01 | 整理番号 | rw971107 |
02 | 作品名 | 深度焦慮 |
03 | 作者名 | 金海曙 |
04 | 原載 | 人民文学1997年11月号 |
05 | 頁 | 85−91(7) |
06 | ジャンル | 短編小説、心理小説 |
07 | 時間 | 現代 |
08 | 場所 | 日本、東京 |
09 | 手法 | リアリズム |
10 | 視角 | 第一人称 「我」によって物語がかたられている。 |
11 | 人物 | 我(日本に来ている中国人、異国の地で不安と孤独や文化の違いによって生じるトラブルを抱えながらも、部屋探しに奮闘中) 老太太(「我」が日本にきて初めて住んだ部屋の大家、部屋条件は決してよくないにもかかわらず、更に、立場の弱い人間から搾取しようとしている) 独身生活をしている酔っ払い(「我」が二年間住んでいた部屋の唯一のお隣さん。ひどく酒飲みで、酔っ払うと「我」の部屋の前で立ち小便をする〈外国人に対するいやがらせか?〉) 韓国人の店員(「我」に対して軽蔑的な態度をとる) 幅広い交際をしている友人(最初「我」が窮屈な状況に追い込まれていることを馬鹿にして見ていたが、その後、私がトラブルに巻き込まれる原因となる女性の電話番号を教えてくれた) 制服を着た従業員、 大柄な男(「我」に喧嘩を売るが、「我」は相手にしなかった ) 莉莉(見ず知らずの「我」を電話一本で泊めてくれた人、男女関係のもつれから一人暮らしをしている、「我」の好みの女性。夜の仕事をしているようだ) ある夫婦(二人ともに社会地位のある人であるが、「我」の存在を不快に思っている。金に執着する) 他(「我」をいたずら電話に巻き込む相手。「我」が莉莉の所の電話に出たことに対して不信感と怒りを抱く。莉莉との間に子供がいる) ある女性(莉莉の上の部屋に住む人、「我」の姿に驚かされる) |
12 | 題材 | 中国人の日本での暮らし、部屋探し、外国人差別、友人関係、喫茶店、いたずら電話、雨、畳、シャワー、ストレス、契約、酒飲み、ビリヤード(パチンコ)、国際電話、電話カード、電話、トイレ、古新聞、(渋谷駅?)、日本経済新聞、スナック、犬の銅像(忠犬ハチ公?) 不動産、服を脱ぐ、中国語で書かれた本と占いの本、 |
13 | 主題 | 日本で暮すひとりの中国人が異国の地で居場所を探そうとするが、孤独と不安、偏見と差別に悩まされ、次第にいらだちと焦りに追い込まれていく。 |
14 | 言語 | 標準語、きたなく下品な言葉「鶏巴電話」、「狗屁房」がある、(作者には意図的に使われている)。 |
15 | 描写 | 心理描写(第8段落、15段落の真ん中から最後)、情景描写(16段落始めから最後)、人物描写(第11段落始め) |
16 | 構成 | 章立てなし。全16段落。 〈1〉、「我」初めての東京で、住む場所に悩み、部屋探しは困難を極めたが、最後に仕方なく、「意地悪ばあちゃん」から部屋を借りることができた。しかし、それはトラブルの始まりにすぎなかった。〈2〉、部屋の契約期限が迫り、「我」が継続しないことにすると、大家の「意地悪ばあちゃん」は手のひらを返したかのように急にやさしくなる。(鬼の目にも涙か?)〈3−4〉、ひとり暮しの不安と孤独な現実に疲れた「我」は友人の家を渡り歩く生活を続けた。〈5−7〉、雨の季節になり、「我」のいらだちと焦りが増す、最後の手段に賭けた。ある友人から知り合いの連絡先を手にいれた。〈8−9〉、この連絡先に電話を入れた「我」は何か尋常ならざることがあると直感した、その為、「我」は行く前に心の準備をする。〈10−11〉、「我」は「莉莉」という女性のところに身を寄せることとなり、自分の中の焦りといらだちが少し癒されたような気がした。〈12−15〉、彼女の留守中に、「莉莉」あての電話が再び「我」をいらだちと焦りの中に突き落とした。〈16〉、夜明けがおとずれた時、「我」は目の見えない束縛の中から脱出しようと決意。そして、裸になり、それを近所の女性に見られ、びっくり仰天する。 |
17 | 問題点 | 言語の使い方に「不動産」と書いてあるが、その使い方に疑問を感じる。 85頁の最後に妙な空白が空いているのはなぜか。 「我」は上半身だけ、裸になったのか、それとも、全身と理解した方が正しいのか。 |
18 | 作者略歴 | 1961年上海生まれ。1982年アモイ大学哲学科卒業。1989年日本渡日し、1995年に帰国、同年から小説の創作を始める。主な訳著に、『川端康成創作回憶録――独影自命』と長編小説『浅草紅団』がある。現在北京の某会社に勤務。 19[その他]作者は大阪外国語大学外国語学研究科修了、文学修士。 |
19 | その他 | |
20 | 報告者 | 上村香織 |