2000.9.11

01[整理番号] xy000302

02[作品名] 梅嶺一号

03[作者] 池莉

04[原載] 『作家』 2000年第1

05[] 25-32(8)

06[ジャンル] 短編小説

07[時間] 現代

08[地点] 武漢

09[手法] リアリズム、内的独白

10[視角] 一人称

11[人物] 私、楽衛紅(私の従姉。かつての毛沢東の別荘で働いていた。2度の自殺未遂)、果物売り、町の若者、東湖ホテルの若い警備員、従姉の夫、東胡ホテルの従業員、劉漢琴、蘇定芬

12[題材] 経済成長にともなう都市問題、街のルール、黒社会、黒い蝶の刺青、イメルダ婦人、改革・開放、市場経済化、インフレ、毛沢東、自殺未遂、毛沢東語録歌、ファッション、小燕子、張恵妹

13[主題] 経済成長が進む中国において、毛沢東時代の生き方から抜け出せないでいる女性の苦悩。

14[言語] 標準語、武漢方言

15[描写] 心理描写が多い。場面の途中に回想を含めた心理描写をはさむ。現実と回想の切り替えをしやすくするために、一人称になっている部分がある。(例:1116段落)

16[構成] 全80段落

(1)街を自転車に乗って疾走する私。途中、路上の果物売りと接触し、りんごを梨の山の中に落としてしまう。(2-10)それを見ていた若いチンピラが、武漢のルールを振りかざして、私に弁償するようにと脅しをかける。(11)私は従姉が自殺を計ったと聴いて、道を急いでいた。(12)従姉の23年前の自殺未遂について。そのとき私は、梅嶺一号を盗み見ようとしたが、従姉の夫に阻まれた。(13-16)私の、毛沢東の別荘である梅嶺一号に対する興味と、その原因である私の従姉について。神秘的な彼女の仕事。梅嶺一号で働くようになってからの、彼女の変化。(17-22)地方から出てきた若者に、武漢のルールを突きつけられて、憮然とする私。しかし為す術もなく、金を払う。(23-25)東湖の環状道路に出た私。私の、東湖と環状道路に対する思い入れと、思い出。(26-27)東湖ホテルの門の前。その前に立つ若い警備員。(28-40)私は警備員に、従姉に会いに来たことを伝えるが、彼はうんざりした様子である。しかし彼との会話の中で、私はこれまでずっと秘密の別荘であったはずの梅嶺一号に、誰でも入れるようになっていたことを知る。(41-43)かなりのショックを受けた私を見て、警備員は同情し始める。そのとき、私は門の向こう側から私を見ている従姉を発見した。(44-45)警備員が門をさえぎって私を通らせないと思った従姉は、警備員を叱り付ける。私は彼に申し訳ないと思いつつ、感謝のまなざしを向けて、門をくぐった。(46-49)従姉との会話。私は従姉に自殺を連想させないよう、言葉に気をつける。従姉は、彼女の夫が外で食堂を開く準備をしていることを私に話す。そのことに対する従姉の反発。(50-56)従姉の服装に対する、私の意見、妥協。(57-65)私に、自分の夫に対する不満を語る従姉。私は彼女が再び自殺を考えないように、彼女の気持ちを他に向けようとする。(66-71)梅嶺一号に来た二人。この別荘と毛沢東に対する従姉の想い。(72-74)従姉は共通語で、別荘のそれぞれを案内して回る。私は彼女の話を聞きながら、自分も毛沢東のことを考える。しかし、その話が私にとってどういう意味があるのかという疑問が、頭に浮かび上がってきた。(75)私はこの別荘が、今はもう時代に取り残された、老いた獣のように感じていた。(76-77)従姉はこれに鋭く反発する。私は人間関係がうまくいかなくなる理由について考える。(78-80)従姉の家の前では、彼女の夫が毛沢東詩歌を歌っていた。私は従姉の夫の考えは一時の気の迷いであり、夫婦はこれからもずっと梅嶺一号を離れることはないであろうと確信した。

17[問題点] 自殺の理由。毛沢東への極端な依存。刺青の人。

18[作者略歴] 女、1957年生まれ。多くの小説を発表しており、『池莉文集』などの著作がある。『煩悩人生』は全国優秀中編小説賞と小説月報第三回百花賞を受賞。中編小説『太陽出世』は第四回百花賞を受賞。中編小説『你是一条河』、短編小説『冷也熱也好活就好』は第五回百花賞、中編小説『你以为你是谁』は第七回百花賞、中編小説『来来往往』は第八回百花賞をそれぞれ受賞している。現在、武漢市文聯の専業作家で、中国作家協会の会員である。

19[その他]

20[報告者] 出縄一政