01[整理番号]XX800103
02[作品名]海的夢(海の夢)
03[作者名]王蒙
04[原載]上海文学1980.6
05[頁]28-34(7)
06[ジャンル]短編小説
07[時代]文革後
08[地点]有名な海辺の療養地
09[手法]意識の流れ?
10[視角]三人称
11[人物]繆可言(52歳。外国文学の研究と紹介に半生を捧げてきた翻訳家。海外渡航歴なし。独身。上部からの指示で海辺の療養所にやってくる。文革中、スパイ容疑等でつかまり、監房に入れられ、青春時代を台無しにされてしまった。)
12[題材]文革で批判を受けた後、復活した知識人と文革後の時代状況を描く。
13[主題]文革によって人生の最もよい時期を奪われた男が、長い間胸に思い描き続けてきた海を見ることによって、人間性を回復するに至る。
14[言語]普通話。外国文学の作品名、作家名が多い。(例)ゴーリキ、アンデルセン、グリム、ワイルド、プーシキン
15[描写]色彩表現が豊富。(例)P31右側3段落目/海をめぐっての情景描写が随所に見られる。(例)P29左側 P30左上 P31左下ー右側
16[構成]章立てなし(梗概)52歳の翻訳家繆可言は、一人で海辺の療養所にやって来た。長年の間、海に憧れ続け、ついに大海原を目の当たりにした彼は、特別な感慨をもって海を眺める。文革によって青春を奪われ、結婚の時機をも逸してしまった彼は、5日間の滞在中、海水浴を楽しみ、傷ついた心が癒されてゆくのを感じる一方、体力の衰えなどから、自分がもう若くはないことを痛感する。花があふれ、おいしい食事に恵まれた療養所での生活に欠けているもの――不幸にして亡くなった戦友や自分の青春の志を呼び戻すことはできないことを彼は感じ始め、予定を早めて帰る決意をする。海に別れを告げに行った夜のこと、彼は海に向って大声で叫び、近くにいた若い男女を驚かせてしまうが、それをきっかけにして、愛情や青春、自由などというものは、永遠になくなりはしないと悟る。一度は海への憧れを捨てかけた彼であるが、再び海に対する憧れの気持ち(人生への希望)を回復させて、その地を後にする。
17[問題点]文革中のことには具体的に触れることなく、個人の魂の遍歴という形で描いている。
18[作者略歴]王蒙:1934年北京生まれ。中学時代より共産党地下組織の養成教育を受け、1948年入党。解放後、北京各地区委員会での中心的活動に参加して活躍するが、1957年右派として批判を受ける。北京郊外での肉体労働やウイグル自治区での仕事を経て、1979年党籍復活。作家協会北京分会副主席となる。(主な作品)「青春万歳」(1956)「小豆儿」(1955)「春節」「組織部来了个年軽人」「冬雨」(1956)「眼睛」「夜雨」(1962)「這辺風景」(1973)「最宝貴的」(1978)「悠々寸草心」(1979)他ウイグル語の翻訳。(「中国現代作家伝略」四川人民出版社より)
19[疑問点]
20[報告者]岡田幸子(1994・5・16)