範小青「失踪」


01[整理番号]XY970102
02[作品名] 失踪
03[作者名] 範小青
04[原載] 『啄木鳥』1996年第 5期
05[頁] 26〜32(7)
06[ジャンル] 短編小説
07[時代] 現在
08[地点] ある都市
09[手法] 基本的枠組みはリアリズム+モダンな手法(恣意的な句読点)
10[視角] 三人称 (全知ではない)
11[人物] 楊雪花(女、40歳、共働き家庭の主婦、突然「失踪」する) 楊雪花の夫(妻の「失踪」に慌て、李暁娟の夫と協力して妻を探す) 楊雪花の息子(中学生) 李暁娟(女、40歳、楊雪花と気の合う同僚、楊雪花と共に「失踪」) 李暁娟の夫〔大馬〕(大ざっぱな性格、楊雪花の夫と協力) 李暁娟の娘(小学生) 警官(楊雪花・李暁娟の行方を探すのに積極的に協力する)警官の妻、田舎町の旅館の従業員、楊雪花・李暁娟の職場の上司、イタズラ電話の主
12[題材] 失踪、公衆電話、家庭に引かれた電話、警察への失踪届けとそこでの捜査、テレビを使った情報収集、尋ね人の広告、テロップ放送、羊毛シャツの市場、半日休暇、ポケベル、ヒッチハイク、イタズラ電話、日常性と非日常性、夫の妻への無関心
13[主題] ごく普通の家庭の妻の「失踪」を通して、普段当たり前として無意識に受け入れている日常性の不思議さ、もろさ、不確実さ、曖昧さをユーモラスに描く。
14[言語] 標準語、一部方言(p26 右 -4 gouqiang/ p28 幢)
15[描写] 全文を通じて、疑問詞が入る以外は全て句点が入るべきところに読点が入っている。各段落の最後にのみ句点が入る。
16[構成] 42段落。 (1)〜(5) 失踪前の楊雪花、李暁娟両家のいつもと変わらぬ朝の風景。 (6)〜(18)妻が帰らず、だんだん落ちつきを失う二人の夫。電話を求めて外へ出た楊雪花の夫は李暁娟のことを思い出し、息子と李家を訪ねる。李暁娟の夫と手掛かりを探すが見つからず、警察に届け出る。(19)〜(26)テレビのテロップで尋ね人のニュースを流してもらう。それに対する人々の反応。電話のある李家で二人の夫は待機。警官がボランティアで付き合ってくれる。(27)〜(35)近郊の田舎町にある旅館からの情報。判断材料となる髪留めに覚えがなく、妻と特定できない。警官のポケベルに警官の妻からの連絡入る。(36)〜(38)李暁娟が帰宅し、これまでの経緯を説明。夫の証言とは全く違う姿。(39)〜(42)楊家へも楊雪花が帰宅。これも夫の記憶とは全く違う姿。そして再び日常が繰り返されようとする。
17[問題点] 妻たちの大胆な行動の動機が曖昧。妻の姿を全く覚えていない夫という設定はリアリティに欠ける。主人公である夫たちに名前がない。
18[作者略歴] 範小青、女、1955年生まれ。1974年高校卒業後農村へ入り、1977年江蘇師院に入学して卒業した後そこで教師をつとめた。1980年から作品の発表を始め、長編小説『kudang巷風流記』及び中編、短編小説が多数ある。現在は江蘇省作家協会所属の作家で中国作家協会の会員。本誌では『文火wei 肥羊』『牽手』『人物関係』『平安堂』等、以前にも彼女の作品を紹介している。
19[その他]
20[報告者] 西辻真弓(97/05/14)