01整理番号 XY990702
02作品名喜宴
03作者名王安憶
04原載『上海文学』1999年第5期
05 (4)24〜27
06ジャンル短編小説
07時間1970年代半ばのある年の春
08場所ある農村(小崗上、大劉荘)
09手法リアリズム、ややモダニズムがかっている。 
10視角3人称、語り手の存在が感じられる部分有り(ex.“他ne”“但憑経験”etc.)
11人物新郎(小学校の教師、26歳、高校を出ている)、
新郎の母(未亡人)、
新郎の妹(新郎に似ている、学問がある)、
新郎の友(新郎より二年下の同窓生。頭はよいが出身が悪い:富農。婚礼の日、隣の大劉荘まで知識青年達を招きにゆく)、
新郎の友人の父親、知識青年達(10人、皆大劉荘に住んでいる)、
知識青年の一人が住む家の家主とその息子(5、6歳の子ども)、
花嫁、
花嫁の兄弟、
披露宴に集まった村の人々
12題材 村、結婚適齢期、“媽媽嘴”、知識青年、下放、軍帽、文革、紅衛兵、笛、小学校、公社、土れんがの家、迎親、結婚披露宴、富農、祝儀、“吃酒”、“喜”字、お見合い、赤い造花、爆竹
13主題 農村のある小学校教師の結婚披露宴を通して、農村の人々と知識青年達との徐徐に深まり行く交流。 
14言語 標準語、所々に北方方言が混じる(ex.興頭、mo2mo etc.)。書面語と口語が混ざりあっている。外来語(ex.尼龍[英nylon]、 bi4ji1[法beige])。
15描写 人物描写、情景描写(ex.第9段落11〜16)。擬声語(ex.哈哈、吃吃)、擬態語(ex.紅艶艶、黒洞洞)が比較的多い。罵語(ex.小×、亀孫子)。引用符号がない。
16構成 全15段落、章立てなし。 (1〜2)春雨の降るある日、小崗上では26歳の小学校教師の結婚披露宴が行われ、彼の友人が大劉荘に知識青年達を招きに行く。この知識青年達は新郎とあまり面識がない。村の人間である新郎の方が知識青年達よりも都会人のようないでたちである。 (3〜4)大劉荘は小崗上よりもずっと大きな村であるが、新郎は大劉荘にはめったに行かず、小学校に行く以外はほとんど家にいる。母と妹と三人で三間ある古い家に住み、彼のところをよく訪れる、外見はあまり良くないが田舎臭くもない仲の良い友人がいる。その友人が今回知識青年達を招きに行った者であるが、彼自身は何度もお見合いをしているが、うまく行かない。 (5)知識青年達はこの披露宴への招きにどうして良いか分からない。一人の知識青年の大家に勧められ、大家の5〜6歳になる息子を連れて小崗上に向かう。 (6)新郎の家に着くと、家の中は既に大勢の人で埋め尽くされており、女性達は奥の部屋に、男性達は手前の部屋に座っている。知識青年達は男女ともに門よりの所に座る。新郎の友人は披露宴を仕切っており、ばたばた走りまわっている。 (7)午後になっても披露宴は始まらない。女性達が連れて来た子供達は外で走り回っている。家の中で待つ客達は男女共にまともな格好をしているが、知識青年達は非常にみすぼらしい格好をしており、そこには自分達の境遇に対する不満がありありと現われている。 (8)新婦が一向に到着しないので披露宴は始められない。午後二時を回って、新婦が来ないのは新婦の兄弟が行く手を遮っていることが分かり、新郎が新婦を迎えに行く。新郎の結婚に友人は非常に嬉しそうである。 (9)新郎が新婦を迎えに行っている間、知識青年達は家の中で待つのに退屈し、外に出て辺りをぶらつく。小崗上は非常に貧しい村であることを感じる。炊事場では女性達が慌ただしく料理の準備をしている。 (10〜11)天気は好転したが、既に夕方近い。新郎の友人が爆竹を鳴らし始める。そこに新婦が到着したとの報が入る。道は雨の為ぬかるんでいる。新婦の新しい靴を汚さないため、新郎が新婦を背負って部屋に入る。ようやく披露宴が始まる。 (12〜13)料理が次々と運ばれてくる。男性の席にはお酒もある。皆、黙々と食べている。新郎が友人を連れて、知識青年達に酒を勧めにやってくる。一方、新婦は奥の部屋に入ったきり、出てこない。 (14)披露宴はあっという間に終わり、客達は各々の家と帰っていく。 (15)一ヶ月後、知識青年のうちの数人がこの教師の家の近くに溝を掘りに行く。休憩の時、水が飲みたくなり、ふとこの教師のことを思い出し、家を訪ねる。家には教師の母親と新妻だけがおり、この時初めてこの妻をよく見ることが出来た。彼女はよく笑う女だった。 
17問題点 主語が省略されるところが多く、誰の動作なのかはっきりしないところがある。第7段落12〜13行目の“新貼的一箇‘喜’字”はなぜ“雙喜”ではないのか。
18作者略歴 女性、福建省同安人、1954年生まれ。安徽省の農村の人民公社生産隊に入隊していたことがある。1972年に江蘇省徐州地区の文芸工作団に入団、1978年には上海の『児童時代』の編集者になり、1980年には中国作家協会文学講習所に入り学習する。1976年より作品を発表し始め、著書に長編小説『69届初中生』『黄河故道』『流水三十章』『米尼』、中短篇小説集に『雨,沙沙沙』『流逝』『海上繁華夢』『王安憶中短篇小説集』『本次列車終点』『小鮑荘』『小城之恋』『叔叔的故事』『長恨歌』等がある。現在、上海市作家協会のプロ作家で、中国作家協会会員。
19その他 タイトルのところに建物の壁を描いた挿絵あり。作者略歴の著書のタイトルに誤り多し。 
20報告者 西香織