01[整理番号]XX800107
02[作品名]深沈的記憶
03[作者名]張歩真
04[原載]洞庭湖1980.1
05[頁]55-61(6)
06[ジャンル]短編小説
07[時代]文革期(1970年)
08[地点]連雲山地区
09[手法]周恩来神話?ロマン主義?ヒーロー物語(三突出)
10[視角]3人称
11[人物]于光傑(70歳くらいになる、数々の戦歴を持つ老将軍)朱振山(農民)裘政治委員(1950年に軍に参加)
12[題材](文革モノ)、幹部批判、軍人
13[主題]国のためを思って働く人々のことを思いやらずに、何が革命か!?
14[言語]標準
15[描写]回想
16[構成]1.于光傑将軍は、文革で不遇をかこって、山間地区にやってきたが、純朴な農民たちは、将軍を英雄として尊敬している。2.ある日、彼のもとに、朱振山と名乗る老農民が訪ねてくる。朱は解放戦争時に、赤軍が「借りた」食料を、返してほしいと言う。朱は地主の穀物を勝手に赤軍に渡したことで暴行を受け、18歳になったばかりの妹をカタにとられた。その妹は地主に陵辱されて自殺していた。解放後、朱は「貸した」穀物の見返りを求めようとしなかったが、働き手の一人息子は爆死して、ずっと貧困の中に生活してきた。朱は、病気の妻の「肉のスープを食べたい」という願いを叶えるために、恥を忍んで将軍を訪ねてきたのだった。穀物を「借りた」時、将軍は省ソビエト政府の、食料徴発を担当していた。3.朱の話を聞いて、将軍はグズグズして、なかなか食料徴発に応じなかった農民のことや、長征の時に押しつけるように、食料を持ってきたチベット女性のことを思い出していた。あの山のような食料があればこそ、日本軍や蒋介石の軍隊を打ち破ることができた。だが、その農民たちはどうしたろうか。彼らのことを少しでも思いやっただろうか。将軍は気持ちが落ちつかなくなり、ついには朱の申し出を受けて、食料返済を約束する。4.朱は裘政治委員のもとへ掛け合いに行き、「朱を救済する」ことを約束させる。だが、実際はいくばくかの援助金を与えただけで、「証文を持ち出して、国から借金をとりたてるようなマネをする」のは思想に問題がある、と生産大隊に教育を命ずる。そのため、朱はつるし上げを食らう。5.事実を知った将軍は大いに怒り、「朱が借金取り立てのようなマネをするのはもとはと言えば、共産党員の称号を持った連中が、好き勝手に農民から奪ったためだ」「また侵略戦争が起こった時、朱振山ははたしてまた食料を貸してくれるだろうか」と裘をなじる。6.将軍は「この借用書を周総理のもとへ送って革命歴史博物館に展示してもらう」「朱の食料は自分が返済する」と言う。周総理まで持ち出してきたためか、裘政治委員も折れて、朱の穀物を返すことに同意する。朱の一件を通じて、将軍は昔食料を提供してくれた一人一人を思い出し、心に刀でえぐられたような痛みを感じるのだった。
17[問題点]将軍は、老人の姿をした紅衛兵である。手法の三突出は、将軍が自分の行いについて自責の念にかられている点から、必ずしも適当でない。
18[作者略歴]男、42歳、湖南省韶山出身。平江県連雲山地区で長く仕事していた。1960年から作品を発表している。短編小説集「追花奪蜜」がある。
19[その他]確か、三突出ばりばりの小説を書いていたような気がするが・・・
20[報告者]田辺鉄