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20101209

 大阪大学 言語文化研究科・外国語学部・サイバーメディアセンター・ 国際教育交流センター・世界言語研究センター 共催


シンポジウム「これからの外国語教育」

開催趣旨: 2007 年の大阪大学・大阪外国語大学の統合にともない、25 の専攻語をもつ外国語学部が本学に加わりました。従来の全学共通教育で行なってきた外国語教育も、第2外国語の選択肢が増えるなど、新しいカリキュラムがスタートしています。他方で、CALL など情報通信技術(ICT)を生かした学習・教育の方法も広がり、多くの可能性を示しています。そして現在、大阪大学の外国語教育のさらなる改革が全学的に進められようとしています。こうした状況を踏まえつつ、今回のシンポジウムでは、 言語文化研究科、外国語学部、サイバーメディアセンター、国際教育交流センター、世界言語研究センター協賛の FD 活動の一環として、これからの外国語教育の可能性と課題を考えていきます。


フライヤー: poster-2010symposium.pdf(0)

日時:2010年 12月9日(木)
   15時00分〜17時30分
場所:大阪大学 豊中キャンパス 言語文化研究科棟 2階 大会議室

プログラム:

開会の挨拶(15:00)

 第1部 テーマ: 到達度目標について

報告 1 外国語学部全体の英語教育における外部検定試験の導入をめぐって ―到達度評価と能力別クラスに向けたケーススタディ ― (15:05~15:30)

    上田 功 (言語文化研究科・外国語学部) 岡田 新 (言語文化研究科・外国語学部)


 大阪大学外国語学部では、統合前の大阪外国語大学時代から、副専攻英語科目 と呼ばれていた、英語専攻以外の学生対象の英語教育、すなわち全学部(全 学)対象の英語教育の改革に、段階的に取り組んできました。そして法人化以 後の厳しい状況のなかでたどり着いた結論が、外部検定試験導入による「到達度評価」と「能力別クラス」によるカリキュラム改革でした。報告者の岡田は 英語教務の責任者として、上田は全学の副専攻語運営委員長として、この改革 の責任を負うてきました。
 この報告では、まず上田が旧大阪外大時代からの全学の英語教育の変遷を辿り、節目となったいくつかの時代になされた改革を振り返りながら、外国語専攻学生に対する英語教育の問題点を説明し、そして到達度評価に至った理由と そのシステムや理念を説明し、続いて岡田がその実施に関わる諸問題や導入後の結果、そして統合前・後の問題点と今後の課題を論じたいと考えています。
 最終的には、到達度評価のために導入した外部検定試験の功罪を論じ、評価することによって、外国語学部における英語教育の特殊性と大学英語教育という共通の枠内での普遍性が浮きぼりになることを目的としています。


報告 2 外国語教育における到達度評価制度 ―CEFRを参照した外国語学部の試み― (15:30~15:55)

    真嶋 潤子 (世界言語研究センター・外国語学部)


 外国語学部(旧大阪外国語大学)では、25の専攻語の教育改革のために過去約10年に渡って「到達度評価制度」の構築を行ってきた。この目的と経緯、現状と課題について紹介する。学部としても担当教員も相互にプログラム内容には立ち入る事をせず、外国語学部(当時は大阪外国語大学全体)として、外国語教育改革の難しさ、特に担当教員間のコミュニケーションの難しさに直面していた。内外からの外国語教育改革への要求が高まる中、まず共通の議論の土台作りが必要ではないかと考えた。ヨーロッパで発表されたばかりのCEFR(2001)を参考にしながら、25専攻語全てにおいて、1年次から4年次まで(当初は2年次までのみ)の、到達度目標を「〜できる」という形(Can-do能力記述)で提示して公開することにした。CEFR(2001)を紹介しつつ、具体的な実践経緯などを紹介し、現状の課題について報告したい。

質疑応答 (15:55~16:10)


 第2部 テーマ: 半自習型 e-learning 授業の実践報告

報告 3 「実践英語」における e-learning 試行の現状報告

    山田 雄三 (言語文化研究科)


 英語部会では2010年度と2011年度の2年間にわたり、第IIIセメスター(2年次前期)時に、文法経対象の「実践英語」のクラスのうちの1クラスと、基礎工対象の「実践英語」のクラスのうちの1クラスで、e-learningの授業を試行しています。本日はその現状報告をします。
 部会内のe-learning検討WGは2009年度よりこの試行の準備をすすめるなかで、学生の事前意識調査を行いました。また2010年度前期を終えた段階で、受講生の反応を知るためのアンケートを実施しました。
 WGはe-learning教育の目的のひとつに「自律的学習を進めることによるlearner autonomyの育成」を掲げています。私の報告では、試行前と試行後とのアンケートを比較しながら、次の2点において、learner autonomy育成にどれだけの効果が見られたかを考察したいと思います。

・自主的なリスニング学習時間の量的変化
・ユビキタス環境と自律的な学習意欲との相関性


報告 4  e-learning 英語クラス ー授業実践と効果の検証

    小口 一郎 (言語文化研究科)


 大阪大学の共通教育では、2010年度よりe-learningによる「半自習型」授業を「実践英語」のカテゴリーで試行している。この発表では、2010年度前期に文系2年次生(文法経)を対象に実施されたe-learningクラスの授業方法と、その学習効果について報告する。
 当該の授業は69人の受講生を対象とし、TOEIC訓練に特化したコースウェア「u-CAT」を使用している。全15週のうち、自宅もしくは大学等のパソコンで自習する週が8週、CALL教室での一斉授業が7週であった。また定期的に「自己評価シート」に練習問題の得点、学習の自己評価、新修語彙などを記入・提出させ、学習への能動的な関与と自己分析を促した他、同シートを学生からの質問にも活用した。
 1学期間の授業を終えた段階で、コースウェア付属のテストにおいても、TOEICのペーパー模試においても、成績の伸びが確認できた。この発表ではさらに、通常の対面型授業との成績比較や、アンケートに見られた受講生の反応などを報告し、e-learningによる「半自習型」クラスの可能性を考えたい。

質疑応答 (17:10~17:25)


閉会の挨拶(17:25~17:30)