01整理番号XX850605
02作品名老人的黒帽子
03作者名劉霆燕
04原載「東方少年」1985年第3期
0558~63頁(6頁)
06ジャンル短編小説
07時間現在 秋、5年前
08地点病室、橋の上
09手法リアリズム、一部意識の流れ(私、老人)
10語り一人称
11人物
肝炎を患い入院している。40才。男。
老人末期患者。身寄りのない孤独な老人。
男の子10才くらい。孤独な少年。
三輪車の男 
通行人 
四人の男の子 
病院の職員 
医者 
看護婦 
12題材心の交流、人間の尊厳、生と死、孤独、黒い帽子、少年先鋒隊の赤いスカーフ
13主題孤独な老人と少年の心の交流を通じて、人を愛すること、人に必要とされることが人間が生きていくうえでいかに大切であるかを描く。
14言語普通語
15描写会話文が多い、意識の流れ的手法
16構成
  章立てなしだが、一行空けることで章に分かれている。10章 150段落
1章1~22私は肝炎を患い、入院する。夜半、私の病室に末期患者の老人が送り込まれてくる。夜明け前に老人は私に頼み事をする。その頼み事とは早朝、老人の黒い帽子を持って、橋の上で老人の代わりに男の子に挨拶するということだった。
2章23~42老人に催促されて私は出かけていく。橋のたもとでは男の子が不安げな表情で待っていた。私が老人の伝言を伝えるととたんに明るい顔になる。私も気分が良くなり、老人と男の子の関係に関心を持つ。
3章43~52病室に戻ると、老人が待ちかまえていた。私から様子を聞くと涙を流して感謝する。そして、5年前の出来事を語り始める。
4章53~745年前、工場を退職した老人は、身寄りもなく孤独な日々を過ごし、だれかに必要とされたいという思いにかられていた。ある日、公園に行く途中の橋の下で孤独な男の子に出会う。声をかけると、男の子は驚いて走り去った。
5章76~107翌日、老人は橋の上でからの大きい男の子にいじめられている男の子を見かけ、助けてやる。老人は男の子に毎日学校へ送らせてほしいと申し出、男の子は喜んで申し出を受ける。老人はうれし涙を流し、男の子を抱きしめる。
6章 108~119 老人と男の子は毎朝、会うようになり、男の子の表情は明るくなっていく。老人は心が安らぐが、身体がしだいに衰えていき、橋を登れなくなり、橋のたもとで挨拶を交わすようになった。朝の挨拶は二人にとってなくてはならないものとなる。ある日、男の子は老人に少年先鋒隊に入ったことを告げる。
7章 120~125 老人は私に男の子と出会ってから生きる気力が出てきたと告げる。老人は死を予感しており、自分の死後、男の子が不憫でならないと言い、私は言葉がなくなる。
8章 126~135 老人の話を聞いて私は眠れなくなる。朝になり、老人は窓辺に立ち、遠くの橋の上に男の子の姿を見かけ、帽子を振って合図し、男の子も先鋒隊の赤いスカーフを振って返事する。私は老人と男の子の心の交流に感動する。
9章 136~144 老人と男の子は毎朝、合図を送って挨拶しあうが、ほどなく老人は亡くなる。老人は死ぬまで帽子を放さなかった。私は帽子を引き取る。
10章 145~150 老人が亡くなった後、私は夜明け前から男の子を待ち続け、男の子に向かって帽子を振る。男の子もスカーフを振り返す。私は感動し、涙がこみ上げてくる。
17問題点黒い帽子に象徴されるものは。少年先鋒隊に入るのは希なことか。
18作者略歴劉霆燕。男。1955年生まれ。北京人。朝陽中学卒業後、農村に下放。朝陽区教育局で働き、後に「中国少年報」に採用され、文芸部の編集を担当。現在有声読物出版社に勤務。1970年代末から執筆を開始。
19その他原掲が「東方少年」だが、もともと少年少女向けの小説か。
20報告者北田 朗子  1996.12.9