ロシア映画をいくつか見せていただいたが、どの映画も卑近でリアリティがあって、やはり映画というものは文化をよく反映していて面白いなと思った。まず、
どの作品にも共通していたのは、酒、恋愛、お金。生きることの楽しさよりも、つらさ、むなしさ、だった。全般的に生きることに関して『厳しい』『シビア』
というイメージを受けた。これはロシアが極寒の地であることや、経済的に苦しい層が多いことにつながっているのではないか。
日本には「闘わない」人が多い。これもまた文化の一つなのではあるが、「生きる」ことの本質とは「闘い続けること」なのだ。生きることが厳しい環境の文化
は、よりリアルで、より本質的な「生きる」ということを映し出していて、すごく参考になる。映画には自分の置かれた(あまり恵まれていない)情況の中で必
死にもがく人々が描かれ、そしてハッピーエンドになるとも限らない。むしろバットエンドの方が多い。それでも足掻き続けるしかない。闘うことを恐れてはい
けない。
ロシアは、生きることの無意味さ、むなしさを内包しつつそれでも前に進む。そんなアンビバレンツで言葉に出来ないような切なさと刹那さがある。そしてそれは真理だと私は思う。
「死ぬは一時の苦、生きるは一生の苦」
それでもその中で、何かかけがえのないものを一つでも見つけられたら、その人生はきっと意味のあるものなのだろう。そう思いたい。
私がこの授業で見た映画の中で一番印象に残った作品は『モスクワは涙を信じない』である。この作品が製作された1980年に、私はまだ生まれていないが、
映画に登場する3人の女性の生き方や考え方などが、現代の若者が考えているだろうことと同じで、素直にこの映画の中に入り込み、また共感することが出来
た。大都会モスクワで荒波にさらされながらも、自分たちの力で生き抜いていくというシンプルな内容であったが、3人の其々違った生き様が生き生きと描かれ
ていて、これまでに見てきたロシア映画の中でもっとも感情移入できた。日本の漫画やアニメなども、主人公が数多の困難や壁を乗り越えていくというストー
リーの作品が多く、それらを見て育ってきた私にとって、同様の要素を含んだこの映画はとてもすばらしい作品と思われた。私が気に入ったシーンは、「自分の
娘に会いたい。」というカメラマンのラチコフを、成功して工場長となった主人公エカテリーナが、かつて自分が彼にみすてられたその同じベンチで一蹴する箇
所である。困難にめげず、逆境からのし上がるという気持ちを改めて教わった。
この授業で観た映画はどれも新鮮で、とても自分のためになったと思うし、ハリウッド映画や邦画ばかり見ていないで、もっと外国の映画を見るべきだと感じさせてくれた。この授業をとってとてもよかったと思う。
『運命の皮肉』
これは日本人とロシア人の感覚の違いを大きく感じた。僕にはいきなり家にいた人物と恋が生まれるとは思えない。追い出しても戻ってきたり、そのまま居座っ
たり、日本では非常識だと思えることが多すぎた。おかしな態度を取り、居座り、恋人の写真を捨てたりめちゃくちゃだったジェーニャを、なぜナージャが好き
になったのかわからなかった。きっと日本人の僕にはわからないが、ロシア人にはそれらの行為を上回って直感で好きになれることがあるのかなと思った。
『モスクワは涙を信じない』
トーシャは幸せに家族で暮らし、カチェーシャはシングルマザーだったけど、カチェーシャが最後に本当に好きな人に出会うことが出来てよかったと思う。
ゴーシャはかなり強引で、日本では受け入れられなかったと思うが、ロシア人の価値観や時代背景もあってかゴーシャの意思のあるやり方に魅力を感じたんだと
思う。全体を通じ、カチェーシャの生活がよく描かれていたので、その時代のロシアの様子、当時の女性の価値観が感じられて面白かったと思う。
このセメスターで何本かの映画を見たのですが、僕の中にはある映画が心の中に残っています。それはニキータ・ミハルコフ監督の『シベリアの理髪師』です。この映画は今まで見たロシア映画の中で一番興味が持て、次週が楽しみでした。
僕はラドロフ将軍がジェーンに歌でプロポーズしようとした所を乗っ取って、トルストイがジェーンに自分の気持ちを伝えていたところがすごく好きでした。恋
愛のライバルが上司であることなど関係ないといわんばかりにジェーンに夢中になっているトルストイはすばらしいと思った。ただ、トルストイが恋は盲目とば
かりに本当に回りが見えてなかったために、残念ながら、卒業の日に演ずるオペラ『フィガロの結婚』で悲劇が起こってしまった。ただあれはジェーンの行動が
少し軽はずみであったなと私は思う。
この映画でロシアの文化について少しでも理解を深めることが出来たのは本当によかったです。やはり、日本と違う文化なので、受け入れていくのは時間がかかりそうだが、色々な国の文化を取り入れていけることができるなら積極的に取り組んで生きたいと思いました。
