小説(しょうせつ)
【小説】文学の一大ジャンル。中国の小説の起こりは、詩、文、賦などのスタイルよりも遅く、後漢のころ正式のジャンルとみなすようになった。その後、六朝志怪小説、唐人伝奇、宋人話本、明清章回体小説が生まれた。中国では小説は長期にわたって地位が低く、文壇の末流とされてきたが、「五四」以降になって急速に勢力を伸ばした。小説の主要な特徴は、複雑多様なプロットと具体的で独特の環境描写を通して、深く細緻に多種多様の人物の性格を描き出し、広く多方面にわたって社会生活を反映することである。同時に小説は、表現手法の自由性、多様性および時間空間の制約をうけないことで、他の文学様式より勝っている。小説には、様々な分類がある。題材や内容によって分類してもよいし、人物、プロット、環境の三要素の作品構成におけるバランスで分類してもよいし、文体によって区別してもよい。一般には分量によって、長篇小説、中篇小説、短篇小説に分類される。この分類はよく見られるものだが、比較的合理的な分け方である。芸術的構想、人物の性格の創造、内容的分量におけるそれぞれの特徴を反映することができるからである。
(『中国小説辞典』北京出版社1990)
作成:青野繁治