学大学院言語文化研究科.
  46. 「ピダハン語とリカージョン – 認知言語学からの覚書 –」 (2013年5月31日)『言語文化共同研究プロジェクト2012 時空と認知の言語学 II』 pp21-28. 大阪大学大学院言語文化研究科.
  47. 「認知意味論」 (2013年5月31日) (2013年11月22日) 高見健一・三原健一(編)『日英対照 英語学の基礎』 pp147-176. くろしお出版.
    [B] 項目執筆・書評・紹介記事
  1. 『現代英文法辞典』(項目執筆) (1992年7月)三省堂.
  2. "Introduction to Montague Semantics," (書評) xi+pp313. Dordrecht: D. Reidel Publishing Company. (1985年12月)『言語研究』第88号, pp97-103. 日本言語学会. (『モンテギュー意味論入門』)
  3. "Give: A Cognitive Linguistic Study,"(書評) N.Y.: Mouton der Gruyter,1996. Ex Oriente Vol. 5, 2001. 大阪外国語大学言語社会学会誌, pp271-285.
  4. 『ことばの認知科学辞典』(紹介記事) 大修館書店、辻幸夫(編), xii+576頁.『月刊言語』Vol. 30, No. 13, p118. 大修館書店. (2001年12月)
  5. 『認知意味論のしくみ』(紹介記事) 研究社、籾山洋介著, viii+190頁.『月刊言語』Vol. 31, No. 4, p.183. 大修館書店. (2002年4月)
  6. 『認知科学辞典』(項目執筆) 共立出版. (2002年7月30日)(ISBN4-320-09445-X)日本認知科学会(編)A5判, 1030頁.
  7. 『認知言語学キーワード事典』(紹介記事) 研究社、辻幸夫(編), A5判 xii+314頁.『英語青年』Vol. 148, No. 12, pp45-46. 研究社. (2003年3月)
  8. 『認知文法の新展開 -カテゴリー化と用法基盤モデル』 研究社、早瀬尚子・堀田優子, A5判 viii+220頁.『月刊 言語』Vol. 35, No. 1, p.121. 大修館書店. (2006年1月)
    [C] 研究発表
  1. 「モンテギュー文法と再帰化」 (1982年10月)日本言語学会第85回大会研究発表(『言語研究』第83号, pp138-141所収)
  2. "DREAM #1" & "DREAM #2" (1986年12月13日)土曜ことばの会(於京大会館)
  3. 「言語の機械処理の前提となる理論言語学の研究」 (1987年2月6日)昭和61年度科学研究費特定研究(1)研究報告会発表資料(pp35-38).
  4. 「形式意味論とメタファー」 (1987年7月4日)対話研究集会(於ATR)
  5. "On relational interpretation." (1989年7月15日)土曜ことばの会(於大阪大学日本学科視聴覚室)
  6. 「形式意味論的アプローチ」 (1989年11月11日)第14回関西言語学会(於大阪外国語大学)(KLS 10, pp83-84所収)
  7. 「タイプ、メタファー、ポインター」 (1990年11月25日)日米文化系学術交流研究集会・第27回待兼山ことばの会.
  8. 「タイプ、メタファー、ポインター」 (1993年12月14日)第25回中部言語学会・定例研究会(於静岡大学)
  9. 「英語受動文」 (1993)日本英文学会中部地方支部大会(於岐阜大学)
  10. 「英語学における範疇と範疇化」 (1997年11月26日)フランス語学談話会(於京大会館)
  11. 「言語理解と認知モデル」[講演] (1998年9月26日)京都ドイツ語学研究会第39回例会(於関西ドイツ文化センター京都)
  12. 「写像制約について」 (2003年10月19日)第28回関西言語学会(於神戸市外国語大学)
  13. 「メタファ理論の貢献と今後」 (2003年11月16日)日本英語学会第21回大会シンポジウム『メタファ理論を考える』(於静岡県立大学)
  14. 「認知言語学の射程と言語普遍」 (2005年3月3日)国際シンポジウム「アジア系諸語の言語資源構築と言語社会デザイン」&ワークショップ「アジア系言語資源構築と言語普遍への挑戦」大阪外国語大学/多言語処理プロジェクト(於千里ライフサイエンスセンター)(『他言語同時処理によるアジア系言語の自然言語翻訳に関する研究』pp45-52. 研究代表者 高階美行. 平成14~16年度科学研究費補助金研究成果報告書、基盤研究(B)(2)、研究課題番号14310220)
  15. 「メタファと意味解釈」 (2005年9月18日)日本認知言語学会第6回大会シンポジウム『認知意味論の新展開 ーメタファを中心にー』(於お茶の水女子大学)
  16. 「不変性仮説とカテゴリー化」 (2006年8月26日)京都言語学コロキアム第3回年次大会 (KLCAM-3)(於京都大学 芝蘭会館)
    [D] 英語教科書・語学教科書
  1. The Beatles (by Chris Mosdell) (1984年12月30日) 金星堂 (pp120) (共同執筆者:西光義弘)
  2. The Beatles Story (by Alan Posener) (1987年12月20日)マクミラン・ランゲージハウス(pp120)
  3. OCEAN English Course I 新興出版社啓林館
  4. OCEAN English Course II 新興出版社啓林館
  5. English à la carte (1991年3月1日)大学書林(pp52)
  6. Tomorrow English Course I 新興出版社啓林館
  7. Tomorrow English Course II 新興出版社啓林館
    [E] その他(英語教育・啓蒙的エッセイ、等) (項目 [E] はかなり不完全です;特に70年代、80年代のものは記録が残っておらず一切掲載していません。)
  1. 「思い付くままに」 (一、二、三)(1993年6月、7月、9月)『啓林』(1993 No.100 (pp7-10), 101 (pp7-10), 102 (pp7-10)) 新興出版社啓林館
  2. 「情報処理関連機器利用に関して今後望まれること」 (1994年3月31日)『大阪外国語大学での情報処理・研究のありかたについて』pp90-92. 平成5年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.
  3. 「ハイパカード・スクリプト:QuickTime Moviesの利用にむけて」 (1994年3月31日)『大阪外国語大学での情報処理・研究のありかたについて』pp23-31. 平成5年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.
  4. 「LL教材提示用ハイパカードスクリプト例 - 研究ノート&資料」 (1994年3月31日)『英米研究 (19)』pp97-114. 大阪外国語大学英語研究室.
  5. 「学内LAN&インターネット利用にむけて:Macintoshの場合」 (1995年3月31日)『大阪外国語大学での情報処理機器・学内LAN利用の研究』pp26-49. 平成6年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.
  6. 「バークレーComputing事情」 (1996年3月31日)『大阪外国語大学情報処理室広報』pp14-18.
  7. 「マックでインターネットを利用する準備(改訂版)」 (1997年3月31日)『大阪外国語大学学内LAN利用の実際と今後』pp63-82. 平成8年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.
  8. 「英語学への招待:意味論の流れから - 若き学生諸君へ -」 (1998) 池田修(監修)『世界地域学への招待』 pp311-320 嵯峨野書院([平成7・8年度文部省特定研究「地域研究の方法的課題に関する研究」報告書『世界地域学への招待』(大阪外国語大学)に基づく市販版])
  9. 「OS 8.0 関連とSherlock」 (1999年3月31日)『大阪外国語大学学内LANの展開』pp65-73. 平成10年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.
  10. 「ネット時代のミニミニ社会言語学」 (2000年3月31日)『大阪外国語大学における情報処理教育・研究の高度化』pp28-34. 平成11年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.
  11. 「副専攻語英語を考える」 (2001年3月)『大阪外大全体の効果的な英語教育』pp37-46. 平成12年度大阪外国語大学特別教育学内研究経費(学長裁量)研究成果報告書. 大阪外国語大学外国語学部.
  12. 「語学教育とFDの取り組み」(前編・後編) 『文部科学教育通信』(2001年12月24日号, pp22-23・2002年2月11日号, pp22-23) . (ジ アース教育新社)
  13. 「大阪外国語大学における英語教育雑感」 (2002年3月)『大阪外大全体の効果的な英語教育』pp9-18. 平成13年度大阪外国語大学特別教育学内研究経費(学長裁量)研究成果報告書. 大阪外国語大学外国語学部.
  14. 「大阪における高大連携の現状と課題」 (2005年3月)『第54回全国英語教育研究大会紀要』pp165-168. 全国英語教育研究団体連合会.
  15. 「認知言語学と異文化理解」 (2006年3月1日)細谷昌志(編)『異文化コミュニケーションを学ぶ人のために』pp16-32. 世界思想社.
  16. 「特集『認知言語学と外国語教育』に寄せて」 (2006年4月30日)『エクスオリエンテ』Vol. 13, pp1-4. 大阪外国語大学言語社会学会.
  17. 「統合の姿、当面の課題」 (2008年3月10日)『2007 月例講演集』pp191-208. 咲耶会(大阪外国語大学同窓会)東京支部事務局.
  18. 「認知意味論へのいざない」 (2008年3月31日)木村健治・金崎春幸(共編)『言語文化学への招待』pp267-279. 大阪大学出版会.
  19. 「普遍性と特殊性 ヨーロッパの言葉と文化を考えるために」 (2013年10月10日)野村泰幸(編)『ヨーロッパ・ことばと文化―新たな視座から考える』 pp1-19. 大阪大学出版会.
(*** 索引に戻る ***)