講義の中で印象に残っている作品は『コーカサスの虜』と『モスクワは涙を信じない』の二つです。
『コーカサスの虜』は、コーカサス地方の雄大な自然を背景に、紛争をすることの愚かさや悲惨さを訴えたものだと思います。捕虜として捕まえたにも関わら
ず、理解し合い、優しく接してくれる人や、のどかな村が小さな食い違いによって失われてしまうというはかなさも伝わるよい内容でした。トルストイの作品を
チェチェン紛争に転換するということによって生まれた作品であり、原作を読んでみたいとも思いました。私が始めて最初から最後まで見たロシア映画であり、
最後が悲しい内容であったことから印象がより大きくなりました。
『モスクワは涙を信じない』は当時のモスクワにおける男女の関係のあり方がよくわかる作品でした。社会体制の変化から男女の社会的地
位も変わり、それに伴って男女の異性に求めるものも変化しているのではないかと、映画を見ながら思いました。女性の社会進出と男性の失業、アルコール中毒
者の増加により、地位の高い相手との交際を求めている姿が見られますが(それ故に不倫も多い?)結局は家庭(女性)を引っ張っていくことのできる男性と結
ばれる方が、幸せになっているという様に見えました。また、3人の女性の生き方が見られることによって、それぞれが比較・強調されていると思いました。普
通に見ていて面白いという印象でした。
授業全体を通して、文化や社会体制の違いから共感できるところ、できないところが多々ありました。しかし映画としてはどれも興味深いものであ
り、最初から最後まで集中して見ることができました。 また、共感できないところがあるという事が、多文化との関わりを示すところでもあり、このことに興
味を持ち、共感することでロシアを少しでも理解することができるのだと思いました。これからは講義のなかだけでなく、ビデオショップに行ったときなどにロ
シア映画にも手を伸ばしてみようと思います。
ロシア映画を見て特徴的だと思ったのは、人間の心理の移り変わりに映画の重点が置かれていること、時間の流れがゆっくりしていることなどです。有名な作家
や音楽家が非常に多いことからも推測できるのですが、ロシア人は人生や運命について深く考える人がとても多く、だからその国で作られる映画も、リアリティ
のある出来事を扱って人生や運命について考える種類のものが多く作成され、そして受け入れられるのだろうと思いました。
今学期に観た映画は僕にとってはどれも面白いものばかりで、『運命の皮肉』や『シベリアの理髪師』は授業で見終わった後も、まとめて最初から観たいと思い、レンタルビデオショップで借りてくるほどでした。
『シベリアの理髪師』は恋愛の話でありながらも、上述したような人生について考えさせられる作品ですが、ストーリー展開がドラマティックで面白く、主人公
にも共感できたり、士官学校の教官がウォッカによって暴れまわるシーンや床にワックスを塗って舞踏会をするシーンや、オペラのシーンなど面白い場面が多
かったので飽きずに最後まで見ることができました。
『運命の皮肉』も題材がとても身近で、使われている舞台もほとんど家の中だけだったにも関わらず、リアリティがあって、本当にこんなことがあったら面白いなと思って、観ていてとても面白かったです。
これらのようなロシア映画を観ていて特に思ったのは、ロシア人は男女問わず、恋愛についてとても大胆だなということと、とても直情的だなということでし
た。いつも日本の映画やドラマを観ていてそれに慣れているので、授業でロシア映画を観ると怒り方や悲しみ方がとても大げさだと思ったりしたのですが、ロシ
ア映画を続けて見ると、逆に日本人が感情表現が薄いのではないかと思うようになりました。そして生き方が直情的な分、恋愛にもとても積極的になるのではな
いかなと思いました。ロシア人は日本人に比べ、自分の感情を隠さず直接ぶつけたり開放したりすることが多いと思いました。
ロシア映画は自分にとって割りと面白く、興味をもって見ることができたので、これからアメリカや日本の映画に飽きたときにはロシア映画を借りて観て見ようと思いました。
一番印象に残ったのはロシアの音楽です。ロシアの曲は短調がよく使われていて、どことなく悲しく、切なくさせる曲が多く、相手に何かを訴えかける、何かを
一緒に感じてほしいというような音楽だと感じました。映画の登場人物は何かにつけて歌を歌っていて(歌がよく出てきたのは映画だったからでしょうか)、音
楽は日常にあって平等なものなんだなと思いました。
キリル文字がかっこよく思えて学び始めたロシア語。まだぜんぜん文法などは頭に入っていませんが、何よりもロシアのことを知ることができてよかったと思います。近いうちにロシアに行きたいと思っています。