02[作品名]普通老百姓
03[作者名]遅松年
04[原載]『鴨緑江』1981年第二期
05[頁]6〜16(11)
06[ジャンル]短編小説
07[時代]1980年夏頃
08[地点]ある都市(大黒山・大青山牧場などの固有名詞有り。)
09[手法]リアリズム
10[視角]三人称
11[人物]呉楓(男、60数歳、副専員、3年前脳血栓を患い、かろうじて一命を
とりとめる。現在、脚・言語に障害を残す。)、
馬文富(男、辧公室主任、47歳、呉楓の元で長年働く。呉楓の良き理
解者。)
孫局長、
李軍書記(男、60歳位)、
王専員、
趙主任(女)、
周場長(男、40数歳、大青山牧場の長)
12[題材]抗日から内戦へと続く革命戦争 文化大革命 四人組 共産党地区委員会指
導幹部の高齢化問題 高齢者幹部の引退問題(中青年幹部の登用問題)共産
党幹部の有する特権(老百姓との格差)
13[主題]過去の革命戦争の栄光に生きる一人の老共産党幹部の生き方を通して、権力
への執着、彼を取り巻く人々の思い、党組織のあり方、老いがもたらす現実
的な問題などを問う。
14[言語]普通話
15[描写]人物の行動・心理を詳細に描写。数カ所情景描写有り。
(pp12左倒頁8L「星」、pp15右倒頁5L「夕焼け」)
16[構成]5章立て (一)呉楓・馬文富の人物紹介 老幹部の呉楓は三案平反工作会議出席を無
視され、怒る。
(二)会議に強引に出席した呉楓は、自分の述べた意見を印刷にまわすよう
に指示するが、馬文富によってそれは没にされてしまう。
(三)原稿を没にされ、怒る呉楓を訪ねた馬文富は、彼に単刀直入に退職を
勧告する。
(四)党拡大会議の席上、同年代の幹部の勇退を目の当たりにした呉楓は、
ひどい頭痛を訴え、午後、妻の制止も聞かず、自ら一般庶民として医院
に出かける。
(五)呉楓は老幹部の身分としての最後の旅行に馬文富と共に出かける。か
つて自身が開拓した大青山牧場を訪れた彼は、ここを人生最後の土地と
定め、移住を決意する。帰郷した彼は深夜、退職届をしたためる。
17[問題点]政治的用語を多用(三案平反工作、八字憲法=水肥土種密保工管、など)
のため少々読みづらい。党幹部の有する特権に対する疑問。党幹部職への執
着と、引退がもたらすことの重大さ。
18[作者略歴]遅松年、男、43歳、山東(テヘン夜)県の出身。1959年遼寧大学中文科卒業後、
地区の文教局に勤務。57年より作品を発表し始める。現在、遼寧省朝陽地区文
聯副秘書長、作協遼寧分会創作委員会委員。
19[その他]特になし
20[報告者]笹川恵美子