オンライン現代中国作家辞典

Lù Yáo
路遥
ろよう
(1949-1992)


路遥自伝:


 私は1949年12月3日陜西省清澗県の貧しい農民の家庭に生まれた。7才のとき、家族が多すぎて養うことが出来ず、両親は私を伯父に預けた。が、新しい家庭も貧しい農民の家であることは同じであった。
 1957年から農村の小学校に通い始めた。1961年県立完全小学に合格。1963年には県立の中学に進学した。
 1966年に「文化大革命《が始まってからも学校に残って1969年まで運動に参加した。1969年から農村に戻って労働に従事。この間、山野で働いたり、農村の小学校で教鞭をとったり、県城で色々なアルバイトをしたりした。
 1973年延安大学中国語言文学系に入学。1976年卒業後、『延河』誌の編集を担当し、小説散文チームの責任者をしたこともある。
 1982年中国作家協会会員となり、中国作家協会陜西分会で専業創作を開始、1985年には中国作家協会陜西分会副主席に選ばれる。百万字前後の作品を発表している。

心の真実

 我々はよくいわゆる芸術の魅力つまり我々の作品が何によって人の心を動かすのか、ということを語る。
 私にとってそのような目的を達成するのにもっとも大切なことは、作家が生活に対して、芸術に対して、読者に対して誠実な態度をとらなければならないということである。でなければ、どのような歯の浮くような言葉も斬新な意匠も無駄骨折りである。作品に如何なる虚偽の声があったとしても、それは読者の耳に聞こえるのだと信じて欲しい。無病の呻吟は涙を誘えず、諷刺の薄笑いを得るだけである。プラスチックの花で貧しい庭を飾って自己の繁栄を顕示しようとしても、何もないよりひどい体たらくとなる。そうなのだ。芸術労働という虚構に従事する仕事は、実はもっとも嘘いつわりと相容れないものだったのだ。賛美するにせよ、呪そするにせよ、すべて我々の心の真実(まこと)から出てこなければならないのである。真実。それはつまり我々が永遠に普通の人間の感覚を失わないでいることにほかならない。こうして我々が語るすべてはやっと無数の魂の共鳴を引き起こすことができるのである。                      

(『中国当代作家百人傳』求実出版社1989)


補足:代表作『人生』は呉天明監督によって1984年に映画化された。1992年11月7日に病死。
 

作品集・単行本

『人生』中編小説 中国青年出版社 1982
『当代紀事』中短編小説集 重慶人民出版社 1983
『姐姐的愛情』中短編小説集 中国青年出版社 1985
『路遥小説選』青海人民出版社 1985
『路遥小説吊作選』華夏出版社 1995.6
『平凡的世界』1*3部 長編小説 華夏出版社 1996.10
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『人生』表紙映画『人生』一場面『路遥小説吊作選』表紙『平凡的世界』表紙


作成:青野繁治