[詳細]


[A] 研究論文・著書・翻訳

1
「大阪弁におけるピッチアクセントの一面」(1969年4月)『外語論叢』vol.1, No.1. 大阪外大文連協

大阪弁のピッチアクセントの型、主に動詞とその否定形、に関しての音韻論的記述。(索引に戻る)

2
What can Logic offer? (1973年1月11日) 大阪外国語大学修士論文, pp150. (『論理学は何を寄与し得るか?』)

記号論理学は言語学とは独立して発達した西洋論理哲学の一分野と言えるが、自然言語をもその研究対象としていることは誰しも認めるところである。そこでこのような記号論理学を自然言語の意味研究の道具として捉えた場合、どのような貢献が期待できるか、ということを、英語の数量詞に関わる現象とレトリック表現を中心に、前者では述語論理、後者では命題論理を用いて例証しながら、その可能性を示したもの。(索引に戻る)

3
"What do you think about how we think? --- A case study of some rhetorical expressions" (1973年12月1日) Nebulae Vol.1, pp71-92. Osaka Gaidai Linguistic Circle. (「我々の思考方法をどう考えるか - ある種のレトリック表現の研究」)

なんらかの修辞的効果を持ついくつかの英文のパターンについて、その効果がどのような論理的メカニズムを用いて作り出されているのか、ということを説明しようとしたもの。基本的には命題論理の真理値表の値の組み合わせと、文が発言される時はそれは「真」として提示されている、ということを出発点として、複文や重文構造の要素となっている命題の真理値が巧妙に決定されているメカニズムを明らかにしたもの。(索引に戻る)

4
"A grammatical nonfiction" (1974年3月)『英米研究 (8)』pp39-57. 大阪外国語大学英語研究室. (「文法におけるノンフィクション」)

言語記述においては、ある資料の説明のために考えられる方法が複数個可能である場合が少なくない。このようなことを許す理論とそうではなく説明方法に恣意性を許さない理論を比較した場合、他の条件が等しければ、後者の方が好ましい理論と言える。このようなことが拡大標準理論と生成意味論の間にも見られ、ある種の資料の取扱について、生成意味論はその分析の可能性を大幅に削減することができる理論であることを示した。(索引に戻る)

5
「II 統語論」(翻訳). (1975年) R. A. Miller(編)・林栄一(監訳)『ブロック日本語論考』pp25-90. 研究社.

『ブロック日本語論考』の当該箇所の翻訳を担当した。(索引に戻る)

6
"Notes on a Kalam relative clause construction and some related problems" (1975年9月-12月) Working Papers in Linguistics 7.5, pp35-62, University of Hawaii. (「カラム語における関係節構造および関連諸問題に関する覚書」)

パプア・ニューギニアの言語の一つであるカラム語に見られる先行詞を持たない特殊な関係節構造に関してその統語的・意味的特徴を記述したもの。統語的にはいわゆる主要語無し関係節として分析することの妥当性を示し、意味的にはこのような構造が用いられる場合の条件を認知的な観点から人間や高等動物、下等動物、無生物といったハイアラーキーとの相関関係から規定できることを示した。(索引に戻る)

7
"Three senses of abstractness in phonology" (1976年11月) Nebulae Vol.2, pp62-84. Osaka Gaidai Linguistic Circle. (「音韻論における抽象性の三つの意味」)

言語分析においては、他の条件が等しければ、抽象的な分析よりも具体的な分析の方がより良いとされのが普通であるが、このような場合の「抽象的」とは一体どのような事態を指すのか、といったことを明らかにすることにより、音韻分析の抽象性の度合を定量化し、結果複数の音韻分析の中からより妥当な分析を選び出す方法を提案したもの。音韻分析における、新たな「評価の基準」を与えたものとして理解できる。(索引に戻る)

8
"Word order and movement process." (1977年3月)『英米研究 (10)』pp113-124. 大阪外国語大学英語研究室. (「語順と移動のプロセス」)

移動変形が働く時、その移動方向は多くの言語の場合恣意的ではないと考えられる。そこで、その移動の方向と語順との間には相関関係があるのではないか、ということを英語、日本語、サイパン・カロリニア語に関して観察を行い、一つの提案をしたもの。同時に言語における有標性・無標性の分類をどのように位置付けるべきか、ということをこの提案との関連で考察した。(索引に戻る)

9
"Notes on RCC" (1977年10月) Nebulae Vol.3, pp131-186. Osaka Gaidai Linguistic Circle. (「RCCに関する考察」)

日本語の再帰代名詞の取扱は様々であるが、中でも使役文や受動文の取扱を統一的に行うことができる再帰代名詞の取扱方法として、RCC(Reflexive Coreference Constraint)(再帰代名詞同一指示制約)を用いる方法は非常に優れた提案である。しかしRCC自体も万能ではなく、資料の範囲を広げることによって、その不備を指摘し、修正案を提案し、さらにどのような問題点があるかを考察していったもの。(索引に戻る)

10
"On process model phonology" (1978年3月)『学報 42』(言語篇) pp157-168. 大阪外国語大学. (「プロセス・モデル音韻論について」)

生成音韻論における音韻規則は、音韻プロセスということからは、音韻形式の生成の過程の観点からも、解釈の過程の観点からも捉えることができる。このようなことを派生行の対応ということで表現することによって、規則の線的適用が、必ずしも必要不可欠な音韻規則に対する制約ではなく、規則の同時適用によっても、これまで不可能とされてきた現象をうまく記述できることを具体的に示したもの。(索引に戻る)

11
"Conjoined NPs in PTQ" (1979年3月)『英米研究 (11)』pp37-49. 大阪外国語大学英語研究室. (「PTQにおける等位接続NP」)

モンテギュー文法(特にPTQモデルと呼ばれるもの)における等位名詞句の取扱ははなはだ不完全なものであるので、変形文法における統語理論の考え方をそのシンタックスに採用することによって、如何に一般性の高い記述を与えることができるかということを、ひとつのミニ・モデルを提案することによって示した。また末尾においては、普通名詞に関する定理を意味論的な方法ではなく、証明理論の手法で証明した。(索引に戻る)

12
「"Both"について」(1979年10月)『英語と日本語と - 林栄一教授還暦記念論文集』pp141-152. くろしお出版.

