Liú Suǒlā
劉索拉
りゅう・さくら
(1955- )



劉索拉小伝:

 1955年北京で生まれる。4才でピアノを習いはじめ、小学校4年生のときに「文化大革命」に遭う。中学校時代は下放され江西省某「五七幹校」にて農業に従事。1年後に帰京しひきつづき中学校に通い、卒業後は父母の圧力のため高校を受けるが失敗し、仕事を割り当てられるすべもなく、故に無職であった。中央五七芸術大学音楽学院作曲科を受験したこともあったが、父母の問題のためこれも採用されなかった。後に某中学の非常勤の音楽教員をし、正規の職員となった後は、配属により北京市少年宮でピアノ伴奏の教員をつとめた。
 1997年の終わりに再び中央音楽学院作曲科を受け入学、中国の著名な作曲家、杜鳴心教授に習う。主要な音楽作品は:ピアノ変奏曲『寒山鐘声』、ピアノソナタ『詩経組曲』、女声曲『山鬼』、及び交響詩『劉志丹』等である。このうち、ピアノソナタ『詩経組曲』の二『黍離』は、中央音楽学院ピアノ学科主催の中国ピアノソナタ作曲コンクールで表彰され、賞を獲得した。
 在学中に、文学雑誌に散文や短編小説を発表しはじめる。
 1983年卒業後は配属により中央民族学院の音楽科教師をつとめる。1985年初の中編小説『君にはほかの選択はない』を発表した後は、国内文学界の注目を集め、中国作家協会北京支部に転属し、創作活動に従事した。
 現在は北京市作協会員であるとともに北京市作協合同制作家でもある。文字による創作以外では、流行音楽の創作も手掛けている。映画や劇のBGMはもちろん、自ら作曲し、歌った流行歌のカセットアルバムが2本リリースされており、さらに自ら歌う“劉索拉歌曲作品コンサート”も行っている。

音楽から来る直感

 私が作家活動をはじめたのは、遊び半分でした。大学卒業後は二度とものを書くつもりはありませんでしたが、何人かの作家の方々と出合い、ある人にやめるなと言われ、賭けのつもりで初の中編小説『君にはほかの選択はない』を書いたのです。この小説を書くにあたって、中国の新しい音楽と新世代の作曲家を文字によって描き、作曲家や作曲とはどんなものであるかを、より多くの人に知らしめようというのが主な意図でした。
 後に書かれた『青い空緑の海』、『キング・オブ・シンガーを求めて』は、流行音楽と民間音楽の感覚を生かしたものです。これらはすべて純粋に音楽から受ける直感によって書かれ、論ずべき創作経験などはありません。しかし、音楽の旋律や構成をもちいて文字を連ねていくというのは非常に興味深いことですので、私も試みにやってきたのですし、ほかの人も試してみるとよいと思うのです。(小川唯訳)

(『中国当代作家百人傳』求実出版社1989)


作品目録


『你別無選擇』1985年3月『人民文学』
『藍天緑海』1985年6月『上海文学』
『尋找歌王』1986年『鍾山』第1期


単行本

『你別無選擇』 文学新星叢書 第一輯 作家出版社 1986.3/1.35元
『行走的劉索拉――兼田青対話及其他』 対談集 帯CD盤 昆侖出版社 2001.1/29.00元
『女贞汤』長篇小説 海峡文艺出版社 2003.1/28.60元

  

邦訳


「滑走路」(跑道)近藤直子/訳 『季刊中国現代小説2』1987.7
「多国籍アパート」(人堆人)西野由希子/訳 『紙の上の月』JICC 1991.10
『君にはほかの選択はない』新谷雅樹訳 新潮社

 

音楽CD

 
Blues In the East 「藍調在東方」 AXIOM 日本フォノグラム発売

 
China Collage 「中国拼貼」 Disc Union


作成:小川唯・青野繁治