黄国栄「履帯」


01[整理番号]XY970101
02[題目]履帯
03[作者]黄国栄
04[原載]『芙蓉』(湖南省)1996年第六期
05[頁]5〜24(20)
06[ジャンル]中編小説
07[時代]80〜90年代(95年の可能性あり)
08[地点]北方(細かいことは不明)
09[手法]リアリズム、典型人物像、間接話法と直接話法の使い分け
10[視角]三人称全知
11[人物]関天慶…男、主人公、戦車部隊、「神砲手」と言われる、戦友思い
紀樹義…関天慶の上司、自分の職責が大切
小彭・小甘…関天慶の部下
夏雪…関天慶の恋人、町の文化センターで働く
阮明亮…こっそり受験勉強、後に軍区陸校に合格
葛小柳…操縦士、おとなしい
林海…バスケットをするのが好きで、軍隊戦術で関に負けて以来兄貴と慕う
洪永法…林海と喧嘩をする
12[題材]軍隊生活、人間関係、戦車部隊、実弾射撃訓練、恋愛、出世、キャタピラ、バスケットボール、できものの手術、列車事故
13[主題]軍隊生活を中心にした青春、理想人物を中心にした世界
14[言語]標準語、軍隊用語、太面条や郎当などの特殊表現あり
15[描写]関を中心に五年間の軍隊生活を描いている。
16[構成]全572段落、十七章立て
  第1章(1)〜(70)戦車部隊の実弾射撃訓練演習の日。初めて小隊長車の砲長となった関は上司の紀を無視して射撃訓練を遂行、部下のミスはあったものの、訓練は成功。関は絶賛される。
  第2章(71)〜(93)関と紀の反省会の開催をめぐる対立。関は紀の態度に不満をおぼえる。
  第3章(94)〜(121)恋人夏雪からの愛情あふれる手紙。古参兵の間の決まり(皆の楽しみのための)で皆の前で読まされる。
  第4章(122)〜(160)上部から五ヶ月間の訓練隊の班長に派遣される。関は厳しく訓練をするが、その間に受験の機会を逸する。
  第5章(161)〜(174)夜間研修で部下のミスが原因で審査の失敗してしまい、部下との間が気まずいものとなる。
  第6章(175)〜(194)帰省予定が、演習によって中止される。
  第7章(195)〜(214)隊の厄介者の林海を自ら特訓。
  第8章(215)〜(228)夏雪からのはげましの手紙を受けとる関。
  第9章(229)〜(283)洪永法と林海の喧嘩。関と林の決闘の末、義兄弟となる。
  第10章(284)〜(309)決闘のことで紀は関をしかるが、逆に手玉に取られる。
  第11章(310)〜(345)落ちこぼれの阮明亮に戦車で一番大切なのはキャタピラだと言い、暗に人間関係の道理を説く。
  第12章(346)〜(380)戦車兵に不向きな阮に通信員への道をすすめる。
  第13章(381)〜(407)軍のバスケット大会中に関はできものが悪化して病院へ運ばれる。
  第14章(408)〜(451)手術の後に夏雪がやってくる。医者は今までこんなに強固な戦士を見たことがないと絶賛する。
  第15章(452)〜(479)退院後、紀に車長はせず、砲手をやると主張する。
  第16章(480)〜(513)演習では困難な道のりにも負けず、関の努力で成功をおさめる。
  第17章(514)〜(572)結局関は紀と理解し合えないまま戦車隊から離れて行く。親戚訪問の後は復員の予定。
17[問題点]理想化された人物像、軍隊の仕組みがよく分からないので地位の差が分かりづらい、ストーリー展開が強引
18[作者略歴]黄国栄、男、1947年、江蘇省宣興出身、1968年に入隊。現在人民解放軍文芸出版社に就任。1978年に文学活動を開始。著作に長編小説『兵謡』、小説集『藍色的夢』などがある。作品は何度か賞を取っている。『小説月報』で他に『ganga人』、『信任』などがある。中国作家協会会員。
19[その他]97年一月号の『小説月報』25頁に創作談あり
20[報告者]島由子 神谷宏明