趙本夫「絶唱」


[01整理番号]XX850503

[02作品名]絶唱

[03作者名]趙本夫

[04原載]現代作家』1985年第3期

[05頁]12〜19(8頁)

[06ジャンル]短編小説

[07時代]解放前(1930年代?)〜文革時期〜文革後

[08地点]徐州付近(黄河故道)−−徐州から東へ約100KM

[09手法]リアリズム、一部象徴的表現

[10視覚]三人称

[11人物]・尚爺:男、70余歳。竹園の主人。若い頃から芝居好きの風流人。妻以外に2人の妾をもつ。関十三と義兄弟の契りを結ぶ。・関山(十三):男、豫劇の役者。尚爺より5歳若く、義理の弟分となる。・尚爺の妻・尚爺の妾:尚爺がもと勤めていた地主の小間使いをしていたが、尚爺に見初められて、妾となった。・豫劇の女優:尚爺に連れられて劇団を飛び出し、妻や妾たちと同居。文革後、正妻と一人目の妾が亡くなってからは、尚爺の正妻となる。

[12題材]伝統劇(豫劇)の俳優、文革、役者生命、風雅(芝居と養鳥)、「養鳥」の習慣、解放以前の一夫多妻と解放後の婚姻制度、コウテンシ、コジュケイ

[13主題]風雅の道に賭けた男の友情と、絶唱して果てた雲雀に仮託したひとりの役者の人生の悲哀を描く。

[14言語]普通話、養鳥用語

[15描写]70余歳の尚爺の描写に始まり、時間を追ってストーリーを展開させた後、尚爺の死で結末を迎える。コウテンシと家宝の刀を象徴的な小道具として使用。

[16構成]章立てなし。69段落(1)-(23)妻・妾と暮らす尚爺は、村にやってきた豫劇の劇団にいれこみ、その中の女優を連れて逃げるが、途中まで追ってきた役者関山の意気に惚れ、義兄弟の契りを結ぶ。尚爺は持っていたコウテンシを、関山は家宝の刀を、互いに相手に渡して別れる。(24)-(27)10年後関山は、役者関十三として名をあげるようになった。黄河故道一帯での公演には、尚爺は必ず足を運び、関十三のボデイガード役を務めた。 (28)-(34)解放後、関十三の劇団は河南の大都市の劇団となり、業務団長となった関十三は、尚爺と会う機会も減った。やがて最初のコウテンシは年をとり、2番目に贈られたコウテンシも文革中に殺されてしまった。文革中の10年間芝居ができなかった関山は、劇団に復帰してからも舞台で声が出せなくなってしまった。尚爺は3羽目のコウテンシを贈って関十三を励ますが、やがて引退した2人は、尚爺の竹園で一緒に暮らすことにした。(37)-(63)二人の努力の甲斐あって、3羽目のコウテンシは14種の鳥の鳴き真似ができるようになった。初秋のある日、竹園にコジュケイが飛んできた。コジュケイの鳴き声を覚えようと必死になるコウテンシとそれを懸命に見守る2人の老人。ついに雲雀はコジュケイの鳴きまねをすることに成功するが、力を出し尽くし、「絶唱」して命果てる。(64)-(69)やがて1ヶ月後、関十三は世を去り、葬儀の後尚爺も後を追って自殺した。

[18作者略歴]趙本夫、男、1947年江蘇省豊県に生まれる。1967年高校卒業後帰郷し、農業に携わる。1971年より、前後して県の通信組、宣伝部、放送局でニュースの仕事を担当。1981年処女作『売驢』を発表し、同年全国優秀短編小説賞受賞。以後、『狐山択偶記』など中・短編小説10余編を次々と発表している。

[19その他]なし

[20報告者名]岡田幸子(1996・5・20)