何申「郷間往事六題」


01[整理番号]XY970106

02[作品名]郷間往事六題

03[作者名]何申

04[原載]『当代人』1996年第10期

05[頁]6 (pp.81-86)

06[ジャンル]短編小説 (オムニバス・新筆記小説)

07[時代]1969年〜1974年

08[地点]河北から東北部のある農村

09[手法]リアリズム(エッセイ風回想記?)

10[視角]一人称

11[人物]私(下放してきた知青・何姓) 村人達 知青の仲間達(私と共に住んでいる“誌育”、その他) 生産隊隊長(とその妻) 生産隊幹部 人民公社幹部

12[題材]農村の食生活 食料不足 粥の配分 羊 食用としての犬 鶏 卵 泥棒猫 小麦粉の餅 農民と都会から下放されてきた若者の「食」に対する感覚の対比 男女の差別 電話会議 殺生を嫌う農民たち

13[主題]6つの「食」に関するテーマを通して下放先の農村生活をふりかえる。

14[言語]標準語 方言(河北・東北)ロ舎、ロ乍、●、折/足etc.

15[描写]下放中に体験した「食」に関する思い出を「私」の視点から描く
各章にタイトル 会話に引用符号のあるものと無いものが併存

16[構成]29段落。六章。1-6「喝粥」:農村の主食である「薄い粥」について。知青達は米をたっぷり使った粥を作って食べようとするが、鍋のなかにランプをひっくり返してしまう。7-11「勒狗」:冬場に犬をしめて食べる。犬を食べる事に反対していた生産隊幹部もおいしく味付けしたものを食べてからは何も言わなくなった。12-17「吃羊」:年に一度の羊をつぶして食べる日。秋の収穫後のお祭の様なもので、朝から皆そわそわしている。18-22「殺鶏」:卵をとろうと何羽かの鶏を飼うがどんどん減っていく。最後に残った一羽をつかまえようとすると何と飛んだ。十五年も生きた鶏を食べようとしたり、毒入りの穀物を食べて死んだ鶏を食べたりする。23-25「斗猫」:天津から持ってきた海産物をねらってやってくる猫をやっつける。26-29「打餅」:人民公社で放送を担当することになった「私」は“白面餅”を何日かに一度食べられるようになり、喜んでいたが、ある日、首になり“白面餅”ともおわかれとなってしまう。

17[問題点]犬を処理する場面がしつこい。第25段落があまりにも長い。

18[作者略歴]何申、本名採佶附、男、1951年天津生まれ。1982年から作品を発表する。長編小説『梨花湾的女人』、中編小説『七品県令和弁公室主任』『村民組長』『窮県』『窮郷』『信訪弁主任』,短編小説『郷幹部老泰』等がある。現在、承徳日報に勤める。

19[その他]p.1全体が挿絵。(引き臼の上に板をのせたものの上に食器らしき物。かたわらに猫。)

20[報告者]小林葉麻子