Liu E 劉鶚
(1857-1909)


劉鶚小伝:

 劉鉄雲、清末の実業家、甲骨収集家、小説家で、数学、医術、水利工事などの学問に精通していた。名は夢鵬、後に鶚。筆名は洪(鴻)都百錬生、蝶隠などがある。江蘇省丹徒(今の鎮江)の人。官吏の家の次男として六合に生まれた。科挙の受験勉強を嫌い、郷試に落第する。1882年秘密結社的色彩をおびる太谷学派の継承者李竜川に師事した。官位は、候(五等爵、公・候・伯・子・男の第二位)で、府知事の任にあった。官を務めた後、商売を始めた。タバコ業、医者、書局などを経営。黄河治水、鉄道敷設の建議、外国資本との鉱山の開発などの事業に従事するがその多くは失敗する。八国連合軍(1900年、独・日・露・英・米・仏・オーストリア・伊の8ヶ国が義和団事件を鎮圧するために組織して、北京を攻略した軍隊)が中国(清)に対して侵略を行った時、北京で難民救済活動を行う。1903年に『鉄雲蔵亀』を出版。1906年に二度日本を訪れた。1908年に袁世凱の命により逮捕され、1909年に新彊ウイグル自治区ウルムチに死す。『老残遊記』は、太谷学派の思想を色濃く反映している小説。最初『繍像小説』に連載されたが、改竄事件があり中止。1906年頃あらためて初集20巻が『天津日日新聞』に掲載された。二集9巻も同紙に連載されるほか、外編残稿がある。

(樽本照雄『原典で読む図説中国20世紀文学解説と資料』中国文芸研究会編、白帝社)


作品集・単行本.

『老残遊記』胡適評註 -- 太平洋圖書 ,1966
『老残遊記』 人民文学出版社 ,1986

邦訳

『老残遊記』岡崎俊夫訳 -- 平凡社 ,1965
『老残遊記・続集』中国古典文学体系51、岡崎俊夫、飯塚朗、平凡社、1996.6


研究資料

「劉鉄雲研究資料目録」『清末小説研究』、清末小説研究会、第1号1997.10

『老残遊記資料』、魏紹昌編、北京・中華書局、1962.4、(日本・采華書林影印)

『鉄雲先生年譜長編』、劉惠孫、済南・斉魯書社、1982.8

『劉鶚及老残遊記資料』、劉徳隆・朱禧・劉徳平編、四川人民出版社、1985.7

『劉鶚小伝』、劉徳隆・朱禧・劉徳平、天津人民出版社、1987・8


作成:若瘻P満