01[整理番号]xx990301
02[作品名]菊児姐姐
03[作者名]林希
04[原載]『十月』1998年第6期
05[頁]26(4〜29)
06[ジャンル]中編小説
07[時代]90年代、1940年代
08[地点]天津
09[手法]リアリズム
10[視角]一人称
11[人物]私(話の中ではストーリーテラー、作者自身?) 
菊児姐姐(私の母親を信頼している 若いのに大人のような考え方をする
 ひたすら母蘇燕を待ち望むがその夢はうち砕かれる) 
母(私の母、賢く優しく家の問題を取り扱っている) 
侯樹之(菊児姐姐の父、頭も悪く性格も悪い 蘇燕、楊金華を捨て、お金持ちの藩麗容と結婚する) 
蘇燕(菊児姐姐の母、近代教育を受けている 侯家の籍を外され、その後抗日戦線で活躍し、再婚する) 
楊金華(頭の悪い侯樹之の商売を助けるが、裏切られ自殺をする) 
藩麗容(天津商会会長の娘、侯樹之の妻、楊金華に同情を示す)
苓児姐姐、茵児姐姐(私の姉) 
桃児姐姐、呉三代(侯家の使用人、非常に賢く有能な人物)
六叔萌之(私の叔父、北京で働いているときに蘇燕を見つける) 
老九 老三 
12[題材]回想 大家族 革命 名誉回復 女学生 注射 先祖崇拝 男社会 父と娘
     金持ち 結婚 人間愛 人間関係の不確かさ 抗日戦争 英雄 纏足
13[主題]人間関係、人生の複雑さを幼い頃の思い出と自分の人生を通して語る
14[言語]標準語、英語
15[描写]エッセイ風
16[構成]4章+終章 全477段落
一章1〜25 50年ぶりに菊児姐姐から連絡があり、会うことになる
  26〜36 回想 病気の時に菊児姐姐が看病した思い出
  37〜65 菊児姐姐の母蘇燕、家族の状況
  66〜119 蘇燕との別れ
二章120〜153 先祖の墓地参りと、蘇燕の籍剥奪
   154〜189 菊児姐姐は蘇燕がいなくなったことを知りショックを受ける
  190〜216 母が菊児姐姐を慰める 樹之との仲が悪くなる
  217〜246 天津が日本に占領される 蘇燕が日本と戦っている事を考え心強く思う
三章247〜339 樹之が結婚するといううわさを聞き、相手と思われる楊金華の家に行く。
  樹之が商売できるのも金華のおかげと知るが、それにも関わらず
樹之は金華を捨て市長なみに力のある藩家と婚姻関係をむすぶことを知る。
菊児姐姐は結婚式の日に突然金華を連れてきて樹之の悪事を暴く。
四章340〜375 金華の事件以来父娘の関係がさらに悪くなる。
藩麗容と金華の話をしてようやく「お母さん」と言うようになる、
しかし金華の家でショックを受けた菊児は入院をする事になった。
  376〜384 ますますふさぎ込む菊児姐姐
  385〜412 戦争が終わると、菊児は蘇燕が迎えに来てくれると思い突然嬉しそうな顔を見せ始めた。
  413〜429 六叔から蘇燕が北京にいることを聞き菊児は喜びの声を挙げる
  430〜449 しかし蘇燕は今や党の要人の妻となっており菊児を相手にしなかった
尾声 450〜477 その後レッテルを貼られどうしの私の姿
17[問題点]特になし
18[作者略歴]1935年天津生まれ。1955年に「胡風分子」とされる。
1957年右派と誤認され、長年にわたって肉体労働にさせられ、1980年にようやく文壇復帰をする。
主な作品に詩集が四つ、小説集『林希小説精品選』など、ほかに三部の長編小説を出版している。
作品は何回も賞を取っている。
19[その他]「摺則有余、悔又無益」という作品に関するエッセイあり。
26ページに花束を持ち洋装をした菊児姐姐の挿し絵あり。
20[報告者]神谷宏明