オンライン現代中国作家辞典

(Huáng)Lúyǐn
(黄)廬隠
(こう・)ろいん
(1899-1935)


廬隠小伝

 福建省出身の女流作家。1916年北京女子師範学校を卒業。その後、北京女子中学、安徽女子師範付属小学校、河南開封女子師範学校で教える。1919年北京女子高等師範学校で学ぶ。1921年に小説を書き始め、同時に文学研究会に参加。その後各地で教鞭をとるが、1926年に北京に戻り、北京女子中学校長、北京師範大学付属中学教員、北京平民教育促進会等の職に就く。華厳書店の創立にも関与する。《華厳月刊》を編集する。1930年の秋に日本に来て同年に帰国。次の年上海工部局女子中学で教える。初期の作品は現実社会の暗い部分に触れ、多くの作品は愛情の縺れを描き、“濁った社会”や“矛盾した人生”を批判している。これは、廬隠自身が、“五四運動”期の封建的な雰囲気に対する怒りの中から覚醒し、資産階級性的な“五四運動”の産物だからであると思われる。彼女の作品の中で“人生の意義を求める”情熱にあふれ、空想的な青年が苦悶し、徘徊するのを見ることができる。また何千年に及ぶ伝統思想に束縛される青年達が“自己発展”を追求する姿も見られる。廬隠の第一短編小説は《海浜故人》であり、これはいわゆる五四の全盛時代に出版された。彼女自身もまた五四運動の中心的存在であり、“社会運動”の熱気を全身で感じていた。彼女は自分以外の広大な社会生活の中に題材を探していた。作品は濃厚な自叙伝的性質を帯び、書簡体や日記体を多く用い、明晰自然、比較的感傷的に書かれている。作品のなかで廬隠は無邪気に彼女の“心”を読者に 見せ、自己の矛盾を隠そうとしていない。

作品集・単行本


『海浜故人』 短編小説集 商務印刷館 ,1925.
『曼麗』 短編小説集 北平文化学社,1927.
『象牙戒指』 長編小説 商務印刷館,1930.
『帰雁』 中編小説 神州国光社,1930.
『雲鴎情書集』 李唯建との共著。神州国光社,1931.

 『霊海潮汐』/短編小説集 開明書店,1931.

『女人的心』中編小説 上海四社出版部,1933.
『廬隠自伝』第一出版社,1934.
『廬隠短編小説集』姚明達編。女子書店,1935.
『東京小品』散文集。1936. 『火焔』/散文。北新書局,1936.
『廬隠選集』徐沈泗、叶忘憂編。万象書店,1936.
『廬隠創作集』少侯編。倣古書店,1936.
『廬隠佳作選』巴雷編。新象書店,1941.

『廬隠』 中国現代作家選集 肖鳳編 三聯書店香港分店, 1983. /港幣15元

『廬隠選集』百花文芸出版社,1983.
『廬隠選集』上下冊。福建人民出版社,1985.

『象牙戒指』 山西人民出版社 1985.7/1-4100冊/1.20元
 『海濱故人』 上海書店 1986.12(商務印書館1926年10月第三版に基づく影印本)
 『女人的心』 花城出版社 1988.4/1-57360冊/2.30元
 『廬隠集外集』 書目文献出版社 1989.5/1-2300冊/6.65元
 『悠悠我心終不悔――廬隠情書心語』栄雪艶・李雪松/編 時代文藝出版社 1992.12/1-10000/3.70元
 

参考書

 『廬隠傳』蕭鳳/著 北京師範大学出版社 1982.2/1-13000/0.40元
 『廬隠 馮沅君 緑漪 凌叔華 作品欣賞』広西教育出版社 1988.7/1-2800/2.80元
 


作成:戸津崎涼子