英語の"both"という語の使用に関して日本人の誤りやすい点を生成文法の成果を導入しつつ教育的な立場から分かりやすく述べたもの。基本的には"both"は名詞句を修飾していようと動詞句を修飾していようと、あるいはその修飾要素が何であれ、重文構造に対応する意味をその基本的な意味として持つことを示し、等位構造に"both"がある場合とない場合でどのような違いがあるか、ということを様々な例を用いて解説した。(索引に戻る)

13
"Toward providing an input to Relational Grammar from Montague Grammar: a preliminary sketch" (1980年3月)『英米研究 (12)』pp125-138. 大阪外国語大学英語研究室. (「モンテギュー文法から関係文法への入力について:素描」)

関係文法のプリミティヴである文法関係を、モンテギュー文法に基づく形式意味論的な解釈を用いることによって定義し、その結果を関係文法の統語操作が働く深層構造として規定する試みに関して考察したもの。意味論を欠く関係文法に意味論を与え、同時に文法関係を意味論から導くことにより、全体として関係文法と形式意味論の融合を企て、形式、意味両面が一つの文法モデルにどのように有機的に統合されるかを示したもの。(索引に戻る)

14
"Compositionality and expletives" (1980年3月1日)『学報 48』(言語篇) pp87-102. 大阪外国語大学. (「構成性の原理と虚辞」)

形式意味論における記述の大原則である構成性の原理を遵守することは、その妥当性が確認できる反面、なかなか容易なことではない。そのような問題の一つとして、英語の虚辞"it"はどのように捉えられるべきか、ということをモンテギュー文法と変形生成文法の統合化されたモデルを用いることによって考察したもの。対象としたのは、時間の"it"、天候の"it"、及び外置構文主語"it"の三つの虚辞の"it"である。(索引に戻る)

15
Transformational Montague Grammatical Studies of Japanese (1982年5月) Ph.D. Dissertation, University of Hawaii. Pp524+xiii. (Available from UMI)(『変形モンテギュー文法による日本語研究』)

モンテギュー文法のシンタックスがあまりにも不備であることから、変形文法との有機的融合をはかるべきであることを、そのあるべき姿とともに一つの言語記述モデルとして提案した。同時にそのようなモデルにおいて、これまで扱われてきた日本語の代表的な構文が新たにどのような取扱を受けるべきかを具体的に記述し、さらにそのようなモデルにおける問題点や将来の方向を考察した。(索引に戻る)

16
"Forward reflexivization in Japanese reconsidered." (1983年3月24日)『学報 62』(言語篇) pp55-62. 大阪外国語大学. (「日本語における順向再帰代名詞化」)

日本語の順向再帰代名詞化をどのように捉えるべきかをモンテギュー文法の枠組みで再考したもの。単に順向再帰代名詞化の現象を記述するのではなく、主語名詞句による支配がなぜ起こるのかということを説明できる記述を、主語名詞句の量化表現によるその作用域内に生じる代名詞表現の論理的束縛という観点で捉え、同時に述部による主語への属性付与という観点から説明しようとしたもの。(索引に戻る)

17
「義務規則と規則の個別化」(1983年3月30日)『英米研究 (13)』pp65-72. 大阪外国語大学英語研究室.

義務規則を排除することは、ある意味で文法の力を大幅に制限することにつながる。しかし単に義務規則を排除しようとすれば、必ず文法の他の場所で(多くの場合何らかの規則の一部として)その情報を表現する必要が生じてくる。このような状況が発生しない為には何らかの工夫をしてやる必要がある。そしてある種の工夫や考え方を用いることによってこれが可能であり、よって義務規則を放棄することができる可能性を示唆したもの。(索引に戻る)

18
「モンテギュー文法の話」(1983年4月10日)『日本語学』1983年4月号, vol. 2, pp78-88. 明治書院.

モンテギュー文法の中心的概念やその枠組みが前提とすること、および技術的側面にわたって一般向けに書いた紹介論文であるが、これまでの英語中心の記述であった形式意味論の手法を日本語の記述に用いようとした場合に、どのような理論的問題に遭遇するか、ということをなるべくわかりやすく解説するように努め、モンテギュー文法による日本語記述のあるべき姿と将来の方向性をある程度示唆できるように努めた。(索引に戻る)

19
"Remarks on being nonconfigurational" (1983年7月16日) Papers from the Kyoto Workshop on Japanese Syntax and Semantics, pp39-47. The Kyoto Circle for Japanese Linguistics. (「ノン・コンフィギュレイショナルであることについて」)

日本語の統語構造に関してはコンフィギュレイショナルであるかノン・コンフィギュレイショナルであるか、ということに関して大きく立場がわかれるが、形式意味論の枠組みにおいて、量化子の作用域に関する現象を意味論的にもっともうまく説明するためにはノン・コンフィギュレイショナルな統語構造を設定した方がよいことを示し、この問題の決着に関する一つの議論の方法を示した。(索引に戻る)

20
"Remarks on bare common nouns in Japanese" (1984年3月20日)『学報 64』pp251-281. 大阪外国語大学 創立60周年記念. (「日本語はだか名詞について」)

日本語において普通名詞が名詞句として機能する場合と先行詞を含む関係節表現がどちらも項表現(Term Phrase)として取り扱われるべきであることを、統語・意味両面からモンテギュー文法の枠組みで考察したもの。はだか名詞自体も一種の一般量化子として取り扱うことを目指したもので、その意図は新しいモデル理論的存在物を設定することなく、はだか名詞の解釈を規定しようとする所にある。(索引に戻る)

21
"Remarks on negation" (1985年3月30日)『英米研究 (14)』pp107-124. 大阪外国語大学英語研究室. (「否定について」)

一般に否定表現は意味論的には文演算子とされる。そしてそのような取り扱いを統語論においても見ることがある。しかし日本語の否定表現"-nai"は統語的には動詞句内で生成されなければならないことを指摘し、その場合の"-nai"の文演算子としての意味解釈の規定はどのように行われるべきであるかということを、モンテギュー文法の枠組みで考察し分析を与えたもの。(索引に戻る)

22
"Just a dream?" (1987年2月28日)『英米研究 (15)』pp133-138. 大阪外国語大学英語研究室. (「単なる夢?」)

従属節を目的語に持ち内包的脈絡を形成する動詞群を、その引き出せる論理的含意関係の特徴から、少なくとも二種類に下位分類する必要があることを指摘し、その内の一方の動詞群である「世界創造動詞」の代表として"dream"を取り上げ、なぜこのような動詞が観察される論理的特徴を持つのか、ということを、大きく二つの観点から、形式意味論の枠組みを用いて説明する可能性を示唆したもの。(索引に戻る)

23
「アスペクツ・モデル - 形式意味論からの回顧と展望」(1987年3月25日)『外国語研究と言語情報処理』pp33-58. 昭和61年度特定研究研究成果論文集.

