XX881205

範小青『瑞雲』


01[整理番号]XX881205

02[作品名]瑞雲

03[作者名]範小青

04[原載]『文芸報』1988年9月10日

05[頁]75-82(8)

06[ジャンル]短編小説

07[時代]改革開放政策以後

08[地点]太湖畔の町

09[手法]リアリズム

10[視角]三人称

11[人物]瑞雲おばさん(以前は吃素おばさんと呼ばれていた。瑞雲を拾って

     育てている。大きな家の未亡人)

    瑞雲(足の不自由な捨て子、不思議な力がある。裁縫店を経営)

    王老先生(劉敏芬の姑)

    劉敏芬(王老先生と瑞雲おばさんとが親戚関係、彼の一家は瑞雲

     おばさんの敷地に無賃で住み込んでいる)

    劉敏芬の子供たち(男子の高級中学生と2人の女の子)

    翁美華(瑞雲の店の見習い、ずるがしこく、大胆。瑞雲と容貌が

     似ている)

    田舎の婦人(瑞雲を捨てた母親だと言って瑞雲を引き取ろうとする)

    陳光(貧しい農民で兄弟たちの広い家を必要としている。劉敏芬の

     紹介で瑞雲の見習いになる)

12[題材]仏教、不思議な石、文物、捨て子、身体障害、幽霊、戸籍、住宅、娼婦

13[主題]不思議な包容力をもった足の悪い少女瑞雲をめぐる人間模様

14[言語]標準語(ほんのわずかだが方言あり)

15[描写]人物描写が詳しい。

16[構成]5章立。

    (1)瑞雲石とは太湖石のことで、吃素おばさんが、それを庭にもって来

     てからは、彼女は瑞雲おばさんと呼ばれる。両足がふぞろいで捨てら

     れていた瑞雲を拾って育てた。結婚したが夫はその2年後に死亡し、

     大きな家の主人となった。彼女には子供はなく、一人暮らしで幽霊さ

     わぎもあり、仏道に帰依するようになる。いたずらな子供らが太湖石

     にわるさをするが、夜やってきたとき、幽霊の姿を見て以後近づかな

     くなった。

    (2)瑞雲は邸宅の前に裁縫店をもった。彼女は確かな腕を持ち、店で夜遅

     くまで働くこともあった。ある日の夜、彼女が瑞雲石と話をしている

     のを見た劉敏芬は彼女にそのことを尋ねた。彼女は「石に外は雨風が

     あるから家の中にはいれ」と話していたと答えた。王老先生は彼の父

     が娼妓に生ませた子であったため王家のただ一人の跡継ぎではあるが

     複雑な心境をかかえてよく癇癪を爆発させたが、瑞雲がいると心がや

     わらいだ。

    (3)歴史書に記載されていた瑞雲石は市の重点文物に指定され、人が見学

     に来るようになる。瑞雲は忙しいので村の娘翁美華を徒弟として雇う。

     ある日、瑞雲の実の親を名乗る婦人がやってくるが、おばさんは、証拠

     のあざが右の肩にあったと言って追い返す。翁美華はふと針で指をさし

     た傷が化膿し病気になる。癒えてのち農村に帰る。

    (4)嘘をついたがあの婦人は偽物だと言い訳するおばさんを瑞雲は責めない。

     おばさんの気持ちを汲んで劉敏芬は陳光という男を瑞雲の徒弟に紹介した。

     陳光は性格が粗暴で劉敏芬の息子の中学生が陳光はペテン師だと嘘を言っ

     て忠告する。やがて2人は愛しあう姿が見られたが、自分の考えを見抜い

     ていたが、偽りの愛情に答えようとする瑞雲の気持ちを知り、結婚証明を

     もらいに行く日に陳光は姿を消した。

    (5)家に水道管を通す工事の手荒さから瑞雲石の位置がゆがみ、その足元にで

     きた穴にイタチが住みついた。イタチの放ったガスの臭いが家に充満し、

     そのためおばさんも病に倒れる。文物管理所が瑞雲石を運んでいってしま

     った月の夜、瑞雲おばさんも天に召された。翁美華はホテルの従業員とな

     り、町の戸籍を得る。陳光は魚やエビの取り引きをバイクでやって、大金

     持ちになり、美人の妻をもらう。王老先生は瑞雲が自分の母親に似ている

     と言い出す。皆は彼が惚けたと思う。

17[問題点]

18[作者略歴]範小青、女、江蘇の人、江蘇師範大学中文科卒業。同校にて教鞭を執っ

    た後、現在蘇州市文聯所属の専業作家。

19[その他]なし

20[報告者]不破俊子


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