朱定「青女港仔[石並]車記」


01[整理番号]XX810108

02[作品名]青女港仔[石並]車記

03[作者名]朱定

04[原載]新疆文学1980年第11期

05[頁]50頁-57頁(8頁)

06[ジャンル]短編小説

07[時代]1980年代初

08[地点]新疆のある国営農場を中心とする。

09[手法]風刺的描写、講談の語り。どたばた喜劇風。

10[視角]三人称

11[人物] 蘇柵柵(女性、20歳。新疆生まれ、新疆に育つ。そのため大都会を全く知らない。農場の業余演出隊の歌手で、すばらしい歌唱力を持つ。高校を卒業しているが、文革中であったため学力・知識は薄い。)麦保爾(男性、26歳。生まれは広東、現在家族全員香港に居住。大学卒業後、貿易会社に就職。仕事その他の関係上、海外渡航歴も多く、アメリカ・ヨ−ロッパ・日本などを観光している。今回は外国の技術指導者に同行して通訳の任にあたっている。)その他、国営農場長、外国人技術者、病院の医師・看護人。

12[題材]大都市=香港、辺境の地=新疆、大都会の文明、辺境の文明

13[主題]二人の若い男女の異質の文明への憧れ、およびその衝突を風刺的に描く。

14[言語]普通話、広東語、(一部英語)、文言文(手紙で使用)

15[描写]プロロ−グを講談の語り調子で始め、面白さを強調。題名を内容の伏線となるよう意図する。比喩表現や擬声語・擬態語を使用し効果を図る。大都会と辺境の文明の差を、外国人の登場や英語なども交えて、面白く描写し、悲劇的なエピロ−グ(怪我、入院など)へと導く。

16[構成]章立てなし、102段構成(1)講談語りのプロロ−グ。(2)〜(6)主人公二人の紹介。二人が出会うきっかけ。(7)〜(38)麦保爾の部屋で香港の大都会の文明に触れ、唖然とする蘇柵柵。(39)〜(58)部屋でひとり将来の設計をする麦保爾。(59)〜(74)麦保爾は、中国の労働者風に、蘇柵柵は香港のモダンガ−ルに変身する。(75)〜(82)お互い相手にラブレタ−を書き、本格的な恋愛作戦に入る。しかしお互いの相手に対する想いは、打算的でもあり、また全く方向が逆である。(83)〜(97)農場の春の耕作作業終了の宴会が開催され、香港のモダンガ−ルの装いでプログラムに出場した蘇柵柵を、観客は驚きの目で見る。彼女はハイヒ−ルのかがとが折れ、舞台下の麦保爾のもとへ転落し、二人々に負傷する。二人が携えていたラブレタ−は、病院の看護人によってそれぞれ相手に届けられる。(98)〜(102)蘇柵柵の手紙を読んだ麦保爾はその内容に怒り、彼女のもとにあるはずの自分の手紙を取り返すべく病院に急ぎ、それを引き裂いてしまう。病院の人達はそんな二人をあざ笑う。

17[問題点]特になし

18[作者略歴]朱定(男性)、52歳、上海の人、現在、新疆石河子市文化館の創作員。50年代より業余作家として創作を開始し、《人民文学》、《解放軍文芸》などに『関連長』、『工程師講的故事』などの短編小説を発表する。

19[その他]中国における風刺小説の題材にはどんなものがあるのか。

20[報告者]笹川恵美子