変形生成文法におけるアスペクツ・モデルは歴史的な意義のみ持つと考えられてきたが、その背景には、厳密な意味論の不在というものがあった。モンテギュー文法など優れた形式意味論が登場してきた現在、それらの意味論的成果を考慮した場合、アスペクツ・モデルの持つ意義は大幅に異なってくる。そこでこれら形式意味論とアスペクツ・モデルの融合をはかることにより、新しい統一的言語記述のモデルを提案しようとした。(索引に戻る)

24
「直接写像仮説と派生行間対応制約」(1987年3月30日)『言語学の視界』pp17-29. 小泉保教授還暦記念論文集. 大学書林.

音韻規則の適用に関しては、大きく分けて、それらが順次適用されることによって派生を形成する間接写像仮説とそれらが同時にすべて適用されることによって派生を形成する直接写像仮説があるが、一般に後者は妥当な記述を与えることができないとされてきた。しかし、音韻規則を派生行間の音韻形式の対応に関する制約と解釈しなおすことによって、実は直接写像仮説も期待通りの結果を生んでくれるものであることを具体的に示した。(索引に戻る)

25
「言語の機械処理の前提となる理論言語学の研究」(1987年3月)『言語情報処理のための基礎的研究』pp45-48. 昭和61年度科学研究費補助金特定研究(1).

形式意味論においては標準的なタイプ理論が用いられることが多い。しかし、日常言語においてはタイプの多様化ということはそれほど言語事実によって支えられている訳ではなく、多くの言語事実はその逆の可能性を示唆している。このようなことから、標準的なタイプ理論を組み込まない内包論理を構築し、更に日常言語の隠喩表現などをも含む自然言語の意味記述にどのようにそれが適用できるかという可能性を探ったもの。(索引に戻る)

26
『英語学I 統語論・音韻論』(共著)(1987年4月25日) pp364+xvi. 大阪教育図書.

変形生成文法への概論的入門書として書かれたもの。全体としては統語論と音韻論に重点を置いた形として仕上げられているが、統語論自体は近年の形式意味論の発達を考慮した上で、標準理論に基づく簡潔な統語構造の妥当性を根拠づけるよう配慮した。考える練習問題を多く盛り込むことにも配慮した。共著であるが、担当部分は統語論全章(pp1-288)と音韻論第24章(pp345-361)である。[共著者:上田功](索引に戻る)

27
"A program for formal semantics and metaphors" (1988年2月29日)『英米研究 (16)』pp167-190. 大阪外国語大学英語研究室. (「形式意味論と隠喩表現のためのプログラム」)

形式意味論が通常用いるモデルと自然言語の隠喩表現との間に見られる関連性を指摘することにより、これまでの純粋に数学的、論理学的な動機から構築されることの多かった自然言語意味解釈のためのモデルを、より認知的な考慮を反映することができる自然なモデルにすることを提案したもので、ある意味では生成意味論が果たせなかった「自然論理」への新たなる一歩であると位置付けることもできる。(索引に戻る)

28
「モンタギュー文法」(1988年4月25日)『言語学の潮流』(林栄一・小泉保(編)) pp222-241. 勁草書房.

言語学の教科書の一節として「モンタギュー文法」を紹介したもの。基本的には形式意味論のアプローチを、真理条件意味論、可能世界意味論、モデル理論の三つの柱を中心に展開するアプローチとして位置付け、いわゆるPTQ文法の手法として意味解釈に中間言語として内包論理を用いる枠組みを、英語、日本語を例にとりあげながら分かりやすく解説していったもの。(索引に戻る)

29
「タイプ、メタファー、ポインター」(1992年3月31日)『英米研究 (18)』pp71-83. 大阪外国語大学英語研究室.

メタファーが持つ意味公準的な役割をどのように論理体系の中で反映させるべきか、ということに関する一試案を提示したもの。特に「属性」の「個体レベル」での取扱とメタファー的認識との関係に着目し、そのような関係を形式的に反映できる一つの方法としてプログラミング言語のC言語におけるポインターの役割と平行するような取扱を意味論にも導入することを提案したもの。(索引に戻る)

30
「英語の受動文」(1992年3月31日)『英語圏世界の総合的研究』pp1-12. 平成4年度特定研究(1). 大阪外国語大学.

受動文が許容される条件に関しては様々な取扱があるが、この論文では認知意味論の立場に立脚して、受動文の許容条件および制約を考察した。基本的には受動文の許容度と他動性の程度の間に見られる相関関係により、受動文の条件・制約をみていこうとしたものだが、このことをかなり多種多様の文型や構文や動詞にわたって観察・考察を進めることによって、具体的に検証していこうとしたもの。(索引に戻る)

31
「複文(?)と他動性の接点 - R-系列表現から -」(1995年5月26日)『複文の研究(上)』(仁田義雄(編)) pp55-62. くろしお出版.

形式的特徴からは複文と考えられないような場合も意味的特徴から一種の複文と理解できるようなものが、ひとつの閉じたグループを形成していると考えられる場合を、日本語の直接受け身、間接受け身、尊敬、自発、可能表現に関して考察したもの。これらが何らかの意味で共通しているということは、よく知られた事実であるが、その「共通点」を他動性を軸にした意味上の「複文性」に求めることによって示したと考えられる論文。(索引に戻る)

32
「意味論」(1997年2月20日)『日英語対照による英語学概論』(西光義弘 編) pp375+x. くろしお出版、pp185-242.

英語学への入門書。「意味論」を担当。意味現象の素描に始まり、理論的枠組みとして「形式意味論」、「認知意味論」をそれぞれ紹介する意図で書いたもの。(他執筆者:窪薗春夫、影山太郎、三原健一、西光義弘、西村秀夫)(索引に戻る)

33 『意味論1 - 形式意味論 -』(1998年3月25日) pp216+x. (西光義弘(編集)日英語対照による英語学演習シリーズ5)くろしお出版

中・上級レベルの意味論演習用教科書として書かれたもの。生成文法においてなされている様々な意味論的観察から代表的なものをとりあげて紹介、検討した第I部に始まり、第II部では形式意味論を、第III部では認知意味論をとりあげる、という構想のもと、本書では、その第I部と第II部を取り扱った。第II部「形式意味論」においては、命題論理から様相論理までがどのように自然言語の記述と関わっているのかを、その全体像が浮き彫りにできるよう配慮し、最終章において最近の研究動向や今後の展望にもふれるようにした。(全13章)(索引に戻る)

34
『意味論2 - 認知意味論 -』(1998年11月1日) pp192+vi. (西光義弘(編集)日英語対照による英語学演習シリーズ5)くろしお出版

中・上級レベルの意味論演習用教科書として書かれたもの。先の『意味論1 - 認知意味論 -』を第1分冊とする第2分冊で、これら両者で『意味論』を形成する意図で書かれたもの。第1分冊の形式意味論とは多くの点で相反する立場と考えられる認知意味論に関して、前半14章から18章でその基本的な概念や考え方を、後半19章から22章で代表的な理論的枠組みを、それぞれ概説的に解説したもの。また最終章の23章では第1、第2分冊を通しての意味論の流れを素描した。(索引に戻る)

35
「コトバからヒトへ」(1999年4月1日) EX ORIENTE, pp3-23. 大阪外国語大学言語社会学会誌.

コトバの理解を研究するとどのような認知活動が見えてくるか、そしてそれらの認知活動がヒトの理解にどのようにつながるか、ということを主に認知言語学の立場から「認知原理」を提案することによって統一的な視点から見ることを提案したもの。(索引に戻る)

36
「不変性仮説」(翻訳)"The Invariance Hypothesis" by George Lakoff. (2000年8月10日)坂原茂(編)『認知言語学の発展』pp1-59. ひつじ書房.

