闕迪偉「郷村行動」


01[整理番号]XY970308

02[作品名]郷村行動

03[作者名]闕迪偉

04[原載]『上海文学』1997年第1期

05[頁]17(pp.79-95)

06[ジャンル]中編小説

07[時代]現在

08[地点]柳鎮上街村(福建省松渓県から車で半日程度の場所?)

09[手法]リアリズム

10[視角]三人称

11[人物]葉光栄(上街村の支部書記),呉三才(柳鎮鎮長,葉光栄のいとこ),熊家四兄弟(権勢をたのんで横暴な振る舞いをしている兄弟,女性を二人誘拐してきている)=老大(村民委員会委員,村の治安保持主任,会計,個人で圧延工場とベアリング工場を開く,以前人身売買をしたことがある),老二(村民委員会委員),老三(村長,村経営の圧延工場とベアリング工場の法人代表,村一番の有力者),老四(老大と工場を経営している,入党を希望している),張小俊(柳鎮書記,熊家とつながっている,県の有力者に関係がある),細嶽(熊三のとなりに住む),大旺(以前,熊四に妻を寝取られた),水根(熊家の不正を黙っていられなかったため,嫌がらせを受けている),狗卵(任侠気質,治安保持主任の仕事を老大にとられる),猫干(ビスケット工場経営),秀鳳(猫干の娘),老七(食堂経営),光彩(家具工場経営),老牛(招待所請負),老沈(派出所所長),小呉(張小俊の運転手),髭面の男,村人たち,細嶽の妻,熊老三の妻,武装した公安,映画館の切符売り,シェパード

12[題材]“横行覇道”,誘拐,監禁,党員,村経営と個人経営の工場,住宅問題,人事,泣き寝入り,くすぶる不満,よそもの,裏切り,水面下の行動,賭け麻雀,街へのあこがれ,電話,へつらい,保身,証拠,拳法,閉ざされた空間である村 携帯電話 党と行政の矛盾 農村における中国共産党組織の脆弱さ あととり問題

13[主題]権力をかさに専横な振る舞いをする一族に対する不満と彼らを倒す計画を描く。

14[言語]標準語 方言(××卵,卵×) 言葉がきたない(下品)

15[描写]会話の描写に細かく段落を変えるもの,読点でくぎるもの,“:”でくぎるもの,文章の中にそのまま存在するものなどがある。人物名と性格の一致(子夜呉〓甫に似た比喩)

16[構成]518段落,12章,一行あけて幾つかに分かれている章あり。第一章(1-35)細嶽,熊老三の家をさぐる。第二章(36-75,76-11)葉光栄と呉三才,熊四兄弟をたおすための具体的方法を相談する。第三章(112-136)二人の女性を誘拐してきた熊兄弟がばれていないかと警戒する。第四章(137-153,154-176,177-206,207-210)葉光栄が熊家突入の中心となる3人に事情を説明し,協力の約束を取り付ける。第五章(211-232)その他の村人もあつまり計画実行の打ち合わせをする。第六章(233-236,237-246,247-279)熊老大の賭け麻雀の現場を狗卵が押さえる。第七章(280-295,296-307)熊老三の家に密告の電話がはいり,老三が女をかくす。第八章(328-356,357-383)秀鳳をなぐさみものにした熊老四が大旺の一行につかまる。第九章(384-418,419-427)葉光栄が熊老三の家に行くが監禁されているはずの女性が見つからず,形勢が不利になる。老二の家の電話線を切ろうとした水根は犬に吠えられみつかってしまう。第十章(428-447)密告電話をかけた細嶽がひげ男とであう。誘拐されてきた女性が自分の家に隠されているのをみつける。第十一章(448-462,463-507)計画が失敗に終わり,葉光栄はつかまるが,呉三才の名を出さない。第十二章(508-510,511-518)熊四兄弟が公安につかまるが,村はまだ解決しなければいけない問題が山積みである。村長代理となった細嶽は葉光栄と仲直りして,彼の力を借りようと考える。

17[問題点]会話でストーリーが展開していく場面が多いが,書き方に統一がなく少しわかりにくい。

18[作者略歴]闕迪偉。1950年生まれ,浙江省麗水碧湖鎮の人。知識青年として下放,肉体労働,編集者などの経験がある。1982年作品の発表を開始する。短編・中編小説数編を書いており,1990-1992年の優秀文学賞,省クラスの刊行物の賞を受ける。現在,浙江省麗水地区文聨委員。

19[その他]タイトルページと途中に挿絵あり。

20[報告者]小林葉麻子