徐坤「小青是一条魚」


01[整理番号]XY970303

02[作品名]小青是一条魚

03[作者名]徐坤

04[原載]『文学世界』1997年第1期

05[頁]4(31−34)

06[ジャンル]短編小説

07[時代]今

08[地点]北京東城地区

09[手法]リアリズム

10[視角]三人称

11[人物]柳鶯(女、30歳過ぎ、社会科学院研究所を辞職し、弁護士となる)  小青(女、20歳前後、弁護士事務所の秘書、仕事にも遊びにも熱心な現代っ子) 小青のディスコ仲間(男女、小青と同世代)

12[題材]先端の都会生活、現代っ子(“新人類")の生態、流行のファッション、ディス コ、アフターファイブや休日の過ごし方、欧米物質文化の流入、世代間ギャップと誤解、 転職、職業訓練を受けた秘書

13[主題]都会の“新人類”の生活を、ひと回り上の世代の視点から描き、そのリラック スした楽天的な生き方への共感に至る。

14[言語]標準語。北京方言(自己个儿)、広東語(写字楼、的士)、新語?(“白本")、 英語(RAP、FUCK YOU!)等あり。

15[描写]ファッションの描写が詳しい。歌手、作家等実在の人名や実際の商標名多数。 三人称の形をとってはいるが、柳鶯が語っているような描写。

16[構成]32段落。章立て無し。1−5:北京東城地区の先端的都会生活。職業訓練を受 けた若い秘書達の実態と日常。6−11:週末、流行のファッションでディスコに向かう 小青を、弁護士事務所で残業の柳鶯はあきれながら見送る。12−18:柳鶯は仕事もよく やる“新人類”の小青に好感を持っているが、その現代っ子ぶりに世代の差を感じる。 19−24:小青に誘われディスコに足を踏み入れた柳鶯は、大音響と熱気に圧倒されなが らも、隅の方で無器用に踊る。小青と仲間達は生き生きと踊り、激しさを増していく。 25−28:柳鶯は踊りながら“FUCK YOU!”を連呼する小青達に驚くが、人畜無害のスト レス発散法だと納得する。29−32:帰りのタクシーに同乗する柳鶯と小青。ディスコで 活力がよみがえった柳鶯は、若者文化に対するそれまでの誤解に気づき、小青の自然な 生き方から学ぶべきものを感じる。

17[問題点]流行の先端を細かく描写し、「今」を生き生きと描いているだけに、古くさ い作品になるのも早い。終わり方が教訓的なのを除けば、爽やかな読後感。プロットの 展開に矛盾あり。(時間が前後する。)

18[作者略歴]徐坤、女、1965年生まれ。1989年遼寧大学中文系卒業、文学修士。1992年 小説創作を開始。発表した小説、随筆多数、『泰戈爾詩歌的意象』を翻訳出版している。 本誌では、中編小説『白話』、『瀋陽 a、瀋陽』、短編小説『鳥糞』、『遭遇愛情』、 『狗日的足球』等を紹介した。現在、中国社会科学院文学研究所勤務。

19[その他]タイトルの上に写真あり。

20[報告者]島田順子