雑誌Cognitive Linguistics創刊号巻頭論文"The Invariance Hypothesis" by George Lakoffを翻訳したもの。認知言語学の学問上の位置づけ及びメタファ写像に課される不変性仮説の提案が見られる本論文の意義に鑑み、『認知言語学の発展』という論文集に日本語に翻訳し掲載したもの。(索引に戻る)

37
「なぞなぞの舞台裏 - その理解と認知能力」(2002年10月10日刊) 大堀壽夫(編)『認知言語学II:カテゴリー化』(シリーズ言語科学3巻) pp59-78 . 東京大学出版会.

「文章読解能力に問題がある子供たちの読解能力を向上させるのに、なぞなぞのなぞ解きをさせたりなぞなぞを作らせたりすることが有効である」との心理学者の観察を取り上げ、なぜそうであるのか、という問題を取り上げ、認知言語学の観点から一つの答を出そうとしたもの。文章読解能力もなぞなぞのなぞ解きも基本的には同じ種類の認知能力の関与が考えられ、従って時間的にも無理のない短いなぞなぞで遊ぶことが自然と子供たちの認知能力の活性化につながっているのではないかとの提案をしたもの。(索引に戻る)

38
「認知言語学から見た動詞」(2002年11月1日刊)『月刊 言語』Vol. 31, No.12, pp47-55. 大修館書店

「動詞とは何か:その機能と意味の捉え方」という特集が組まれた月刊誌『月刊 言語』において認知言語学的には動詞というものをどのように捉えることができるのか、伝統文法、生成文法、形式意味論での「品詞論」と対比しながら答を用意したもの。カテゴリは一般的にプロトタイプ効果を示すことや必要十分的に定義することはできない、という認知言語学の成果を踏まえて認知言語学からの品詞論を展開すると同時に今後の動詞研究の方向性に触れたもの。(索引に戻る)

39
「類似性と共通スペース:メタファ理論とスペース融合モデルの観点から」(研究ノート)(2004年3月31日刊)『英米研究』第28号, pp195-202. 大阪外国語大学英米学会.

メンタルスペース理論における4スペースモデルにおいてスペースの導入はどのような動機付けにより引き起こされると考えることができるかについて、一つの素案を出したもの;メタファ理論とメンタルスペース理論の統合を視野に入れ、その方向性をあくまでも研究ノートとして素描したもの。(索引に戻る)

40
「メトニミとメタファ:写像と類似性の観点から」(研究ノート)(2006年3月31日刊)『英米研究』第30号, pp99-105. 大阪外国語大学英米学会.

認知メカニズムとしてのメタファ及びメトニミを「類似性」の観点から統合化しようとする企ての一段階として、メトニミを写像と類似性の観点から考察しなおす場合の一つの方向性に関して若干の提案をしたもの。(索引に戻る)

41
「不変性仮説と類似性」(2006年4月30日刊)『言外と言内の交流分野:小泉保博士傘寿記念論文集』pp305-310. 大学書林.

メタファ理論における「不変性仮説」に関して、なぜそのような仮説が存在するのか、という問いに対して「類似性」を基盤にして一つの答えを出そうとしたもの。(索引に戻る)

42
「メタファと意味理解」(2006年9月10日刊)『日本認知言語学会論文集 第6巻』pp508-518. 日本認知言語学会.

メタファが関わる形で意味理解が進行していると考えられる場合、それらはすべて根源的には類似性に基ずくカテゴリー化とすることができることを述べたもの。日本認知言語学会第6回大会シンポジウム『認知意味論の新展開 ーメタファを中心にー』での口頭発表を基に若干追加・修正したもの。記述的にはメンタルスペース理論における共通スペースがその役割を果たすとした。杉本 (2006)の口頭発表はこの論文の内容に基づき近年のイメージスキーマ研究の成果も取り入れて体系化を図ったもので、本論文の執筆時期よりも後に位置づけられる。(索引に戻る)

43
「メタファとカテゴリー化」(研究ノート)(2007年3月31日刊)『英米研究』第31号, pp61-68. 大阪外国語大学英米学会.

メタファの原動力あるいはメタファを可能にしている最も重要な我々の概念作用は、二つの異なる経験領域に類似性を見て取れるということである(もちろんこのような概念作用は必ずしも意識的である必要はないことは言うまでもない)。まったく異質な二つの概念領域間にメタファ的理解が成立するということは、その領域間に存在する類似性を意識的/無意識的に概念レベルで把握/理解しているからと言える。(この類似性を理解するということが、おそらくは脳細胞レベルでの異なる細胞群の同時活性化を促す原動力として働いているとも考えられる。)本稿はこの考え方に基ずく今後の研究展開への現時点までのくくりとして、類似性の捕捉としての、つまりカテゴリー化の一種としての、メタファの位置づけに関わる諸概念を項目的に列挙しておこうとするものである。(索引に戻る)

44
「形式意味論に関する幾つかの疑問 ―認知意味論の観点から―」 (2011年5月31日)『言語文化共同研究プロジェクト2010 言語における時空をめぐって IX』 pp21-30. 大阪大学大学院言語文化研究科.

形式意味論や論理学における「妥当な推論」「パラドックス」「意味公準」「多値論理」などの取り扱いを認知意味論の観点から考え直し、それらが認知意味論的には、どのような位置づけとなるのか、形式意味論や論理学はいかなる意味で自然言語の意味分析に不適格であるのか、に関する考察を施したもの。(索引に戻る)

45
「不変性仮説とカテゴリー化」 (2012年5月31日)『言語文化共同研究プロジェクト2011 時空と認知の言語学 I』 pp21-28. 大阪大学大学院言語文化研究科.

論文内容は京都言語学コロキアム第3回年次大会 (KLCAM-3)(於京都大学 芝蘭会館)での発表要旨に基づく。「不変性仮説」なるものは何故存在するのか、ということに対して、メタファとカテゴリー化の関係を考察することにより、一般的な答えを出そうとしたもの。メタファの考え方の基本をGradyのそれにおきつつ、近年のイメージスキーマ研究の成果も考慮しながら、結論として「不変性仮説とはメタファ的写像におけるソースとターゲットが類似性として共有する認知トポロジー(あるいはイメージスキーマ)の存在を述べたものに過ぎない」としたもの。その当然の帰結として「不変性仮説は不要である」ことを述べた。(索引に戻る)

46
「ピダハン語とリカージョン – 認知言語学からの覚書 –」 (2013年5月31日)『言語文化共同研究プロジェクト2012 時空と認知の言語学 II』 pp21-28. 大阪大学大学院言語文化研究科.

実際の言語資料を駆使して「ピダハン語にはリカージョンが存在しない」と主張するエベレットの手法には、「存在の否定」に関わる論理上の難点があることを指摘し、問われるべきは「形式的操作としてのリカージョンは言語専用のメカニズムなのか」ということと「なぜリカージョンの操作は形式的メカニズムとされるのか」という問いであることを述べた。そして、前者に対しては「言語以外の認知領域にも数々のリカージョンが存在する」ことを、後者に対しては「リカージョンは概念レベルの必要性から生じている」ことを述べ、エベレットのピダハン語研究の成果もこのような認知言語学的な主張に関して有効に活用されるべきであることを指摘した。(索引に戻る)

47
「認知意味論」 (2013年11月22日) 高見健一・三原健一(編)『日英対照 英語学の基礎』 pp147-176. くろしお出版.

