日記体小説(にっきたいしょうせつ)
日記形式を用いて書かれた小説。「私」の行動や感じたことを手がかりに、毎日の日記をつなげるのが基本的な特徴である。日々の日記は往々にして、ひとつの事柄を記したり分析したり、考えの矛盾点を分析するのみにとどまる。ほかの種類の小説に比べると、更に自由に事柄を叙述し、感情を表し、見解を叙述することができる。しかしそれは「私」の見聞に限られ、客観的なシーンや複雑な社会矛盾を描くのは難しい。一般的には中、短編小説に用いられる。丁玲の『莎菲女士的日記』、蒋子龍の『一個工廠秘書的日記』などが例として挙げられる。
(『中国小説辞典』北京出版社 1990)
作成:河本美紀