オンライン現代中国作家辞典

Dèng Yǒuméi
鄧友梅
とう・ゆうばい
(1931- )


鄧友梅自伝:

 私は、原籍は山東であるが、1931年に天津に生まれた。
 1943年天津で労働者募集の者にだまされて日本へ行き、或る化学工場で苦役をさせられた。1945年に帰国、「新四軍《に参加したが、この頃に独学して、文章を書き始めた。最初の作品は1946年に戦地の出版社の文芸雑誌に発表した。
 1949年新中国成立後、中央文学講習所に入り学習する。
 1955年頃「在懸崖上《を書き、「処女地文学奨《を受賞した。それ以後、「小英子《などたくさんの小説を書いた。
 1957年右派分子と誤認され、それ以来筆をとらず、20年あまり肉体労働に従事した。
 1976年「四人組《粉砕ののち再びペンを執って初めて書いた小説「我們的軍長《は、全国優秀短編小説奨を受賞した。その後「話説陶然亭《「煙壷《などの中編・短編小説を書いている。
 私の作品の題材は大体三つの方面に別れる。1.抗日戦争の生活を反映するもの 2.今の生活を反映するもの 3.ここ百年来の北京の市民生活を反映するものである。近年歓迎されているのは、北京の市民生活を描いた「民俗小説《と呼ばれる部類の作品である。
 私は現在中国作家協会主席団委員、書記処書記である。


創作談――私の追求するもの

 私は真、善、美の統一を追求している。
 小説は先ず最初に、読者に対して審美的享受を提供しなければならない。読者が美的な愉悦の中で、自分の周囲の真実の世界を認識するようにさせなければならない。しかもその認識のなかから自分の魂を浄化し、素晴らしい事業に身を捧げようとする善良な願望を生じさせるのだ。
 真実なものだけが美であり、幻覚ですら真実という土壌の上に根差して花開くのである。真実なものには、善悪の区別があり、読者に善を認識させ、善を追求させること、悪を識別し、悪を捨てるようにさせること、それが私が永遠に放棄することのない責任である。

(『中国当代作家百人傳』求実出版社1989)


作品集・単行本

『鄧友梅短篇小説選』北京出版社 北京文学創作叢書 1981.4
『煙壷』中篇小説集 上海文藝出版社 1985.8/2.75元
『鄧友梅代表作』黄河文藝出版社 中国現当代著吊作家文庫 1987.11/3.50元

  

邦訳作品

「喜多村秀美《永田耕作/訳 『ひなっこ 最新中国短篇小説集』北九州朝陽出版社 1984.3

作成:青野繁治