英語学への入門書。「第6章 認知意味論」を担当。近年の認知意味論の展開において重要と思われるものについて日英対照の観点も反映させながら解説したもの。(索引に戻る)


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[B] 項目執筆・書評・紹介記事

1
『現代英文法辞典』(1992年7月)三省堂. (項目執筆)

(項目執筆)記号論理学や形式意味論の用語を英語学研究者にも分かりやすいように解説したもので、主に次のような項目を執筆担当した:intensional logic(内包論理)、truth condition(真理条件)、possible world(可能世界)等。なるべくフォーマリズムを使うことは避け、言葉による解説となるようにこころがけた。(索引に戻る)

2
"Introduction to Montague Semantics," pp313+xi. Dordrecht: D. Reidel Publishing Company. (1985年12月)『言語研究』第88号, pp97-103. 日本言語学会. (『モンテギュー意味論入門』)(書評)

D. R. Dowty, R. E. Wall & S. Peters共著による同名のモンテギュー文法入門書の紹介的書評。全体を各章毎に簡単に紹介し、その後、特に理解しにくい所や大切と思える所、英語学に馴染みの薄いような概念に関してやや詳しく解説した。また気がついた限りにおいて誤植のリストを掲載した。(索引に戻る)

3
"Give: A Cognitive Linguistic Study," N.Y.: Mouton der Gruyter,1996.  Ex Oriente Vol. 5, 2001. 大阪外国語大学言語社会学会誌 , pp271-285. (書評)

(藤原由美氏と共同執筆)授与概念であるGIVEを英語のgiveを初めとして数多くの言語の授与概念動詞を検討し、メタファ的拡張とは異なる説明方法や言語普遍的な分析を与えることの持つ意義を認知言語学の観点から解説・検討した。(索引に戻る)

4
『ことばの認知科学辞典』大修館書店、辻幸夫(編), xii+576頁. (『月刊言語』Vol. 30, No. 13, p118. 大修館書店. (2001年12月))(紹介記事)

同著の簡単な紹介記事。(索引に戻る)

5
『認知意味論のしくみ』研究社、籾山洋介著, viii+190頁.『月刊言語』Vol. 31, No. 4, p.183. 大修館書店. (2002年4月)(紹介記事)

同著の簡単な紹介記事。(索引に戻る)

6
『認知科学辞典』共立出版. (2002年7月30日)(ISBN4-320-09445-X)日本認知科学会(編)A5判, 1030頁. (項目執筆)

(項目執筆)論理学、意味論、語用論関連の用語の幾つかを認知科学や認知言語学の文脈の中で説明・解説した。(索引に戻る)

7
『認知言語学キーワード事典』 研究社、辻幸夫(編), A5判 xii+314頁.『英語青年』Vol. 148, No. 12, pp45-46. 研究社. (2003年3月)(紹介記事)

同著の簡単な紹介記事。(索引に戻る)

8
『認知文法の新展開 -カテゴリー化と用法基盤モデル』 研究社、早瀬尚子・堀田優子, A5判 viii+220頁.『月刊 言語』Vol. 35, No. 1, p.121. 大修館書店. (2006年1月)

同著の簡単な書評。(索引に戻る)


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[C] 研究発表

1
「モンテギュー文法と再帰化」(1982年10月)日本言語学会第85回大会研究発表(『言語研究』第83号, pp138-141所収)

モンテギュー文法において再帰代名詞化をどう考え捉えていくべきかについての発表。主語名詞句による支配がなぜ起こるのかということを説明できる記述を、主語名詞句の量化表現によるその作用域内に生じる代名詞表現の論理的束縛という観点で捉え、同時に述部による主語への属性付与という観点から説明しようとしたもの。主に日本語の資料を用いて発表した。(索引に戻る)

2
"DREAM #1" & "DREAM #2" (1986年12月13日)土曜ことばの会(於京大会館)

従属節を持ち内包的脈絡を形成する動詞群を、少なくとも二種類に下位分類する必要があることを指摘し、その内の一方の動詞群である「世界創造動詞」の代表として"dream"を取り上げ、なぜこのような動詞が観察される論理的特徴を持つのか、ということを、大きく二つの観点から、形式意味論の枠組みを用いて説明する可能性を示唆したもの。同時に可能世界意味論の"accessibility"(接近可能性)の問題について考察した。(索引に戻る)

3
「言語の機械処理の前提となる理論言語学の研究」(1987年2月6日)昭和61年度科学研究費特定研究(1)研究報告会発表資料(pp35-38).

形式意味論においては標準的なタイプ理論が用いられることが多い。しかし、日常言語においてはタイプの多様化ということはそれほど言語事実によって支えられている訳ではなく、多くの言語事実はその逆の可能性を示唆している。このようなことから、標準的なタイプ理論を組み込まない内包論理を構築し、更に日常言語の隠喩表現などをも含む自然言語の意味記述にどのようにそれが適用できるかという可能性を探った発表。(索引に戻る)

4
「形式意味論とメタファー」(1987年7月4日)対話研究集会(於ATR)

形式意味論が通常用いるモデルと自然言語の隠喩表現との間に見られる関連性を指摘することにより、これまでの純粋に数学的、論理学的な動機から構築されることの多かった自然言語意味解釈のためのモデルを、より認知的な考慮を反映することができる自然なモデルにすることを提案した発表で、生成意味論が果たせなかった「自然論理」への新たなる一歩と位置付けることができるモデルとして提案した。(索引に戻る)

5
"On relational interpretation." (1989年7月15日)土曜ことばの会(於大阪大学日本学科視聴覚室)

エングダールの"relational interpretation"(関係的解釈)に関する問題点と状況意味論のパラミターセッティングに関する問題点を指摘した。いずれも形式意味論との対比で問題点を指摘していったが、用いた資料の説明にまではいたらなかった。結論的には、形式意味論の枠組みでも説明が不可能であるような資料に関して、機能文法のような観点からの説明の必要性があるかもしれないことを指摘する発表となった。(索引に戻る)

6
「形式意味論的アプローチ」(1989年11月11日)第14回関西言語学会(於大阪外国語大学)(KLS 10, pp83-84所収)

関西言語学会におけるシンポジウム『形式意味論の動向』の総合司会を担当したため、シンポジウムへの導入として、形式意味論的アプローチがこれまでの意味論のアプローチとどのように異なるのか、という点に的を絞って解説したもの。シンポジウムでのテーマの理解を助けるために行った発表で、概説的、導入的な性格が強い。(索引に戻る)

7
「タイプ、メタファー、ポインター」(1990年11月25日)日米文化系学術交流研究集会・第27回待兼山ことばの会.

