01整理番号 XY990708
02作品名我家房後的月亮
03作者名鄒静之
04原載『北京文学』1999年第5期
05 12 (86―97)
06ジャンル短編小説
07時間現代
08場所北京
09手法リアリズム  意識の流れ
10視角三人称(「阿夏家」の部分は一人称)
11人物天宝(主人公、男、西北高原[甘粛]出身、作家志望であるが、小説家として出世できなく、パートをしている。) 
葛niu子(女、天宝の小説の主人公、彼の初恋の相手で、ほかの人と結婚した。) 
趙干大(男、70代、天宝の雇い主の一人、52年アメリカから帰国、文革中干校で働かされ、心身ともに重い傷を負っている。)
孫老(男、趙干大に肝油を売りに来た人、文革中に他人を摘発したりしたが、自分も足がたたき折られた。)
阿夏(女、天宝の雇い主の一人、独身、高学歴、男不信に陥っている。) 
李兄(男、阿夏の恋人で、彼女に李叔叔と呼ばれている。) 
白越(男、18歳、天宝の雇い主の一人、四年前に白血病にかかり、世界旅行のソフトを作っている。) 
六姑、七?(白越を順番に看病に来る親戚) 
小胖子(男、9歳、ダイエット中、白越の向かい側に住んでいるかなり早熟な子、4歳からコンピューターを弄り、電脳プロである。) 
編集者(天宝にパートを紹介した。) 
呉天道、洪鳳其、李尓康、房先民(趙干大の昔の知り合いで、文革中に自殺したりして、痛い目にあった人たち) 
他姐夫的二舅、
劉?子(白越の六姑と七?の話に出た人たちで、重い病気にかかっている。)
12題材 小説、小説家、編集部、パート、知識分子、三反、五反、反右、文革(干校、牛棚、スローガン、過労死、自殺、尊厳、傷、“坐飛機”)、心算、嘘と本音、蝋燭の夕べと手提げランプの夕べ、健康、薬、友人不信、都市の女性と農村の女性、恋愛、性、男不信、コンピューター(ソフト、プログラム、インターネット、電脳マニア、メール友達、UPSのサイバースペース) リストラ(下崗)、停電、早熟、ダイエット、バイアグラ、救急車、白血病、パーキンソン病、半身不随、香水、肝油(阿拉斯加、吉普遜)、オートミール(田田麦)、台所用洗剤(金魚牌)、黒胡麻の粥、豆乳、即席餃子、鴨の血のスープ、えび入りの揚げせんべい、 史豊収(有名な心算者)、 梁山伯、祝英台(物語の中の悲恋カップル)、  鄭少秋(台湾の俳優)、『北京文学』の編集者 
13主題 人間不信に陥って、立ち直る能力を失った現代社会の人々
14言語 標準語。 天宝が書いた小説の部分はちょっと西北民謡風になっている(?甸甸的暖、光鮮鮮、咋就那me苦、俺大…)。 性に関係のある言葉、特にちょっと汚いのが多い(……)。 罵り言葉がある(他媽的、?I…)。 コンピューター関係の言葉が多い(電脳、電脳卓、程序、網友、軟件、鍵盤…)。 コンピューター関係で、英語そのままの部分がある(C言語、KILL、CTRL…)。 現実に名前が存在している物が多い(阿拉斯加魚油、金魚牌洗滌霊…)。 具体的な数量詞が多い(一市斤七塊、一天収入有五十元左右、三百多人的設計隊伍、三百一十五元工資…)。 流行語が多い(コンピューター用語、性に関係のある言葉、鐘点工、下崗、火爆、魚油、減肥、情人、老婆、偉哥、熱量大?、荷尓蒙…)。 
15描写 作品の中に、主人公の書いた同名の小説が意識の流れのように作品と合わせながら交じっている(「我家房後的月亮」)。 主要登場人物の住所に実在の地名を使って、バスに実在の線路を使っている(西皇亭子、甘家口、魏公村、21路、103路無軌、332路…)。 実在する物を道具に使っている(阿拉斯加魚油、金魚牌洗滌霊…)。 登場人物に合わせて違うイメージの言葉を使う。 誇張する部分がある(小胖子の言動など)。 主人公の一日という設定の中に、主要登場人物の人生を織り込もうとする。段落が短い。
16構成 全四章、237段落。(一)[1−13]小説を書くために西北から北京に来た天宝は、作品が受け入れられないため、やむなく家事手伝いのパートすることになった。(二)趙干大家[14−53]趙干大は家事をしてくれる天宝に、文革時代の自分や知り合いのつらい経験を教えた。また、本音を言わないように、友達でも信用しないようになどと説教した。天宝は彼の話を聞きながら、自分の小説の内容を思い浮かべていた。小説の中に葛niu子に強い恋情を寄せていた自分の思いが書かれている。(三)阿夏家[54−143]男に強い不信感を抱いた阿夏は、天宝にその不満を発散した。阿夏の下着を洗っていた天宝は、葛niu子が涙を流したシーンを思い出した。会いに来た恋人の李兄を追い出した阿夏は、編集部から返還された天宝の小説を読んだことを切り出し、葛niu子と最後のお別れをする内容が絶対現実にはあり得ないと言ったが、読みながら、涙を流して感動した。(四)白越家(7ブロック)[144−164]いつもコンピューターの前に坐る白越は、天宝にメール友達からのメールを読んであげたが、からかわれた。[165−178]白血病にかかった白越は、世界旅行のソフトを作っている。彼を見舞いに来た六姑と七?は、天宝の仕事をチェックし、薬をちゃんと飲んだかどうかを確かめて、病気をした親戚の噂話をした。[179―180]台所で買い物の清算をしながら、天宝は、阿夏を題材にする小説のことを考えていた。[181―212]白越が鼻血を流したため、六姑と七?は帰った。コンピューターに夢中する人は死を恐れないと白越は言って、天宝に小胖子を呼んでもらった。小胖子はコンピューターを弄りながら、天宝が理解できないおかしなことをいろいろ口走った。天宝はそれを聞きながら小説を書いた。[213―225]天宝の小説「那様的女子,那様的布」 [226―232] 小胖子にばかにされた天宝は帰る準備をした。[233―237] 天宝は依頼人の住所が見付からない救急車の運転手に道を尋ねられたが、わからなかった。彼は手紙を出して、下宿先に走っていった。 
17問題点 「那様的女子,那様的布」は小説であると書いてあるが、小説と言えるだろうか。
18作者略歴 鄒静之:男、1952年江西省生まれ、短大卒業、八年間下郷した経験がある。現在は雑誌社『詩刊』で仕事をしている。著書には散文集、詩集、劇の台本などがある。 
19その他 P86タイトルのあたりに都市風景の挿絵がある。
20報告者 賈 笑寒