Shi Shuqing  施叔青

(1945-  )


施叔青小伝:

  本名は施淑青、女性作家李昂の姉にあたる。台湾鹿港の人。1945年生まれ。高校生の頃から小説を発表し始める。多くは『現代文学』や『文学季刊』に掲載された。初期の作品は、『拾掇那些日子』『約伯的末裔』に収められている。長篇小説としては『牛鈴聲響』と『玻璃瓦』がある。1976年にはさらに『常滿姨的一天』を発表し、論集『西方人看中国戯劇』を出している。近作の中篇『李梅』は香港の『八方』文芸叢刊第二輯に掲載されている。

 施叔青は台湾淡江文理学院法文系を卒業し、ハーバード大学の卒業生であるアメリカ人学者施中和(Robert Slein)と結婚し、アメリカに移り住んだ。1970年にニューヨーク大学に入学して演劇を専攻し、修士の学位を取得した。台湾に戻ってから、政治大学のスペイン語学科で一年間教鞭をとったが、施中和博士がアメリカ銀行香港支店に勤務になったため、香港に移り住んだ。その後、「香港芸術センター」で働くことになり、芸術部のプログラムの調整・手配を担当した。その後も何度か夫君と台湾を訪れている。

 死、性、狂気が施叔青作品に繰り返し表れる主題である。その主題を表現するために、作者はしばしばヘビ、ムカデ、ネズミ、ヤモリ、コウモリなどを明喩、暗喩、象徴などの手段として用いる。白先勇の言葉を借りれば、「施叔青の小説世界は、彼女の独特のプリズムによって投影された歪んだ、怪異な、夢魔のような世界である。明るい日の下の社会における人倫、道徳、理性といったものは、彼女の世界には存在しないのである。それは正常でない、狭い、分裂病を病んだ世界であるが、その異常性は、ちょうど鹿港の海辺の異常な天候、あの台風、高波ににて、恐ろしいほどの真実性をもっている」のである。

(『台湾与海外华人作家小传福建人民出版社1983.9 )


作品集・単行本

『施叔青集』 

台湾作家全集・短篇小説巻/戦後第二代⑮

前衛出版社 1993.12/280元

ISBN957-8994-47-8
 

邦訳

『ヴィクトリア倶楽部』 

藤井省三/訳

国書刊行会 2002.11.25/本体2400円+税

ISBN4-336-04136-9

作成:青野繁治