タイプ理論とLakoff & Johnsonのメタファーの取扱とC言語のポインターを一つの共通した視点から考察することによって、一つの論理的問題を解決しようとした発表。特に「属性」の「個体レベル」での取扱とメタファー的認識との関係に着目し、そのような関係を形式的に反映できる一つの方法としてプログラミング言語のC言語におけるポインターの役割と平行するような取扱を意味論にも導入することを提案したもの。索引に戻る)

8
「タイプ、メタファー、ポインター」(1993年12月14日)第25回中部言語学会・定例研究会(於静岡大学)

上の発表を更に発展させたもので、本発表ではポインターとメタファーの関連性に重点を置いたが、主な趣旨は、「属性」の「個体レベル」での取扱とメタファー的認識との関係に関し、そのような関係を形式的に反映できる一つの方法としてプログラミング言語のC言語におけるポインターの役割と平行するような取扱を意味論にも導入するべきであることを提案したもので、その点において上の発表と類似した内容であると言える。(索引に戻る)

9
「英語受動文」(1993)日本英文学会中部地方支部大会(於岐阜大学)

支部大会のシンポジウム『日英語の受身文をめぐって』において、英語における受動文をその許容条件および制約の観点から認知意味論の枠組みで他動性との絡みで考察した。(同シンポジウムにおけるその他の発表者:大門正幸、高見健一)(索引に戻る)

10
「英語学における範疇と範疇化」(1997年11月26日)フランス語学談話会(於京大会館)

英語学における範疇と範疇化の歴史と現状を哲学史、言語学史、英語学史の流れとの関係で解説的に検討・紹介した。(索引に戻る)

11
「言語理解と認知モデル」[講演](1998年9月26日)京都ドイツ語学研究会第39回例会(於関西ドイツ文化センター京都)

言語の意味理解においてどのような認知原理が働いているかを形式意味論の作業原理である構成性の原理の観点から解説的に検討・紹介した。[講演要旨:『京都ドイツ語学研究会会報』(Beiträge zur deutschen Linguistik, Methodik und Didaktik)第13号 (1999:19-21)](索引に戻る)

12
「写像制約について」(2003年10月19日) 第28回関西言語学会(於神戸市外国語大学)

メタファ理論において、ソースからターゲットへの写像に関わる制約に関して出されている諸案を概観し、メタファの分類をした後、写像の原動力として働くのは類似性 "Similarity"であることを主張し、その理論的位置づけとして、メンタルスペース理論における共通スペース "Generic Space"が持つ役割の一つとして理解すべきであることを提案した。(索引に戻る)

13
「メタファ理論の貢献と今後」(2003年11月16日) 日本英語学会第21回大会シンポジウム『メタファ理論を考える』(於静岡県立大学)

メタファ理論が言語学に対してどのような意味を持っていたか、という過去の部分を総括的に述べ、現在考えられる理論上の問題をいくつか述べ、それらをどのように解決していくべきかの試案をいくつか提案した。(索引に戻る)

14
「認知言語学の射程と言語普遍」(2005年3月3日) 国際シンポジウム「アジア系諸語の言語資源構築と言語社会デザイン」&ワークショップ「アジア系言語資源構築と言語普遍への挑戦」大阪外国語大学/多言語処理プロジェクト(於千里ライフサイエンスセンター)(『他言語同時処理によるアジア系言語の自然言語翻訳に関する研究』pp45-52. 研究代表者 高階美行. 平成14~16年度科学研究費補助金研究成果報告書、基盤研究(B)(2)、研究課題番号14310220)

アジア系言語資源構築を行う場合、言語普遍の視点が不可欠と考えられるが、認知言語学の観点からはどのような意味での言語普遍の視点が考えられるかを提案したもの。(索引に戻る)

15
「メタファと意味解釈」(2005年9月18日) 日本認知言語学会第6回大会シンポジウム『認知意味論の新展開 ーメタファを中心にー』(於お茶の水女子大学)(『日本認知言語学会第6回大会 Conference Handbook 2005』pp267-270.

人間の意味理解に重要な鍵を握るメタファのメカニズムを類似性に求めるべきであることを提案した。Gradyのcorrelation metaphorとresemblance metaphorを一つの立場から統一的に説明しようとしたものといえ、その際もっとも重要な役割を演じるのがメンタルスペースにおけるgeneric spaceに相当するものであり、類似性はこのスペースに反映されているものであり、ターゲットとソースのメタファ的関連性(いわゆる「対応」(correspondence)はこの部分を通して行われるものであると考える。こう考える事によってneural bindingの問題も無理なく説明でき、またメタファも統一的に説明できると考えらえることを提案したもの。重要な主張に(1)メタファはすべて類似性に基づく、(2)ソースとターゲットは直接対応により結びつくのではなく、共通部分(多くの場合generic spaceの情報)を通して結びついている、(3)Neural bindingは共通部分とソース、共通部分とターゲットの間に一義的に起こる、(4)メタファ的写像は本来、常に間接的である、などがある。(索引に戻る)

16
「不変性仮説とカテゴリー化」(2006年8月26日) 京都言語学コロキアム第3回年次大会 (KLCAM-3)(於京都大学 芝蘭会館)

そもそも「不変性仮説」なるものは何故存在するのか、ということに対して、メタファとカテゴリー化の関係を考察することにより、一般的な答えを出そうとしたもの。メタファの考え方の基本をGradyのそれにおきつつ、近年のイメージスキーマ研究の成果も考慮しながら、結論として「不変性仮説とはメタファ的写像におけるソースとターゲットが類似性として共有する認知トポロジー(あるいはイメージスキーマ)の存在を述べたものに過ぎない」としたもの。その当然の帰結として「不変性仮説は不要である」ことを述べた。(索引に戻る)


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[D] 英語教科書・語学教科書

1
The Beatles (by Chris Mosdell) (1984年12月30日) 金星堂 (pp120) (共同執筆者:西光義弘)

本文中の囲み記事及びpp86-115のビートルズ関係の部分を執筆した。(索引に戻る)

2
The Beatles Story (by Alan Posener) (1987年12月20日)マクミラン・ランゲージハウス(pp120)

英文教科書注(pp80-120)を執筆した。(索引に戻る)

3
OCEAN English Course I 新興出版社啓林館

文部省検定済高等学校英語教科書[61啓林館 英I 325](1990年3月31日):編集委員6名による共同執筆。(本教科書用Teacher's Manualも編集委員6名により共同執筆)(索引に戻る)

文部省検定済高等学校英語教科書[61啓林館 英I 520](1996年3月31日):編集委員5名による共同執筆。(本教科書用Teacher's Manualも編集委員5名により共同執筆)(索引に戻る)

4
OCEAN English Course II 新興出版社啓林館

文部省検定済高等学校英語教科書[61啓林館 英II 367](1991年3月31日):編集委員5名による共同執筆。(本教科書用Teacher's Manualも編集委員5名により共同執筆)(索引に戻る)

文部省検定済高等学校英語教科書[61啓林館 英II 570](1997年3月31日):編集委員5名による共同執筆。(本教科書用Teacher's Manualも編集委員5名により共同執筆)(索引に戻る)

5
English à la carte (1991年3月1日)大学書林(pp52)

大学において英語を様々な角度から勉強させることを意図して書かれた総合実習的教科書。(索引に戻る)

6
Tomorrow English Course I 新興出版社啓林館

文部省検定済高等学校英語教科書[61啓林館 英I 619](1997年12月10日):編集委員6名による共同執筆。(本教科書用Teacher's Manualも編集委員6名により共同執筆)(索引に戻る)

7
Tomorrow English Course II 新興出版社啓林館

文部省検定済高等学校英語教科書[61啓林館 英II 668](1998年12月10日):編集委員5名による共同執筆。(本教科書用Teacher's Manualも編集委員5名により共同執筆)(索引に戻る)


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[E] その他(英語教育・啓蒙的エッセイ、等)(項目 [E] はかなり不完全です;特に70年代、80年代のものは記録が残っておらず一切掲載していません。)

1
「思い付くままに」(一、二、三)(1993年6月、7月、9月)『啓林』(1993 No.100 (pp7-10), 101 (pp7-10), 102 (pp7-10)) 新興出版社啓林館

「英語教育に求められるもの」というテーマで三号にわたって連載したもの。一種の『私家版英語教育あれこれ』風のエッセイ。(索引に戻る)

2
「情報処理関連機器利用に関して今後望まれること」(1994年3月31日)『大阪外国語大学での情報処理・研究のありかたについて』pp90-92. 平成5年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.

タイトルの内容に関して研究グループで座談会を持った時の内容をまとめて報告したもの。(索引に戻る)

3
「ハイパカード・スクリプト:QuickTime Moviesの利用にむけて」(1994年3月31日)『大阪外国語大学での情報処理・研究のありかたについて』pp23-31. 平成5年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.

徐々に整いつつある大阪外国語大学の情報関連機器の教育目的での利用のため、教材開発の一助としてマッキントッシュのハイパカードを利用してQuickTime Moviesを有効・効果的に利用するためのスクリプトを提示したもの。基本的な機能としては「映画のオープン、クローズ、(回数指定)リピート再生、ループ再生、特定部分の((回数指定)リピート)再生、リソース写真のオープン、クローズ」などがボタン操作一つでできるようになっている。(索引に戻る)

4
「LL教材提示用ハイパカードスクリプト例 - 研究ノート&資料」(1994年3月31日)『英米研究 (19)』pp97-114. 大阪外国語大学英語研究室.

大阪外大のLL教室で実際に使用した例を基に、どのような形態でコンピュータの有効利用ができるかをマッキントッシュのハイパカードの利用例を中心に報告したもの。また同時に実際に用いたスクリプトも報告した。(索引に戻る)

5
「学内LAN&インターネット利用にむけて:Macintoshの場合」(1995年3月31日)『大阪外国語大学での情報処理機器・学内LAN利用の研究』pp26-49. 平成6年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.

大阪外大で利用環境が整いつつある学内LANに関して、どのような利用方法があるか、ということと利用形態の実際などに関してマッキントッシュを中心に啓蒙的に説明したもの。(索引に戻る)

6
「バークレーComputing事情」(1996年3月31日)『大阪外国語大学情報処理室広報』pp14-18.

文部省長期在外研究員として滞在していたUniversity of California at Berkeleyのパソコン利用環境について紹介したもの。(索引に戻る)

7
「マックでインターネットを利用する準備(改訂版)」(1997年3月31日)『大阪外国語大学学内LAN利用の実際と今後』pp63-82. 平成8年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.

大阪外大の学内LANに関して、研究室からのイ-サネット接続と学外からのPPP接続に分けて、それぞれの接続方法を細かく説明したもの。(索引に戻る)

8
「英語学への招待:意味論の流れから - 若き学生諸君へ -」(1998) 池田修(監修)『世界地域学への招待』 pp311-320 嵯峨野書院

英語学における意味論の流れを素描することにより、学問することの魅力などを若い学生に伝えようとして書かれたエッセイ的な案内記事。[平成7・8年度文部省特定研究「地域研究の方法的課題に関する研究」報告書『世界地域学への招待』(大阪外国語大学)に基づく市販版](索引に戻る)

9
「OS 8.0 関連とSherlock」(1999年3月31日)『大阪外国語大学学内LANの展開』pp65-73. 平成10年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.

本学PC環境がWindows中心になりマック関連の情報の欠如が目立ち始めたことを鑑み、新しいOSに関してより適切で便利な情報を提供しようとしたもの。(索引に戻る)

10
「ネット時代のミニミニ社会言語学」(2000年3月31日)『大阪外国語大学における情報処理教育・研究の高度化』pp28-34. 平成11年度教育研究学内特別経費プロジェクト研究成果報告書. 大阪外国語大学.

パソコンを通してファイルの交換をすることが本学でも普通になりつつあり、OSの違いなどから生じる問題を一つの「社会問題」として位置づけ言語学的な観点もまじえてエッセイ風に綴り構成員の意識向上を目指したもの。(索引に戻る)

11
「副専攻語英語を考える」(2001年3月)『大阪外大全体の効果的な英語教育』pp37-46. 平成12年度大阪外国語大学特別教育学内研究経費(学長裁量)研究成果報告書. 大阪外国語大学外国語学部.

主に外大学部生の副専攻語英語教育に関してその時間数の不足などをどのようにして補えばよいか、自主的学習を促す意味も含めて提案したもの。(索引に戻る)

12
「語学教育とFDの取り組み」(前編・後編)『文部科学教育通信』(2001年12月24日号, pp22-23・2002年2月11日号, pp22-23) . (ジ アース教育新社).

大学教育をメインとした雑誌に大阪外国語大学におけるFDの取り組みの現状と将来を語学教育との関連で概説したもの。(索引に戻る)

13
「大阪外国語大学における英語教育雑感」(2002年3月)『大阪外大全体の効果的な英語教育』pp9-18. 平成13年度大阪外国語大学特別教育学内研究経費(学長裁量)研究成果報告書. 大阪外国語大学外国語学部.

主に外大学部生全般の英語教育に関して方法論的に有効と思えることを自分が実践してきた経験にもとずいて教材作成や提示の一助となることを願って書いたもの。(索引に戻る)

14
「大阪における高大連携の現状と課題」(2005年3月)『第54回全国英語教育研究大会紀要』pp165-168. 全国英語教育研究団体連合会.

2004年11月13日に富樫明、寺本勉による高校側からの「大阪における高大連携の現状と課題」という発表において大学側から「指導助言者」の資格で分科会に参加し、フロアからの質問に答えたり、大学側の高大連携に対する期待などを述べたもの。(上記『第54回紀要』において、氏名が「杉本孝二」となっているが「杉本孝司」の誤り。)(索引に戻る)

15
「認知言語学と異文化理解」(2006年3月1日)細谷昌志(編)『異文化コミュニケーションを学ぶ人のために』pp16-32. 世界思想社.

異文化理解というテーマを認知言語学の観点から考えた場合、どのような結論が用意できるかということをテーマに、具体的に分かりやすい例を用いて、初学者の興味を引けるよう教育的配慮をしながら書いたもの。(索引に戻る)

16
「特集『認知言語学と外国語教育』に寄せて」(2006年4月30日)『エクスオリエンテ』Vol. 13, pp1-4. 大阪外国語大学言語社会学会.

学会雑誌『エクスオリエンテ』Vol. 13における特集「認知言語学と外国語教育」に寄稿された論文3点への導入的序文として書いたもの。(索引に戻る)

17
「統合の姿、当面の課題」 (2008年3月10日)『2007 月例講演集』pp191-208. 咲耶会(大阪外国語大学同窓会)東京支部事務局.

咲耶会(大阪外国語大学同窓会)東京支部の月例会において大阪外国語大学と大阪大学の統合に関して、当面の課題を中心に講演したもの。(索引に戻る)

18
「認知意味論へのいざない」 (2008年3月31日)木村健治・金崎春幸(共編)『言語文化学への招待』pp267-279. 大阪大学出版会.

新しく2008年4月に設置された大阪大学言語文化研究科言語認知科学講座の教員が関わる院レベルでの教育内容の一端の紹介論文三本の内の一つとして認知意味論の紹介をしたもの。他の講座の教育内容の紹介論文とともに『言語文化学への招待』に収められている。(索引に戻る)

19
「普遍性と特殊性 ヨーロッパの言葉と文化を考えるために」 (2013年10月10 日)野村泰幸(編)『ヨーロッパ・ことばと文化―新たな視座から考える』pp1-19. 大阪大学出版会.

ヨーロッパの言葉と文化を考えるにあたって、そのプロローグとして、言語研究のアプローチにおける普遍的側面と個別的側面に関して、認知言語学的観点を中心に分かり易く説明したもの。(索引に戻る)


*** 以上です(索引に戻る) ***